三國/創作:V | ナノ


三國/創作:V 
【Under WorldX《後編》】
 




角度をつけて抉るように突き上げられ、名無しの背中が大きく跳ねる。

しかし、動けない。珠稀に後ろからがっちりと押さえ込まれているので、思うように身動きすら取れない状態だ。

「ああぁ…やぁぁ…だめぇ──…!」

自由に身を捩って悶える事も封じられ、出口なく彷徨う快楽が彼女の体内で暴れ回る。ズブッと子宮口まで突かれた瞬間、膣内が激しく収縮した。どうやら軽く達してしまったらしい。

けれども、珠稀の動きは一向に止まらない。

「ひぁ…っ…やっ…あぁぁ……待って……!」

休む間もなく次の波が押し寄せてきて、再び名無しを襲う。今度はさっきよりも激しい波だ。

イッたばかりで敏感になっている部分を継続的に突き上げられ、意識が飛びそうになるほどの快感に襲われる。

(やだ……やだぁぁ……イッてるのに……まだイッてる最中なのにぃ……!)

抗議の声は、言葉にならない。連続してイカされ続け、頭の中はもうぐちゃぐちゃだ。思考回路は完全にショートしてしまっている。

ただでさえ通常のバックよりも深い部分まで挿入される体位なのに、それに輪をかけて凶悪なのは珠稀の男性器だろう。

改造された男根はさながらカリの部分が二重になったような形状の為、普通の男よりも広範囲でGスポットをゴリゴリと抉りまくるのだからたまらない。

珠稀にイカされる。そしてまた新たな絶頂が訪れる。またイク。意識を失いかける。強制的に体を揺さぶられ、意識が戻る。その繰り返し。快楽の永久機関の完成だ。

終わらない快感に恐怖を覚え、思わず逃げ出そうとするが、珠稀はそれを許さない。

「逃げんなよ」
「ひぃっ───あぁぁ───っ」

男の手で両肘を掴まれ、引き寄せられると同時に、ズンッと深く穿たれ、名無しは一層淫らな声を珠稀に聞かせた。

「あぁっ…だめっ…もう無理…許してください……っ。わ、私は……珠稀さんのペットです……。言います……ちゃんと言いますからぁ……!」
「もう遅い」

聞き分けの悪い性奴隷に、慈悲を与える必要はない。むしろ徹底的に調教してやらねば気が済まないくらいだ。だから情け容赦なく責め立てる。

幾度となく激しいピストン運動を繰り返し、名無しを追い込んでいく。その度に彼女の全身は小刻みに震え、秘部からはとめどなく愛液が溢れ出た。

「ああぁん…!やぁ…っ…、ひぅ…っ、もう…死んじゃ…っ」
「たっぷり注いでやるよ。名無しの大好きな精子をな」

そう言って、珠稀はさらにペースを上げた。パンッパンッという乾いた音とぐちゅぐちゅと湿った音が混ざり合い、淫猥な旋律を奏で始める。

彼女はいやいやをするように首を振り、泣きながら『中はだめ』『イッちゃう』『許して』と哀願し続けていた。

だが駄目だ。これは罰なのだから、許しはしない。最後の最後まで、徹底的に追い詰める。

「───ほらイケよ。イキ狂え……!」
「ひぃぃ……、やあぁぁぁ──────っ!!」

一際大きな絶叫を上げ、名無しは大きく仰け反った。

ほぼ同時に、珠稀もようやく絶頂を迎える。限界まで充実した男の物がドクドクッと脈打ち、二度目の射精とは思えないほどに大量の精液が名無しの胎内に侵入してきた。

長い吐精の間、珠稀は彼女の体を固定したまま何度も腰を打ち付け、最後の一滴までも余すところなく注ぎ込む。

やがて全てを出し切ったところでようやく拘束を解き、ゆっくりと引き抜くと、名無しの体内に収まり切らなかった分の白濁液がどろりと溢れ出す。

その様子を満足げに視認して、赤い髪の美男子が舌舐めずりをしながら嗤う。

「あーあ、沢山出してやったのに勿体ねぇな。せっかくご主人様がくれてやったご馳走なのに」
「ひっ…ぅぅ……。ゃ…ぁ……ごめ…ん、なさ……」

涙声で謝る彼女に対し、男は冷酷にも言い放つ。

「これじゃ腹一杯にならないよね。どうする。もう一回ヤッとく?名無しちゃん……」

尋ねる声はひどく愉しげだった。獅子や虎が瀕死の小動物を必要以上にいたぶって弄ぶように、残酷で無慈悲な目付き。

「い、いや……やめ、て……。いや…ぁ……」

怯える名無しの瞳は次第に焦点を失い、目の前が暗くなる。


────絶望する。震える程に。


『抱き殺される』という言葉が存在するのかどうかは知らないが、少なくとも今の名無しにはぴったりの言葉だ。

体内に注がれた瞬間には熱いと感じたはずの男の精液が、今ではひどく冷たいものに感じる。

悪魔の精液は冷たいというのが、本当の話であるならば。

嘲笑する男に注がれたのは、人間の男の精子ではなく、悪魔の種か。

悪魔とのセックスは、魂が凍り付くほどの、世にもおぞましい悪夢なのか。


それとも────。


身も心も全て捧げ、一生その淫夢に浸っていたいと思えるほどの、究極の快楽なのか?




「寝バックとかいう、選ばれし者にしか使えない体位の自慢はやめて欲しいわね」

黒服に出された白茶を優雅に飲みながら、キングが呆れたように語る。

「何でてめえがまたここにいるんだよ」

不機嫌さを露わにした声で、珠稀は乱暴に言い返す。

脱力しきった様子でベッドにぐったりと体を預け、肩で息をするのが精一杯だった名無しの体を珠稀専用の浴室で綺麗にする為、店の女達を数人呼び出して『体を洗ってやってくれ』と頼んだのが10分前。

女達に連れられて風呂場に向かう彼女の姿を見届け、珠稀が室内に戻ってきた時には何故かこの男がしれっとした顔でソファーに座っていた。

おまけにその手には、ちゃっかりと上客にしか出さない高級湯呑みを握り締めている始末。

何なんだこいつは。一体どこから湧いて出たのだ。ほんの僅かに目を離した隙に、僅かな隙間から侵入してくるのか。ゴキブリか?

「あら、だって忘れ物を取りに来たら旦那はお取込み中だって言うんだもの。黒服ちゃん達が律儀に邪魔してきたけど、強引に扉をちょこっと開けて覗いちゃった。一瞬だけよ」

旦那の事だから、気付いてたとは思うけど。

わざとらしく肩を竦め、いけしゃあしゃあと言い放つキングに対し、珠稀はこめかみの血管がブチ切れそうになるのを必死に堪えた。

「ふざけんな。勝手に人の部屋を覗いてんじゃねーよ」

部屋の扉が開いた気配には珠稀も気付いていた。

とはいえ、特に殺気は感じなかったし、わざわざセックスを、しかもラストスパートを中断してまで確認するのは億劫だったので放っておいたのだが、まさかこのアホが戻ってきていたとは。

「でも、なかなか良いモノを見せてもらったわ」
「あ?」
「寝バックだなんてやるじゃない。あれって断然長さのある方が有利だし、男側にも刺激が強くて暴発しやすいから、短小早漏には向かないのよね。その点、旦那は流石だわ。持久力抜群の超長極太ちんぽの持ち主だもんね」
「てめえに見せた覚えはねえんだけど」
「さっきチラッと見えちゃったわ。ふふーん」

むかつく野郎だ。今すぐ絞め殺してやりたい。

珠稀がイライラを募らせていると、当のキング本人は何処吹く風といった様子で、涼しい顔でお茶を啜っている。


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