空契 | ナノ
4.信頼できる関係 (5/6)


「───…えぇっと、つまり………、
レオ君が朝起きたら、アイク君がいなくて見知らぬ少年が居た…………と。
それであってるかい? レオ君」
「はい…いぇす…おーけー…」

爽やかゲンさんに問われ、俺は頷く。…少々やつれた顔で、床に正座して。
その後ろのベッドに腕を組んで座ってる緑髪少年。………なにこいつ。
殴られたんだよ!この緑髪少年に!!
「誰が食うか」て!ゴッて!!ひーどーくねぇ!!?
その後、俺の声を聞き付けたゲンさんとルカリオが部屋に飛び込んで来たので、頭をさすりながら状況説明。
ルカリオはじーと少年を観察していて、ゲンは少年と俺を見比べてて、ぽつりと言った。

「………その子、
アイク君じゃないのかい?」

………ん?
今あっさり爆弾が投下された気がすんだけど? 気のせい?

「ルカリオ、どうだい?」
『間違いないですね。
あの少年の波動は、昨夜レオ殿が連れて来たキモリと同じ故』

……あっさり、
かなぁりあっさり、ルカリオがゲンさんに同意してんのはどういう事なのかな。
そして最後。トドメがこれだ。

「…俺がアイクで悪いのか」

と、緑髪少年がちょっと不機嫌になって一言。うぇえええ!!!?

ええぇいやいやないないないないない
「全力否定かオイ」

「いやだって美形少年や。ありえねーって。
イケメンの君が、あのツンデレ蜥蜴?
いやいやないってちょっとってゆーか大いに無理あるよゲンさんあーんどルカリオ。
まだ秋っすよ? エイプリールフールにはまだ遠いっすよジョーダンきっついなぁはははははは」
「誰が蜥蜴でツンデレか単細胞」
「誰が単細胞だこの不法侵入者ゴラァアアアア」

レオの飛び膝蹴り 攻撃!
しかし攻撃は 外れた!
壁に追突した レオは悶絶した!
レオは 倒れた!
少年は3 経験値を 貰ったってぇええ俺弱ぇええ。

膝に走った痛みを部屋の隅っこで耐えていると、ルカリオが面白そうにつっついてきた。ムカついたので蹴りで撃退。
いや……だってありえない。

「少年=アイク説が仮に本当だと…、
いややっぱない」
どっちだよ

「ねーって!!だって少年!
君人間だぜ!?アイク君はキモリだぜ!? ゆーしぃ!?」

「発音悪ィな」
「シャラァアアップ!!!!」

発音悪いのは百年度に千年前から理解しとるわっ。
英語苦手だわ。多分それは何年経っても変わらぬ事実。

「だってゲンさん!!
そうだろ!? こいつ人間じゃないっすか!
キモリは蜥蜴じゃないっすかぁあ!!」
「蜥蜴じゃねぇっつってんだろ物分り悪ィな馬鹿がアホが馬鹿が」

「レオ君、この子人間じゃないよ」

………なにゲンさんはあっけらかんと、
重大な事を言うわけぇぇええ!!!?

「なァルカリオ。
ゲンさんって天然? それとも確信犯なのか?」
「………後者に500円」

「だよな…………って誰っ!?」


俺の質問に答えたのは、蒼い髪の青年だった。
何故かめちゃくちゃ美形。眼は朱く、見詰められるだけで何もかも見透かされそうな――――透明な眼。服装は、ゲンさんと少し似ていた。
―――ちょっと待てよ。俺は部屋を見渡す。さっきまでそこに居たルカリオが居ない事に気付いた。
服装はゲンと似ていて…………蒼い髪に朱い眼。それってルカリオと同じじゃあ……。
いやいや待てよ?それ言ったら、あの少年だって………、
緑の髪に、碧い眼。
それって………、ついでにゲンも、言っていた。“その子は人間じゃない”と。

―――つまり、

ぎこちない動きで俺は少年を顧みる。
あまりにもぎこちなさすぎて、ギギギッていう機械音が鳴った気もするが………まあ無視だ。少年は碧い、綺麗で少し大きい眼を、俺に向けていて…、

「何だ、単細胞」

よくよく考えてみれば、その声は俺の相棒と同じ、で………、
……というか、冷静になればすぐに、その答えは導き出される訳でして。

「……アイク……!?」

なんつー日だよ今日は。ビックリディだよ。
  

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