賤しくてみっともない。こんなどうしようもない女を、貴方は。愛してくれたのですか

縋れば良かった
引き留めれば良かった
泣き喚けば良かった
私も貴方の事を心から慕っていると
固く引き結んだ唇をなけなしの勇気を振り絞ってこじ開け
きつく抱き締めながらこの想いを、感情を
音にのせれば
そうすれば貴方をなくしてしまうことも傷つけてしまうこともなかったのかしら
もはや、叶わないことなのだけれど




 冷たい夜風にあたりたくて抜け出した。何気なく空を見上げて息を呑む。辺境の星空は、王都の其れよりも綺麗で。まるで星々が光のシャワーを浴びせてくるかのようだった。幾筋も流れては落ちる星に、じくじくと痛むゆき場のない想いをそっと紛れ込ませてみたくて。か細い声で呟いた。
「お慕いしております、×××様」
 何もかももう、遅過ぎるでしょうに。





いいや、まだ間に合う
一心に星空を見上げる横顔に見惚れた
貴女の口からお聞きしたいのだ
もはや隠し通せまい
俺も貴女を愛している
情けなくも歪んでしまった己の顔
俺の醜い心に気がついてしまったのか
ぎこちなく頷いた拍子にこぼれた一滴
当の昔に涸れたと思っていた涙が視界を滲ませる
それは紛れもない哀願であり、哀切でもあった


やあ僕ら随分と遠回りしたけれど漸く一緒になれたね
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