戦国 【悪党Vol.2】 『鳴かぬなら 鳴かせてみせよう ホトトギス』 うちの殿は天下一の女好きだと言われているが、それには俺も激しく同意する。 自分になびかない女の事は、どうでも言う事を聞かせずにはおくものか。 そんな男の意地とプライドを、さすがに分かっていらっしゃるとでも言うべきだろう。 そういう訳で、名無し。 そこで正直に言うのだが、俺もなびかない女に対しては、どうにも自分の言うなりにさせたくて堪らない。 お前が俺の思い通りにならないと言うのなら、力ずくでも俺の言う事を聞かせてやるだけだ。 例えお前が生きていても、死んでいても。 どんな形であろうとも、俺一人の物になるならそれで十分満足だ。 痛い思いをするのは嫌だというのなら、素直に俺の言う事を聞くんだな。 だが、先に言っておく。俺は気が変わりやすい性格だ。 他の女達のように、飽きられて捨てられる事のないように、せいぜい俺の機嫌を取るんだな。 こんな俺は『酷い男』だって。だから『悪い男』なんだって? ああ、そう。この俺に対してそういう口の聞き方をする訳か。名無し。 今にそんな口が聞けないように、俺がお前の事を一から躾直してやるからな。 どうせ俺は悪党なんだから、今更お前をどんな目に遭わせた所で、そんなの俺の勝手だろう? もし、俺がどういうタイプの人間なのかと聞かれたら。 まあ…… そんなところで結構さ。 ―三成夢・【悪党Vol.2】 [TOP] ×
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