25.永劫の闇で、 −後編− (7/7)
「……こう、なったか…」
闇に紛れた黒が、ぽつりと呟く。
冷静に聞こえる声の中には、憮然としたものが混じっている。その感情は、あの少女に向けたものか、小さなピチューに向けたものか。または、両者。または、違う誰か。
こうなる事は、定めなのだろうか。
運命とやらに、あいつは、あの幼き人間は────、
「(……やはり、
“主様”の考えは理解できないな…)」
なんて、臆病で脆弱な自分は、口に出す事もできないが。
これも定めか? これも歪んでしまった運命か?
歪んだそれが、とても憎い。それのせいで、自分は鎖に縛られているのだ。
だが“歪みをつくってしまった者”を、憎む事も恨む事も、自分はできない。自分は、本当に、臆病で醜い。手を差し出す、勇気もない。
だから、
これはせめてもの、償いだ。
こうなるまで、なにもできなかった自分が、彼女と彼らへと送る贖罪。
永劫の闇で、
―後編―「“レオ”………、
お前は、どうか…」
(闇の中に、)(ひらひらと見えた“赤”を目撃したと、)
(帰ってきたレオとユウに、)(ナミとサヨリは話していた)
(その意味は、)(まだ誰も───、)
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