×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -




『綴くんお疲れさま!はいこれ、ハッピーバレンタイン!』

「わ、俺に!?しかも手作り!いいのか?」

『もち!あ、臣くん太一くん!ハッピーバレンタイーン!』

「えー!いいんスか!?やったー!今年初チョコだー!」

「ありがとうな、向こうにガトーショコラ用意してるぞ」

『え、突然来たのに私の分もあるの!?』

「いつもの礼だよ。どっちみち万里に呼んでもらうつもりだったんだ」

『えええ……お礼はこっちの台詞……臣くん大好きすぎる…』

「はは!それは光栄だな」

「………いい匂い……」

『ギャッ!碓氷くん!背後から突然現れるの良くないよ!』

「……チョコ」

『いや碓氷くんめちゃめちゃモテてたじゃん。私知ってるよ』

「知らない奴のは受け取ってない。監督とアンタのしか貰わない予定」

『えっ嘘何それ普通に嬉しいから大きいのあげちゃう』

「チョロ」

『いや手のひら返すの早!』

「アンタ達、こんなとこでなに騒いでるの?」

『あ、幸くんも!ハッピーバレンタイン!』

「ああ……久々に寮に来たと思ったらこれ渡しにきたのか」

『そうだよ!不味かったら何も言わずに捨ててね!』

「冗談やめてよ。ちゃんと食べる。ありがと」

『へへ!えーと、あとは……お!咲也くん至さん!』

「みんな集まってどうしたの?」

「……甘い匂い。チョコかな」

『ピンポン!大正解!はい、ふたりもどうぞ!』

「ありがとう!ラッピングすごく可愛いね!」

『咲也くんの可愛さには負けてるけどね。……あ、至さんはもしかしてもう飽きちゃいました?』

「え?」

『顔からしてモテるでしょ。チョコいっぱいもらってそうだしゲームしながら消化してそう。というわけで念の為用意しといたクッキーの方あげる』

「いやエスパー?お前最高だわ」

『あはは、わかる!』

「おい、何騒いでんだてめぇら!うるせぇぞ!」

『あ!左京さーん!ピチピチのJKがチョコあげます!完全に偏見ですけどビターのやつでいいですか?』

「若さ強調してんじゃねえ!……まあ、有難くいただく」

『ついでにコソコソしてる兵頭、バレバレだから出てきなさいよ』

「……チッ」

『はい、1個だけハイミルクチョコにしといた!感謝しなさい!』

「…………サンキュ」

『声ちっさ!……あ、天馬と監督さん!』

「久しぶりだな。何やってんだこんなところで。談話室入れよ」

『チョコ配りにきたの!ハッピーバレンタイン!』

「えー!私にまでいいの!?」

『もちろん!監督さんには1番お世話になってます!』

「私からもあるの。後で渡すね」

『神!あ、天馬もはい!』

「結構美味そうだな。サンキュ」

『天馬めちゃくちゃ貰ってるだろうから迷ったんだけど』

「あー……まあ多すぎると正直事務所の人間に配ることもあるけど、知り合いから貰ったもんは全部食べる」

『イケメンか……あ。ねえ、あいつどこにいる?』

「あいつ?…………ああ、たぶん談話室だろ。さっきまでリーダー会議やってたんだよ」

「もう誰もいないしそろそろ出てくると思うんだけど……」

『あ、ほんとだ出てきた!ばーんーりー!』

「あぁ?お前こんなとこで何やってんだよ」

『うっそ今日が何の日か知らないの!?朝から大量に貰ってたじゃん!』

「あ?あー……バレンタインか。今年何?」

『チョコタルト!今年は生チョコの隠し味も研究してみたのよ』

「去年のもわりと良かったけどな」

『今年はもっと美味しいの!あとこれはママから』

「あ?んだこれ、でけえな」

『カリフォルニアロール』

「は!?おい天才かよ……」

『私のチョコよりガチトーンで喜ぶんじゃないわよ』

「ババアのカリフォルニアロールは如何なるもんも凌ぐだろマジで」

『それは常識だけど……あんたいい加減周りに人がいる時だけかっこつけてママのことババアって呼ぶのやめな』

「るっせえここで言うな死ねブス」

『何?聞こえなかった。もっぺん言ってみなさい』

「チョコ寄越せ」

『キー!腹立つ!!左京さーん!!』

「バッカお前1番やべーの呼んでんじゃねーよ!」

『あはは!』



2月14日。大切な人に気持ちを伝える日。

どうしてバレンタインって1日だけなんだろうね。毎日そうなら素敵じゃない?
そう言って小首を傾げた私に、今よりも少し幼い万里が笑ったのを覚えている。

人間っつーのは天邪鬼なんだよ。特別な日でも決めてやんねーと、なかなか本音が言えねーもんだろ。

ふうんと流したあの日から、何だかんだで私はせっせとチョコレートを作り続けている。
一体誰に対して天邪鬼なのかは知らないけれど。

好きです。ごめんね。いつもありがとう。
相手は誰だっていいし、気持ちも何だっていい。
いつもは言えないその言葉を伝えようとする、その背中を押すために、この日があるのだ。



誰かに恋をしているあなた。

運命の恋を待っているあなた。

勉強に打ち込んでいるあなた。

仕事を頑張っているあなた。

何かに一生懸命なあなた。

そして今私が話しかけている、すべてのあなたへ。





Happy Valentine's Day