三國/創作:V 【Under WorldX《後編》】 「……だったらもっと媚びろよ。俺がその気になるくらい、可愛く鳴いてみせろ」 グッと低めた声で吐き捨てて、珠稀は再び腰を動かし始めた。今度はゆっくりとした動きで抜き差しを繰り返しつつ、時折名無しの弱い部分をやんわり擦って焦らすように責めてやる。 ≪バックなんて、ただ後ろから突っ込んで激しく動けばいいんだろ≫ 世間の大半の男はこう考えて、何の疑問も無しにひたすら腰を振っているだけだと思われるが、珠稀は違う。 単純にガツガツと腰を打ち付けるだけでは、せっかくの体位もその真価を発揮できていない。 ノーマルバック、寝バック、立ちバックといった基本的な物を含め、バックには20以上のバリエーションが存在するが、珠稀はその全てを網羅し、それぞれの特性や効果を把握し、相手の反応を見ながら使い分けることができる。 バックを制する者はセックスをも制する≠ニいうのが珠稀の持論だ。最も得意とするこの体勢で、ペットに舐められる訳にはいかない。 ………それなのに。 (くそっ、何でこんな……っ) 珠稀は苛立ちをぶつけるように、緩急を付けながら腰を打ち付ける。その度に名無しの口からは甘い悲鳴が上がり、珠稀の耳を心地よくくすぐった。 心の中で毒づくものの、名無しの膣内がもたらす快楽の強さには抗い難い。 自分が彼女に快感を与える以上に、それ以上の潤いと収縮と絶妙な締め付けを持って、名無しの内壁は珠稀の物に吸い付いてくる。 珠稀がハァ…ッと熱い吐息を漏らすと、名無しもまた同じように喘いだ。それがまた情欲を呼び覚まし、さらに強く突き上げてしまうという悪循環に陥っていく。 認めよう。彼女は間違いなく名器、しかも滅多にお目にかかれないくらいの極上品だ。 珠稀は今まで数多くの女を抱いてきたし、その中には勿論、素晴らしい肉体を持つ者もいた。しかし、ここまで珠稀自身を虜にした女はいない。 一度味わってしまえば、病みつきになってしまうほどに。 「あぁぁん…。珠稀さん…、すごい…気持ちいいの……っ」 「くっそ…、名無しの分際で、調子に乗りやがって……」 「あぁ──んっ…いやいやっ…いじわるしないで…珠稀さぁん……」 「……っ、は……っ。誰が意地悪だ……、お前の方がよっぽどタチ悪いじゃねぇかよ……!」 わざと煽っているのかと思えるほど甘ったるい声とキツイ締め付けに、珠稀は歯を食いしばって耐える。 望みどおりにしてやってもいいが、優位に立たれるのは気に入らない。 支配するのは、この俺だ。 「あんっ…あっ、ああぁっ、激しっ……そんなに、されたら……私……またイッちゃう……」 「もっと腰振りまくってよがりまくって、無様な姿を見せてみろ。そうすりゃ俺も気分良くなって、少しは優しくしてやれるかもしれねえぞ」 「ふぁぁっ、たま、き、さん…っ。だめ、こんなの、だめぇぇ……!」 「イケよ。何度でもイキやがれ。俺に犯されて、死ぬほど気持ち良くなりな」 「いやぁぁ…そんなに、したら……。もう…待てないの…、珠稀さんが…欲しいです……。いっぱい、いっぱい……、もう……!」 「くっ……!」 その瞬間、珠稀の中で何かがプツンと切れた音がした。 クッソ!!さっきから何なんだよ!?この女っ。 俺好みのドエロだわ、感度がいいわ、従順だわ、濡れまくりだわ、締まりがいいわ、俺の性癖を狙い撃ちする甘え方をするわ、俺が喜びそうな事をガンガン言うわ、もう可愛いわ、めちゃくちゃ可愛いわ、意味分かんねーくらい可愛いわ、可愛いわ、可愛いわ………。 「ちくしょう…。やっぱ可愛いぜ、お前……」 無意識のうちに、そんな言葉が口をついて出た。 全身から匂い立つ名無しの濃密な色香と、男を誘う甘い仕草、自分のモノをがっちり咥え込んで離さない彼女の膣壁の心地良さに、頭がクラクラしてくる。 普段は女性に対してどこまでも軟派で、クールで、つれない態度がデフォルトであるはずの珠稀だが、脳内妄想の最後の方は、語彙力が完全に崩壊していた。 もう限界が近い。早く名無しの中に出したい、己の体液をたっぷり注ぎたくて堪らない。 そう考えた瞬間、彼女の背中に手を置いて上から押していた。 「名無し。俯せになれ」 「……は、い……」 名無しはシーツに全身を委ねて俯せの体勢になり、これでいいですか?と言いたげに肩越しに振り返って珠稀に視線を送る。 その様はまるで飼い主に甘える子犬のようで、珠稀は思わず口元を緩めた。 「……そのまま動くなよ」 珠稀は名無しの身体に覆い被さると、その状態で背後から挿入し、名無しの背中に胸を押し付けるようにして密着した。寝バックの体勢である。 寝バックは珠稀の中では最強の体位であり、これに勝るものはこの世に存在しないと思っているくらいだ。 男根の位置をそれほど調整しなくてもGスポットやポルチオ周辺を刺激することが可能なので、女が中イキに達しやすい。 男性器の形状や女性器の位置によって刺激できる部分は異なるが、条件が合致した時に生み出される深い挿入感は格別である。 珠稀にとっても、この体位は彼の嗜虐心をそそるものだ。女性の体を背後から圧迫し、逃げ場がない状況に追い詰めるので、征服欲が満たされる。 「あぁん……っ、これ、深いぃ……」 男の体重を受けて名無しは苦しげに呻くが、それすらも珠稀を悦ばせる。自らの手で快楽地獄に突き落とした女の狂乱と喘ぎ声は、彼のような男には最大の供物でしかない。 「あんっ、あっ!すご……いっ、奥に当たって……やぁぁん!」 伸し掛かるようにしてグリグリと腰を押し付ければ、名無しの唇から漏れる声もより一層大きくなっていく。 もっと鳴かせたいと思い、わざと焦らすようにゆっくりと引き抜いていき、先端部分だけを入れた状態で動きを止めてやる。 すると、それを非難するかのように、彼女の内壁がキュウッと締まった。 「俺と会っていない間、他の男とヤッてたんだろ?ってさっきは聞いたけど……」 「……っ、そんな、こと、して、ませ……っ!」 名無しは切羽詰まった声で答えるが、珠稀はそんな彼女の反論を嘲笑う。 「はっ。んなこと、一々聞かなくても知ってるっつーの。つうか、お前みたいな淫乱女、俺以外の男じゃ満足できねえだろうしなぁ?」 「あっ…あっ…、そ、そんなこと……な……」 「違わねえだろ、名無し。こんなにグチョグチョにして、俺のチンコ美味そうに咥えて、あんあん啼いて喜んでんだろ?」 「……ち、違……」 「何が違うんだよ」 「珠稀さ…ん…。お願い……、もう、無理です……!やだぁぁ……おかしくなる……死んじゃうぅ……っ!」 「いい加減認めろよ。『私は珠稀さん専用のペットです。珠稀さんじゃないと駄目なんです。珠稀さんのおちんちんじゃないとイケません』って」 「いゃ…ぁ……、そんな…こと……言え、な……っ」 湧き上がる羞恥心でぶるぶるっと体を震わせながら、名無しは嗚咽まじりに拒絶した。 すると珠稀は、彼女の耳元をペロリと舐め上げて、低い声で囁く。 「なら駄目だ。飼い主の言う事が聞けない犬は、大人しく一生、俺の下で喘いでろ」 「ひっ…!?」 その直後、珠稀は一気に奥まで貫いた。 [TOP] ×
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