三國/創作:V | ナノ


三國/創作:V 
【悪魔の花嫁U】
 




「あぁぁ…だめっ…もう……中が……。ひっく……」

もう何が何だか分からないといった様子で、名無しが泣きながら延々と甘い喘ぎ声を上げて悶える。


(…………絶望と愛情の入り混じった複雑な目で、私を見つめるようになったな。名無し)


曹丕はそんな名無しの色っぽい姿を、愛しそうに見下ろしていた。


いいか名無し。心して聞くがいい。


お前の価値観と私の価値観と、どちらが正しくてどちらが間違っているのかなんて、そんな事はどうでもいい。

例え片方がどれだけもっともらしい事を述べていても、片方がどれだけ卑怯な手段を使っていても。

戦争だろうが恋愛だろうが、敗者の意見は常に踏み躙られ、勝者の意見はいつも正しいとみなされるのが世の常だ。

しかしながら、名無し。考えれば考える程に、お前のような『前向きで善良な人間』というのはつくづく哀れな生き物だな。

たとえ絶望が背後から迫っていたとしても、あたかもまだ諦めてはいない、最後の望みを捨ててはいないというかの如く、気丈に振舞わなければならない。

さもなければ全員この腐敗と混沌に満ちた現世に絶望し、自殺しなければならなくなる。


────己の破滅を望む事は時として強い慰謝剤になるが、悲哀と苦悩にはなんの権利もない。


「ああ─ん…曹丕っ…」

またグチャッと、何かが潰れた音がする。

曹丕が動く度に、淫らでエッチな音が夜の寝室に響き渡る。

曹丕の分身が何度も名無しの中で出入りを繰り返すと、名無しの体液に混じって巨峰の甘い果汁が名無しの内部から大量に滴り落ちていく。

「ひぃぃ…イッちゃうぅぅ……」

そして最も室内に響くのが、名無しの喘ぎ声だった。

自分で発しているのが信じられない位、あまりにも淫靡で破廉恥なその嬌声。

自分で恥ずかしくなってしまう位にいやらしい声なのに、ズンズンと曹丕が深くまで名無しの中を抉る度に、とめどなく声が溢れてしまうのだ。

「いやあああ…もうやめてぇぇ……お願い…許して……」

曹丕が腰を前後に打ち突ける毎に、唾液で真っ赤に濡れている名無しの唇から悲鳴にも似た喘ぎ声が漏れる。

もう名無しは、自分が今どんな卑猥な声を出して、どんなエッチな格好をして、何をされているのかも全く分からなかった。

「……もう少し楽しみたかったが……」

独り言のようにそう呟いて、曹丕が赤い舌先で下唇をペロリと舐める。

曹丕は予想以上に名無し中が気持ち良すぎて、自分の予定よりも早い段階で射精体勢に入っていた。

こんなはずではなかったのだが、名無しの中が気持ち良すぎるのだから───仕方あるまい。

曹丕はそう思って自分自身を納得させると、口元を軽く緩める。

曹丕が思っている以上の速さで、名無しは曹丕の理想通りの存在に変化して、彼の欲望に応えていた。

李慶の件で散々虐めぬいて、責め抜いてやろうかと思ったが、気が変わった。


(この素質……褒美をくれてやるしかあるまい)


名無しの身も心も、魂ごと全て────虜にしてやる。


男らしく精悍な顔でニヤッと笑うと、曹丕は名無しを貫いたままでゆっくりと彼女に顔を近付ける。


チュッ。


曹丕は名無しの唇にそっと自分の唇を押し当てると、触れるか触れないか位のソフトな口付けをした。

「………えっ?」

曹丕にキスされた事を知り、名無しの肩が目に見える程にピクンと跳ねる。

カァーッと、全身の素肌を朱に染めていく名無しの姿を満足げに両目を細めて見下ろすと、曹丕は再度名無しの唇を塞ぐ。

今度は、先程とは打って変わった激しいディープキスだった。

「……んんっ……」

名無しは、最初自分の身に何が起こっているのか分からなかった。

曹丕の濃厚で巧みなキスは、名無しの意識を容易く奪い取っていく。

チュッ…と音を立てて男の唇が離れると、名無しの唇から『あんっ』と甘い喘ぎ声が漏れ、名無しは淋しそうな顔をした。

「二度とあのような真似をするなよ…名無し。李慶のようなつまらん男に、可愛いお前の泣き顔を見せてやるのは許さぬ」

曹丕は普段よりも幾分低く、そして甘さを含んだ声で名無しに囁く。

そして妖しく光る黒い双眼で名無しの視線を縫い取ると、名無しの瞳を至近距離からじっと覗き込んだ。


「────泣くのは私とのベッドの中だけにしておけ。……いいな?」
「……ぁっ……」


曹丕の端整な顔が、少しだけ微笑む。

その瞬間、名無し全身をビリビリッと電流のようなものが走り抜け、名無しの理性は完全に崩壊した。

どれだけ冷たくされたっていい。

どれだけ邪険に、玩具のように扱われたっていい。

こんな風に名無しの全てを支配して、身も心も虜にしてくれる男性は曹丕しかいないのだ。


───曹丕だけなのだ。


そう思った名無しは涙と嗚咽混じりでぐしゃぐしゃになった顔で曹丕を見上げると、甘く媚びるような声で曹丕に訴えた。

「あぁぁ…好き……曹丕が好きなの……大好き……」
「ふふっ。誰もそんな事、聞いてないが」
「ああ─ん…曹丕の意地悪ぅぅ……」

曹丕は名無しの両足を掴んで大きく広げて、腰の動きを再開させる。

そして中に入っている残りの巨峰を押し潰すようにして、何度も分身を打ち突ける。

曹丕の物が中で出入りを繰り返す度に、名無しの下半身は別の生き物になっていった。

苦しい位に感じてしまって、感じすぎてしまって、満足に呼吸も出来ない。

グチャグチャッ…という粘着質で淫らな音を延々と耳にし続けて、名無しはもう訳が分からなくなっていた。

「あぁぁぁ──…。イッちゃう………」

ひときわ大きな喘ぎ声を上げると同時に、名無しは体の奥深くで強烈な絶頂感を味わった。

その声にタイミングを合わせるようにして、曹丕は最後に最も深い場所に分身を突き立てた。

そしてそのまま、名無しの体内に絶頂を極めた証を放つ。

「く……っ。ん……名無し………」

最後の一滴まで名無しの中に体液を放出したのを確認すると、曹丕はようやく全身から力を抜いた。

曹丕の腕の中で目を瞑っている名無しは、見るからに力なくグッタリとしている。


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