三國/創作:V | ナノ


三國/創作:V 
【悪魔の花嫁V】
 




「では……私の執務机の上にある書類を全部どけて横の台に乗せろ。分けてある書類が混ざらないよう、順番に重ねて……」

名無しは曹丕の指示通り彼の執務机の上に置いてあった書類を束ごとに分けて持ち、他の物と一緒にならないように気を付けながら横の台に乗せていく。

積み上げられていた書類が無くなって筆記具位しか残っていない事を確認すると、曹丕は名無しに次なる『命令』を言い渡す。 

「机の上に乗り、空いたスペースに腰を下ろせ。私の方に体の正面を向けて、こっちに見えるようにして足を開け」
「えっ…。つ、机の上で……見えるように?」

ぎょっとした顔で曹丕を見返す名無しの瞳は、涙で潤んでいる。

曹丕は『そうだ』と一言返事をすると、長い両足を優雅に組んで名無しを促すように言う。

「お前の全てが見たい。ちゃんと見えるように大きく両足を開いて…私の言う通りに出来るだろう?」
「は…い…。出来る……出来ますっ」

名無しはそう言うと言葉通りすぐに机の上に乗り、曹丕の座っているベッドの方向に向かってその場で大きく足を左右に開いて見せた。

「……。」

しかし曹丕は『それでいい』とも『悪い』とも言わず、黙ったまますうっと両目を細めて、名無しの淫らな姿を観察しているだけである。

曹丕に逆らってはいけない。これ以上彼の事を怒らせてはいけない。

そんな考えが名無しの頭の中をグルグルと巡り、名無しは曹丕が今の自分の姿を見てどう思っているのか不安になってきた。

「曹丕…。も、もっと?」

男の気持ちが分からず、名無しが恥ずかしそうな声で上目遣いに尋ねてみると、曹丕は無言のままで軽く頷く。

「そ…そんな……。じゃあ……これ…くらい?」

曹丕の顔色を伺いつつ、名無しが恐々といった素振りで机の上でさらに両足を広げていった。

下着も何も身に付けていない全裸の姿でこんなに大きく足を広げれば、何もかもが曹丕に見られてしまう事は分かっている。

自分の恥ずかしい部分を全て曹丕に見られているという現状に、名無しは一刻も早く足を閉じたくて仕方なかった。

(何もされていないようだな)

名無しの秘部から他の男の残り香が漂ってこない事を感じ取り、曹丕はようやく満足した。

夫や恋人の目を盗んで不貞を働いた女というものは、注意して見ればどことなく外見や態度に変化が表れたり、体にも浮気の跡が残されるものだ。

それは以前と比べて見た目が派手になったり、妙にセックスが上手くなったり、知らない間に色んな技を覚えていたり、感度が増していたりする事が多い。

だが、曹丕や司馬懿程の男になると、一々体のあちこちまで点検して見なくても、相手の顔を見ただけで一発で分かる。

その事があまり知られていないのは、基本的に彼らが貞操観念や嫉妬、独占欲といったものとは無縁の生活を送っているが故に、そんな特技がある事を主張する機会も必要性もない為であった。

「曹丕……もっと?」

曹丕がいつも以上に自分の体をじっくりと見ている本当の理由を知らない名無しは、自分の格好に不満があるのだと思って不安げな顔で問い掛ける。

こんなにも大きく開かれた股間が、曹丕の目の前で晒されている。

他人に見られるなんて恥ずかしくて堪らない部分が、自分の主人に見られている。

「もっとどころか…それでは全然見えないだろう。普通に足を開くだけではなく、両手で自分の足を抱えるようにして持ち上げながら大きく開け。出来るだろう?」

名無しがどれだけ健気な態度で曹丕の許しを求めても、曹丕はそんな彼女に対して全く容赦をしなかった。

曹丕の言い付けに逆らう事なんて出来ない。

名無しは切なそうに涙を流しながら曹丕の顔を見つめ、コクッと頷いて言われた通りの格好をしてみせた。

机の上で大きく両足を開き、その上自分の両手で抱え込むようにして両足を持つ卑猥な格好。

名無しの赤く充血した粘膜部分までもが、丸見えになってしまいそうな程にエッチで破廉恥な体勢だった。

「そのまま一人でしてみせろ」
「え……、えっ?」

声帯が緊張してしまって、上手く声が出ない。

曹丕の言葉の意味を理解するまでに、名無しは若干の時間を要した。

「聞こえなかったか?両足を大きく開いた格好のままで、私の見ている前でヤッてみせろと言ったのだ。それとも…またこの間のように逆らうか?」
「いっ…いいえっ。逆らいません。何でも聞きますっ。今から…します……」

恐怖に顔を引きつらせた名無しが、思わず悲鳴のような叫び声を上げる。

『この間』の記憶が呼び覚まされた名無しには、どこにも逃げ場がなかったのだ。

以前名無しはある事で曹丕の機嫌を損ね、罰として貞操帯を付けられてしまった事がある。

膣内に挿入するいやらしい形の突起と、お尻の穴に挿入する小さな突起が二つ付いた奇妙な貞操帯は、用意のいい事に頑丈な鍵までついていた。

曹丕の手により特注品の貞操帯を付けられてしまった名無しは、この器具を付けられる事はどういう事かと知って絶望した。

一般的に貞操帯とは夫が不在の時に妻が浮気をするのを防ぐ為、鍵の所有者以外誰も触れる事も犯す事も出来ないようにするのが本来の使い道である。

しかし、名無しが付けられた貞操帯のように完全に穴という穴を塞ぐ形状の貞操帯を装着されるという事は、もはや自分の意志で用も足せないという事だった。

それから丸一日貞操帯をはめられたままだった名無しは何とか我慢しようとしていたが、生理的な欲求まで我慢する事は不可能だった。

結果、名無しは何度も曹丕の前で謝って、泣きながら土下座までして曹丕の足の裏を舐め、どうかトイレに行かせて下さい、外して下さいと哀願してやっと曹丕の許しを得たのだ。

その時の恐怖が未だ体内にこびりついている名無しは、曹丕に逆らうなんてとんでもないとばかりにブルブルと首を振る。

仕方なく名無しがそろそろと片手を下半身に導いていくと、それを見ていた曹丕が容赦ない口調でぴしゃりと言い放つ。

「もう片方の手はサボりのつもりか?他にもやる事があるだろう」
「…は、い…」

名無しは、目にうっすらと涙を浮かべながら答えた。


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