飴玉は噛み砕くべきだ





飴玉は噛み砕くべきだ




流れる。水、雲、風、政治、お金、人の心。移ろい変わる世界で、変わる事を恐れるというのはなんとも滑稽であろうか。(そうだろう、そうであるべきだ。)
それでも、と手を伸ばす。触れる物はない。手を取ってくれる誰かも居ない。それでも、それでも、その行為を辞められないのだ。ところつまり、それは夢であるから。
そう、夢であるべきなのだ。

現実、僕は理解している。誰よりも何よりもどんなものよりも。それでいて恐れおののく人々を見ては嘲笑している。
変わりゆく事が出来る人間という存在を、そんな人間である自分を誇りに思っている。
すべからく生きとし生ける命あるもののなかで最も気高くあるべき人間は、その実、最も貧弱であるのだ。それ故人は変化した、変化する、変化している。
なのに何故人々は変革を恐れるのだろうか。
何故僕は夢であるとはいえ、(いや、夢であることが最大の問題点だ)手を伸ばすのだろうか。変革を恐れるのだろうか、何故。
滑稽だ。滑稽すぎて笑う気すら削げてしまう程滑稽だ。まさしく滑稽というに相応しい。なめらかに、あくまで柔らかく笑う、自分自身を。滑稽であるが故、笑わなければならない、どんなに泣きたい気分であろうとも、だ。
何に手を伸ばすというのだ。何に縋っているというのだ。(そんなの、分かるはずもない)夢なのだから。夢であるのだから。

あぁ、甘い、甘すぎる。
このまま、溶け出して固まってしまいそうな程に。
(泣いてしまいそうだ)




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -