三國/創作:V 【悪魔の花嫁U】 お前を私の妃に迎え入れるにあたり、お前の人生がこれから少しでも有意義な物になるように、主人である私の方から一つの助言をしてやろう。 恋愛でも、友情でも、仕事でも、人生でも。人は何事にも余計な希望を持たない方が良い。 希望を持つ事を放棄すれば、自然と絶望する必要もなくなる。 絶望は希望よりも遙かに誠実で優しいぞ、名無し。 絶望は人を裏切らない。いつも自分の想像通りか、それ以上に実直で辛辣な現実と共にやってくる。 それに比べて希望というやつは、常に数え切れない程多くの人間の心を裏切って、木っ端微塵に打ち砕く。 そうだな。分かりやすく言うならば、甘い笑顔と調子のいい言葉で懐に潜り込んできて、最後の最後で女の誠意を裏切る大嘘吐きの優男のようだとは思わんか。 それでも名無し。幾度となく私の元から逃げ出そうとして失敗しているにも関わらず、お前は最後までその『希望』に縋り、そいつに救いを求めるのだな。 そんな怠惰で窮屈な現世から、私がお前の心と体を解き放ってやろう。 魔王の寵愛を一身に注がれた誉れある唯一無二の存在として、その身に私の情けを受け、精を受け、魂ごと冥府魔道に堕ちるがいい。 地獄の亡者達も我々の婚姻を口々に祝福し、お前に向かって懸命に手を伸ばし、地底の底から『こちらへ来い』と叫び声を上げているのが聞こえるだろう。 分かるであろう?名無し。魔界はお前を呼んでいるのだ。 ────他の女ではない。 ─曹丕夢・【悪魔の花嫁U】 [TOP] ×
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