「あれ〜?万チャンと至サンどっか行ってたんスか〜?」
「げ、太一……」
「げってなんスか!?ひどい!」
「だーうるせーな!新しいゲーム買ってきただけだっつの!」
「えー!俺っちもやりたいっスー!」
「言うと思った!俺らもまだやってねんだからお前はあとに決まってんだろ!」
「なんでっスか!?やだやだやりたい!」
「まあ別に来てもいいけどね」
「は!?こいつにやらせたらクリアまで時間かかるっすよ!」
「あまりに下手なら代わるから」
「やったー!」
「……チッ、仕方ねーな……」
『あれ?玄関でなに騒いでるんですか?寒いでしょ。談話室のソファー空いてますよ』
「ああいいよ、すぐ俺の部屋行くから」
「ゲームするんだー!」
『へえ、太一も?珍しいね』
「至サンがいいって!」
「調子乗んじゃねーよ!渋々だっつーの!」
『へえ……じゃあ私は今から出かけるから、3人とも楽しんで』
「どこまで行くの?今日寒いし車出そうか」
『平気ですよ、商店街までおつかいに行くだけなので』
「じゃあ俺も行く!買い物なら荷物持ちいた方がいいよね?」
『太一……そうだけど、いいの?ゲームは?』
「今度借りる!万チャンやっぱ俺っち抜きでいいっスか?」
「最初からそのつもりだわ!」
『じゃあ行こっか、太一』
「うん!行ってくるっス〜!」
「あのさ、」
「や、たぶん俺も同じこと考えてたけど」
太一って、あいつにだけは敬語じゃないんだよな。
無意識なんじゃない?とつぶやいて、至さんが楽しそうに口角を上げた。
俺も多分同じ表情をしているのだろうなと思った。