正義

それは彼にとって正義だ。

真っ白な部屋で、真っ白なベットの上で様々な機械につながれその心臓を動かす、いや、動かされている「妹」の前に呆然と立ち尽くす彼に、後ろから声がする。

「貴様の妹は、誰にこんなにされたと思う?」

振り返れば、そこはもう薬品のにおいでいっぱいだった白い部屋じゃない。「彼」にとっては。
彼の目にうつる穏やかな笑顔を向けた赤い男のその圧倒的力によって、「彼」にはいまその男の姿しか、声しか認知することはできなかった。しかし、「彼」にとって核心をつく男のその質問に「彼」はなにもこたえられない。
その質問の答えは、一番、自分が聞きたかった。
するとそれをわかっているかのように男がクスリと口角をあげる。

「わからないなら教えてやろう」

「彼」は目を大きく開く。その言葉が頭の仲でぐるぐると、幼い頃「妹」とのったメリーゴーランドのようにゆっくりと巡る。
おしえる、なにを?妹の、?自分の、この腹のなかでまわるこの真っ黒なものを?

「質問をかえよう」

「彼」の目のなかに男の深海のように底が見えない青い瞳をいれ、ゆっくりと顔を近づける。作り物のように美しい男。この国を従える男。その瞳の海に入れば、自分は後もどとできないとわかった。

「妹の仇を、殺したくはないか?」

「彼」にとっての正義


フー♂ニャオニクス
インカローズ♂イベルタル

弱みに付け込んで自分の手駒にする王様

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