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『ケーキ……』

「……」

『七面鳥……』

「……」

『ローストビーフ……』

「……」

『クリームパイ……』

「……」

『…………』

「っだー!さっきからうるっせーなデブ!」

『だって今日ってクリスマスなのよ!』

「だから何だよ」

『なんで私は冬休みなのにわざわざ出校してクソ万里の隣で勉強なんてしてるのよ!』

「追試になるからだろ。自業自得だっつの」

『そもそもよりによってなんであんたがいるわけ?ご自慢の頭脳はどうしたのよ?』

「2学期の単位数ギリギリだったからな。補習で賄えるっつーからその分。兼お前の目付け役」

『そんなのいらないわよ!』

「いるだろ。お前この1時間で何問解いたか言ってみ?」

『…………2問……』

「信じらんねー。帰る気ねーだろ」

『一刻も早く帰りたいに決まってるでしょ』

「今年イチ矛盾したこと言ってんぞ」

『うるさいわね。あんたこそ終わったわけ?』

「たりめーだろうが。お前が1問解いてる間に余裕で1枚終わるわ」

『ほんと腹立つな。じゃあさっさと帰りなさいよ』

「ふーん」

『なに』

「俺がお前置いて帰ってもいいわけ?」

『は?何が言いたいのよ。どっちみち帰るとこ違うでしょ』

「チキン」

『え?』

「ローストビーフ。クリームパイ……あとなんだっけ?ケーキ?」

『……は?』

「何とか全部用意出来るってよ」

『え?なんの話?』

「お前の言ってたもん全部リクエストしたらいま全部通った」

『…………まさか……』

「臣と綴が買い出し行ってる。食いたいなら早く解け。俺は寝る」

『な、なにそれ……私行ってもいいの?』

「はあ?なんでだめなんだよ」

『だって……部外者』

「今更かよ馬鹿じゃね。あいつらお前のためにって張り切ってんだぞ」

『……』

「……うちは部外者をクリパに呼ぶほどセキュリティガバガバじゃねーよ、さすがに」

『……いいのかなあ』

「あの左京さんが食費多めに割いていいっつってんだ。異論のありそうな奴は他にいねーだろ」

『ふ……それはすごいわ』

「だろ?」

『……よし、やる気出てきた。万里教えて』

「ふざけんな寝るっつったろ」

『教えてくれなきゃ万里が私にチキン取られて大泣きした話寮でバラす』

「いつの話してんだよ!」

『…………あれ?』

「んだよ」

『そういえば万里って、クリスマスに彼女いたことあるっけ?』

「あ?……ねーな。ついでにお前も」

『だよね。毎年うちでチキン食べてる気がするもん』

「ま、いんじゃね?やっぱクリスマスは家族のがしっくりくんだろ」

『たしかに!』


今年は家族がたくさん増えたね。

私が笑うと万里も増えすぎだよな、と苦笑した。

窓の外に舞う真っ白なそれに気がついたのは、ようやく空欄を全て埋め終わった頃だった。



Merry Christmas