三國/創作:V | ナノ


三國/創作:V 
【Under WorldX《後編》】
 




「嬉しい…。名無しちゃんから、俺の味がする」
「……っ」
「俺のこと、心から受け入れて貰えたって実感する。ね、名無しちゃん。これからも喜んで飲んでくれるよね?」

そう言って笑う男の顔には狂気じみたものが滲んでいて、背筋に悪寒が走った。

同時に、その微笑みがあまりにも妖艶で、美しくて、たまらなく淫靡で、至高の宝石のように煌めいて見えるものだから、名無しは身を震わせつつも、うっとりと頷くしかない。

「は、い……。珠稀さんの、お好きな時に、好きなだけ……私の口に……出してください……」
「ふふっ。いい子だね」

まるで怪しい薬を投与されたか、強力な暗示をかけられてしまったようだ。

自ら望んでこんな台詞を口にするなんてどうかしていると思うけれど、それでも構わないと思ってしまうほど、この異常な状況に名無しは囚われていた。

身体が火照って仕方がないし、頭の中がぼうっとして何も考えられない。ただ男が与えてくれるものだけが欲しくて堪らなくて、それ以外のことなど最早どうでもいい。

(やっぱりな。俺の力は、まだ鈍っちゃいない)

目の前の女を眺めつつ、珠稀は思った。

(この女は、俺のことを男として全く意識しないわけじゃない。むしろかなり好意を抱いて、意識しまくっているはずだ)

全然意識していない相手であれば、無駄に構える必要はない。頻繁に顔を合わせようが、視線が合おうが、体が触れようが、あっさりと受け流し、何事もなかったかの如く振る舞うことができる。

しかし、ある程度意識している相手には少しの接触であっても敏感に反応してしまう。

だからこそ、名無しは真っ赤な顔をしながら男の胸板を押し返し、抵抗し、恥ずかしそうに両目を潤ませて拒絶する。

これ以上心を奪われることがないように、物理的にも距離を取る。頻繁に会うことを避け、己の理性を保とうとする。それこそが、彼女なりの精一杯の自己防衛の証拠ではないか。

(だとすれば、その壁を無理やりブチ破る)

処女膜を強引に貫通するように、一度侵入さえしてしまえばこっちのものだ。後はじっくりと時間を掛けて慣らしていくだけ。そうすればきっと彼女は自分から求めてくるようになるだろう。

だったら簡単だ。ひたすら回数を重ね、彼女の記憶に己を刷り込み、名無しの中に珠稀≠ニいう楔を二度と抜けない程に奥深くまで打ち込んでやればいい。

………逃がさない。

この女が俺の顔を見ないで済むように目を背け、声を聴かなくていいように耳を塞ぎ、会わなくていいように離れようとするというのなら。

───俺は問答無用でこの女の視界に入り、その身も心も侵食し、丸呑みにしてやるだけだ。

「意地悪ばかりしてごめんね。俺、名無しちゃんのことになると、どうしても抑えきれなくなるんだ……」

珠稀は名無しの髪を撫でながら、一変して優しい声音で囁いた。名無しはされるがままになりながら、ぼんやりとした瞳で彼を見上げる。

「だから、もっと俺を受け入れて」
「……は、い……」
「俺だけを見て」
「……ぁ……、珠稀さん、だけ、です……」

そうだ。もっと俺を視界に映せ。他の奴なんか見なくていい。

名無しちゃんは一生そうやって、俺に縋りついていればいいんだよ。

だからね、早くここまで堕ちてきて。俺の玉座がある地獄の底まで。

そうしたら、もっともっと可愛がってあげる。

俺がいなければ生きていけないくらい────死ぬまで俺に依存させてあげる。

「俺だけの名無しちゃん。君は俺のものだ。誰にも渡さない。だから……、ずっと俺の傍にいて」

珠稀は名無しを抱き起こし、自分に背を向けた状態で膝の上に座らせる。そして後ろから抱き締めるようにして彼女の身体を固定すると、大きな手で名無しの下腹部に触れた。

「ひっ…、あ…!ああん…やあぁぁ…」

秘裂に沿って指を這わせると、とろとろに溢れ出てきた彼女の愛液が珠稀に絡みつく。そのまま中指を膣内へと挿入させ、ゆっくりと抜き差しを始める。

「脱がさなくても即指を入れられるっていうのは、本当に便利だよねえ。俺、やっぱり穴開きって好きだわ」

ぐちゅっ、ぬちゃっ、くちゅっ、と卑猥な音を立てながら、珠稀の指が出入りを繰り返す。その度に名無しの口から甘い吐息が漏れ、男の腕の中で身を捩って悶えた。

「はぁ、んっ、あっ、あぁん…。だめ…そこ…珠稀さん……」
「可愛い声。ここ、気持ちいい?」
「いゃ、ぁ…きもち…ぃ…。珠稀さ…っ。そこ…だめぇぇ…気持ちいいの……」

恥ずかしがる言葉を口にしつつも快楽を素直に表現する名無しは、すでに正常な思考を失い、珠稀の隷属に成り果てていた。

その証拠に、名無しは自ら腰を揺らし、彼の指の動きに合わせて自身も快感を得ようとしている。

彼女の姿はとても淫らであり、男の情欲を掻き立てる媚態だった。

「ふふ……。素直になったね、名無しちゃん」
「あぁーん…。だってぇ…。気持ち良すぎて、おかしくなっちゃいます……。やだぁぁ…もう…もう……」

珠稀は名無しを背後から抱きしめつつ、左手で乳房を揉みしだき、右手で陰核を刺激してやる。そうすると名無しは面白いくらいに乱れて喘ぎ、全身を痙攣させた。

「だったら、そろそろもっと大きなモノが欲しいよね?」

低く囁き、珠稀は勃起している自身で名無しの秘部を擦り上げる。一度精を放ったばかりだというのにそれは太く長く脈打ち、既に十分な質量を取り戻していた。

硬く充実した先端を入り口にグッと押し当てられた瞬間、名無しの喉がごくりと鳴る。

それ以上のものを知っている身体はそれを求めて止まず、無意識のうちに腰を浮かせて男を迎え入れようとしてしまう。

「…たま、き、さん…」
「ん?」
「…欲しい…です…。どうか…、お願い、します……」

消え入りそうな声で懇願すると、珠稀が背後で笑った気配を感じる。

「いいよ。じゃあ、自分で挿れてごらん。ゆっくりでいいから、俺の上に乗って、自分から腰を下ろしていくんだ。できるよね……?」

────君が望んだ結果なんだから。

どこまでも冷酷で残忍な魔物の声が聞こえた気がしたが、もう、どうでもよかった。

今はただ、この疼いている身体の熱を鎮めたい。一刻も早く楽になりたい。

それだけしか、考えられない。

「……はい……」

小さく返事をして頷くと、珠稀の手が膝裏に回されて両足を大きく開かれた。そして彼の手によって支えられたまま、名無しはゆっくりと腰を下ろす。

「あ……、あぁぁ……」

入ってくる。指なんかよりもずっと大きくて、長くて、太くて、硬いものが、自分の中へと。

恐怖よりも、期待の方が強くなる。これから自分はどうなるのか。どんな風に、珠稀に犯されるのか。想像するだけで心臓が早鐘を打ち、呼吸まで荒くなる。

そう思った瞬間。

ズンッと一気に最奥まで貫かれ、頭の中が空白になるような衝撃が走り、意識が飛びそうになる。しかしそれを許さないとばかりに下から激しく突き上げられ、すぐに現実へと引き戻された。


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