三國/創作:V | ナノ


三國/創作:V 
【悪魔の花嫁V】
 




みっともないとか恥ずかしいとか、そんな事を考えていられる余裕は名無しにはなかった。

ここで下手に逆らって曹丕を怒らせてしまったら、自分はどうなってしまうか分からない。秀英の事も分からない。

二人が助かるようにするには、自分が曹丕に可愛がられるようにしなくてはならない。

曹丕に愛して貰えるように、曹丕の気を引くように努力しなくてはならないのだ。

「……ひっく……」

名無しは涙ぐみながら、曹丕の命令通り片方の手を下半身に添え、もう片方の手をおずおずと自分の胸元に持っていく。

「あんっ…」

自分の指先が乳首に触れた瞬間、その気持ち良さに名無しが思わずキュッと目を瞑って喘ぐ。

乳首クリップによってたっぷり調教を施された名無しの乳首は、今では先端に人の指が軽く触れただけで腰が砕けそうな程に感じてしまうのだ。

ほんの少し乳首を愛撫しただけの事なのに、名無しの口から零れ出た声は今までにない位に色っぽいものだった。

「…いつも私がしてやっている時のように、ちゃんと摘め」

曹丕はそんな名無しの悩ましい媚態を観察しながら、低くよく通る声で名無しに命じる。

名無しは涙をポロポロと流しつつ小さな声で『はい』と答えると、普段曹丕にされている事を思い出し、真っ赤になっている乳首を指先で摘んでクニクニと弄っていく。

その感触は指が触れただけのじれったいものとは違い、敏感な部分に直接与えられる刺激は名無しをすぐにメロメロにしてしまった。

「あっ…んっ…だめっ…」

曹丕の見ている前で乳首を弄っている名無しが、素直に快楽を表現していく。

すると曹丕は微かに目を細め、口端を歪めて笑う。


司馬懿と自分によって手間暇をかけて調教された名無しの心と身体の変化に、曹丕はとても満足していた。


今まで曹丕は、自分から特定の女を求め、力ずくで無理矢理犯すような真似をした事がなかった。

どちらかと言えば曹丕が拒む方であり、相手の女が何とかして曹丕をその気にさせようと躍起になった事はあるが、彼の方からわざわざ声をかけて誘った相手は一人もいなかった。

富と権力、そして魏皇子の第一夫人という地位と名誉が欲しくて己の身体を差し出す女は腐る程いたが、曹丕は全く興味はなかった。

何故ならば、そういう事をしてくる女は例えどれだけ見た目が良くて家柄も良い女でも、心の底では曹丕の妻の座に付く為に腹黒い算段を秘めているのが常だったからだ。

魏の皇子として生を受けた曹丕は、幼い頃から目にしてきたのは右を向いても左を向いても、色と欲に溺れた醜く薄汚い仮面を被った貴族女ばかり。


だが、名無しは違う。


名無しは元々曹丕の妻になる為に城内入りした訳でもなく、文官として魏の為に働く事を最上の喜びとしている為、他の女達のように曹丕を巡る女の争いにはまるで興味がない。

曹丕の前で自分をより高く見せる術も売り付ける術も知らず、曹丕に媚を売る必要性も知らず、ただ一国の皇子として曹丕を尊敬するような、それでいてどこか怯えるような眼差しで彼を見ている。


そんな彼女の瞳が、曹丕には堪らなかった。


「あぁぁ…んんっ……」

体内に人差し指を根元まで埋め込み、内部を掻き回すようにして動かす。

拙い手つきで名無しが何度も指を出し入れする度、クチュクチュという淫らで濡れた水音が室内に響き渡る。

「…どこが気持ちいいのか…言ってみろ」

ベッドに腰掛けたまま名無しの痴態を見つめている曹丕は、とても楽しそうに笑っている。

そんな彼の姿を見て美しい、なんて素敵なんだろう…と思ってしまう自分はもう重い病気にかかっているのではないか、と名無しは思った。

「名無し。どこが気持ち良い?」

低い声でもう一度問う曹丕に名無しは一瞬恥じらうように身体を硬直させたが、自ら与えている刺激が気持ち良くてすぐに『あんっ』という甘い喘ぎ声を漏らす。

「ちゃんと言えなければ…また貞操帯をはめるぞ」

涼しい顔でさらりと言い捨てる曹丕の意地悪な言葉に、名無しは涙が溢れた瞳を見開いて慌てて首を左右に振った。

またあんな恐ろしい物を装着されてしまったのでは堪らない。

名無しは頬を真っ赤に染めながら、少しでも曹丕の視線から逃れるようにして瞳を伏せる。

唇をキュッと噛んでも自然と色っぽい喘ぎ声が漏れてしまい、その事実がさらに名無しを恥辱の海に沈めていく。

凄くイヤだ。私。

男の人の見ている前でこんな格好をして、こんなエッチな事までさせられているなんて。

赤く尖ったままの乳首はほんのちょっと刺激を与えただけで腰が揺れてしまうし、名無しの指を美味しそうに飲み込んでいる秘部はまるでもっと愛撫される事を望んでいるかのように閉じたり開いたりを繰り返している。


名無しは、もう恥ずかしくて恥ずかしくて、このまま死んでしまいそうだった。


「……ち、乳首が…気持ちいいですっ……」

名無しが曹丕から顔を背けるようにして俯きつつ、涙声で訴える。

だが曹丕は恥ずかしくて堪らないといった様子で涙を浮かべながら曹丕の質問に答える健気な名無しの姿がとても気に入ったようで、その程度で許してやる気などさらさらなかった。

「気持ちいいのは乳首だけか?」

全身にねっとりと絡み付くような曹丕の声に、名無しは困ったような切ないような表情を浮かべて首を振る。

「あっ…。あそこの中も……です……」
「あそこじゃ分からない。どこが気持ちいいのか、ちゃんと言葉に出して言ってみろ」
「そ、そんなっ……」

表面上では否定の言葉を口にしつつも、名無しの瞳は曹丕に支配される事への快感と心地良さで潤んでいる。

それが分かっているからこそ、曹丕はわざと意地悪な質問をして名無しの情欲をさらに煽るのだ。

「もう…もう…許して…下さい…うぇっ……」

情け容赦のない曹丕の質問に、とうとう名無しが音を上げて泣きじゃくった。


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