三國/創作:V 【悪魔の花嫁V】 曹丕にしてみればもう少し名無しに恥ずかしい事を言わせて楽しみたかったのだが、涙をポロポロッと流しながら許しを求める名無しを見ていると、許してやりたいような気持ちになってくる。 多忙を極める日々の中、曹丕は名無しを抱く事を最大の楽しみとしていた。 勿論、そんな事は決して口に出しては言わないし、態度にも表さない曹丕だが、曹丕はそんな自分の心の内を不思議に思っていた。 情事の際に見せる堪らなく可愛い喘ぎ声と、どんな男もたちまち彼女の上に跨りたくなってしまうであろう、扇情的で色っぽい名無しの姿。 曹丕はそんな名無しを見ていると、心が安らぎ、優しい気持ちになってくるのだ。 名無しには少し位優しくしてやりたい、許してやりたいという初めての感情まで曹丕の中に湧き上がってくる。 「もっと奥まで指を突っ込んで、指の腹で中の襞を擦りながら全体的に掻き回すんだ」 「そ…そんなっ…。そんな事…出来な……」 「どうしてだ。やり方くらい分かるはずだろう。それとも気が乗らないと言うのなら、好きな男にでも犯されている所を想像してみればいい」 「……!」 「お前の好きな男は、誰だったかな。ああ…あの噂の若造か?」 分かっている。 全部全部、彼は分かっているはずなのに。 『それ』が分かっていてわざと聞いてくるなんて、曹丕はなんて酷い男なんだろうか。 「是非教えて貰いたいものだな。名無し…お前が今誰に犯される姿を想像しながら、誰の指を想像してそんな場所に指を入れているのか」 驚いて目を丸くした名無しに、曹丕は逆に両目を細めるようにしてふふっと笑う。 曹丕が浮かべた悪魔の笑みは、残酷なまでに名無しの羞恥心と欲望を同時に刺激する。 名無しの身も心も、今では全て自分の支配下にあると分かっていてそんな事を聞いてくる。 わざわざ名無しの口から直接的な言葉を引き出す為に、そんな事を────。 「……曹、丕……です……」 言葉に出してその『事実』を口にした途端、涙で視界が見えなくなる。 どんな顔をして自分の浅ましい姿を見ているのか、彼の表情まで、見えなくなる。 それでも名無しは自らの指で乳首と内部を同時に弄り続け、中から溢れ出てくる透明な体液で自分の手と曹丕の執務机の上を濡らしていった。 曹丕の許しが出るまでこの行為を続けなければ、名無しに自由はないのだから。 「ふ…そうか。では…今頭の中で私に何をされている所だ?」 「あ…んっ…。ああああ……」 「もう、欲しい物は入れて貰えたのか?」 「ああっ…そんなぁぁ……」 男の卑猥な言葉にすら感じてしまい、名無しの全身を言葉では説明出来ない程の快感が襲う。 背中をゾワゾワッと走り抜けるその強烈な快感は、今まで感じた事のないものだった。 「ああ─ん…曹丕…イッちゃう……」 「イッちゃう…じゃないだろう。名無し。誰が勝手にイッていいと言った?」 内部をクチュクチュと弄る名無しの指の動きは、とめどなく溢れる体液のせいでとてもスムーズだった。 あとほんの2、3回前後に指を往復させただけで、名無しはイッてしまいそうだった。 「あああん…イク…イッちゃう……。だって……曹丕ぃぃ……」 許しを求めるようにして甘い喘ぎ声を上げる名無しの可愛い姿に、曹丕はフッと表情を緩める。 「仕方ないな…たまには許してやる。いいぞ、イッても。見ていてやるから、私の目の前でイッてみせろ」 ようやく曹丕の許しを得る事が出来た名無しは、我慢していた物がやっと解き放たれるような、全身が痙攣するような甘美な戦慄に襲われた。 そしてその直後、名無しの内壁がビクビクッと激しく収縮し、痛い位に自分の指を締め付けていく。 「あぁぁぁ───っ」 名無しは机の上で大きく両足を開いたエッチな格好のまま、自らの手で乳首と秘部を弄ってイッてしまった。 しかも曹丕の見ている前で、思い切り淫らで破廉恥な喘ぎ声を上げて、白い腰を卑猥な程にビクンビクンッと跳ねさせて。 「くぅ……んっ……。あぁぁぁ……」 子犬が鳴くような声を上げて、名無しは絶頂の余韻に浸っていた。 それと同時に彼女の目尻から涙が零れ落ち、一筋の線となってツゥッ…と頬を伝っていく。 私は、負けた。 私は今日もまた、曹丕に与えられる恐怖と快楽に負けてしまったのだ。 秀英への思いも忘れ、己の理性も忘れ、曹丕に命じられるままに快楽を貪り、『曹丕に犯されている所を想像しています』と告げながら自慰をして、彼の面前で卑しくも果てて。 結局は自分も認めているのだ。自分の全てが曹丕の物であると言う事を。他の女達同様、彼の欲望を満たすただの道具に成り果てているという事を。 ハーレムの女達と一緒で、気紛れに呼び付けて、曹丕の好きな時に好きなだけ足を開いてみせる、数えきれない程沢山いる性奴隷の一人。 下らない。 どうしてこんなにも愚かなんだろう。私は。 「……私に見られて、命令通りに自慰をしてみせ、気持ち良かったのであろう。何故に泣く?」 心底不思議で堪らないという顔をして、曹丕が名無しに問い掛ける。 普段なら愛しくて仕方ないと思える曹丕の色っぽくて艶めいた声ですら、今の名無しには限りなく空虚な響きとなって心に届いた。 「……好き……だから……」 曹丕の事が、好きだから。 好きな人に見られてしまったから。好きな人に命じられた事だから。 好きな人に、自分が相手を思う気持ちの千分の一も届いていないであろうと思える事が辛いから。苦しいから。 名無しはそれだけ言うとそっと目を伏せ、やり場のない思いをどこに持っていけばいいのか分からず、独り言のように『好きだから』ともう一度繰り返し曹丕に告げた。 分かっている。自分の本当の気持ちなんて、自分が一番よく分かっている。 曹丕に伝えた『好き』の方が、秀英に対して抱く『好き』よりも何倍も重く、強い気持ちだという事を。 「名無し」 ギシッ。 カツカツカツ。 おもむろにベッドから立ち上がり、曹丕が名無しのいる執務机の方に歩いてきた。 曹丕はイッた直後で完全に腰が抜けてしまっている名無しの上体を抱き抱え、至近距離から名無しの瞳をじっと覗き込む。 [TOP] ×
|