三國/創作:V | ナノ


三國/創作:V 
【悪魔の花嫁V】
 




「あああ…大きい…」

ゴクリと喉を鳴らし、名無しが感嘆の溜息を漏らしながら曹丕の物をうっとりと見つめる。

調教を始めて1年と数か月あまり、名無しの身体には不思議な変化が起こっていた。

最初はあんなにも怖くて仕方なかった曹丕の物が、曹丕に何度も何度も抱かれている内に、今ではこうして見ているだけで下半身がトロトロに溶けてしまう位魅力的な物に見えてくる。

男の物を見ているだけで、ついこの間まで乳首にはめられていた乳首クリップの痛さや、目隠しされた時の布の感触や、体を縛っていた縄の感触までリアルに思い出してしまう。

そしてそれを思い出せば思い出す程に、名無しは曹丕の男根が愛しくて愛しくて堪らなくなっていく。

「あ…、欲し…い……」
「ん…?何も聞こえなかったな」
「ほ、欲しい…ですっ…。曹丕のが…中に…一杯欲しい……」

涙で潤んだ瞳で男を見上げつつ、名無しは自分で自分が信じられなかった。

まさか自分がこんな恥ずかしい言葉を平気で吐くようになるとは夢にも思っていなかった。

だが、紛れもなくこの言葉は彼女の本心から出てきた言葉だった。

名無しの欲望が、心からそれを望んでいるのだ。

「入れるだけでいいのか?」

曹丕は、意地悪そうに両目を細めて名無しに言う。

先端の鬼頭部分だけを名無しの入り口に押しつけているものの、名無しはまだ曹丕の逞しい男根を体内に受け入れる事を許されていない。

名無しは『ああ─んっ』と切なそうな喘ぎ声を上げ、我慢出来ないとでもいうように自ら下半身を男の股間に押しつけ、物欲しそうな目で曹丕の黒い瞳に視線を合わせた。

「奥まで一杯入れて…動いて欲しいの。それで…曹丕のを…中に…一杯出して欲しい……」

と、名無しが泣きながら切なそうに言うと、曹丕は急に噴き出すように笑いだした。

「くくっ…中に出して欲しい…か。はははっ…これはいい。変わったな、お前。はははは……」

曹丕のこんな笑顔は初めて見たが、それがとても男らしくて雄々しくて高らかな笑い声で、名無しはますます胸がキュンッと締め付けられるような甘い痛みを感じていた。

曹丕が喜んでくれるなら、どんな事でも自分は出来そうな気持ちになってくる。


こんなに酷い事ばかりされているのに、どうして?


「あんっ…」

不意に強い力で下半身を引き寄せられて、名無しが慌てたような声を出す。

名無しの体を机の上に乗せたまま、曹丕は彼女の腰を掴んで自分の方へと引っ張り、丁度机の端に名無しのお尻が乗るようにする。

手ごろな位置に調整すると、曹丕は名無しの腰をグイッと引き寄せて、自らの分身をゆっくりと彼女の体内に埋め込んでいった。

「あっ…あああっ……」

事前に自慰をした名無しの内部は絶頂の余韻でヌルヌルと濡れていて、入り口も男を受け入れられるようにすっかり口を広げていた。

男の侵入を今か今かと待ちわびていた名無しの内部は、曹丕の太い分身をぐんぐんと飲み込んでいく。

「あっ…あ…凄いぃぃ……。太くて熱いのが…一杯中に入ってきちゃう…ああ─ん……」

名無しは呻くように喘いで、硬くて太い曹丕の分身が濡れた襞を掻き分けるようにして体内に侵入してくる感触を味わっていた。

普通の女なら痛くて悲鳴を上げるか、無理をすると切れてしまう程逞しい曹丕の男根なのに、それを見越した司馬懿の調教と度重なる曹丕との情事で慣れたせいか、名無しは快楽こそあれ少しも痛みを感じない。

大きな異物が体の奥深くまで入ってくる圧迫感はあるが、内部が裂けるような痛みは全くないのだ。

「あっあっ…いいっ…。太くて…大きくて…気持ちいいよぉぉ…」

それどころか、中で曹丕が少し動くだけで、頭の芯がクラクラして気絶してしまいそうな程に気持ちいい。

「あぁぁん…だめ…曹丕…。溶けちゃうっ…あそこがトロトロに溶けちゃうくらい気持ちいいのっ……」

少しでも気を抜けば失神してしまいそうな位に強烈な快楽の中、名無しが懸命に曹丕の首にしがみつき、思い切り背中を反らして喘ぐ。

曹丕が腰を打ち付ける度、グチャグチャッ、と広い室内に淫らな水音が響く。

その音が何なのか、今の自分がどういう状態で何をされているのか、それすら名無しにはもう分からなかった。

「ん……。ほら、余計にいやらしい顔になってきたな……」

曹丕は自分の物を痛い程締め付けてくる名無しの感触の良さに熱い吐息を漏らしながら、下から突き上げるようにして何度も腰を使っていた。

「い、いやっ…恥ずかしい…」

名無しは、消えてなくなりたいと思いながら、自分の手で顔を覆って隠そうとする。

だがその合間にも曹丕にガンガン突き上げられているせいで、思うように体の自由がきかず、目元まで手を持っていく事が出来ない。

「あぁぁぁ…もう…だめぇぇ……」

名無しはなんとも艶めかしい喘ぎ声を上げながら、ピクンッと何度も大きく腰を震わせた。

唾液で濡れた赤い唇で指先をくわえるようにして喘ぎ声を我慢しようとする名無しの悩ましさに、曹丕は思わず魅入られたように顔を寄せて囁く。

「───可愛い」
「あっ…あっ……」

男前の顔でいきなり真剣な表情で見つめられ、低い声で『可愛い』と誉められて、名無しの心臓は口から飛び出そうな位にドクンドクンと跳ねてしまう。

『可愛い』なんて別に特別でも何でもない普通の誉め言葉だと思うのに、相手が曹丕だというだけでどうしてこんなにもドキドキしてしまうのだろう。

自分を見つめる曹丕の瞳と囁いた声に男の情欲が入り混じっているように思え、もう嬉しくてどうしようもない。


もしかしたらこの瞬間、曹丕は心から自分の事を求めてくれているのかもしれない───なんて。


「もう…許して……っ」
「名無し…」
「ひっく…お願い……曹丕……許してぇぇ……」


気が付けばいつも自分は曹丕とのセックスの時に『許して』と言っているような気がするが、実際は『何』を許して欲しいというのだろうか。

この拷問にも近い性行為から物理的に解放して欲しいというのだろうか。それとももっと精神的な意味で、彼からの解放を望んでいるのだろうか。

自分は彼を好きで、でも彼は大して自分の事など好きではなさそうで、これ以上彼の事を本気で好きになって傷つく事を恐れての『許して』なのだろうか。


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