戦国 【FAKE】 一際激しく腰を動かして、名無しの一番奥深くの部分に先端が当たるように腰を叩きつけていると、その途端に名無しが大きく身体を反らせて絶頂に達した。 「ああ──ん…。イッちゃう────っ」 「名無しっ……」 脳天を直撃する名無しの色っぽい喘ぎ声を聞かされて、某も我慢の限界に達してしまった。 ビクビクッと内股を痙攣させる名無しの妖艶な痴態に誘われるが如く、某も絶頂の証を名無しの内部へと注ぎ込んでいく。 ドクンドクンッと某の物が名無しの中で熱く脈打つ度に、名無しと某の結合部から白濁した体液がドロリと溢れ出してくる。 「あっ…あんっ…。長政……こんなのもう…死んじゃうよぉぉ……」 「…ん…、名無し…」 イク寸前から内壁が小刻みに震え、幾度となくきつく締め付けてくる名無しの絶妙な感触は、他の女では味わった事のない物だった。 男を喜ばせる事を知っている名無しの身体にうっとりしてしまい、某は両目を瞑って絶頂感の余韻に酔いしれていた。 それと同時に、名無しを抱けば抱く程沸き上がってくる、胸が切なく締め付けられるようなこの気持ち。 今までに知らない感覚で、息が詰まりそうになる。 全身を包み込むような、この正体不明の感情で…… 胸が溶けてしまいそうだ。 「あぁ…んっ…。長政…中がもう…溶けちゃうの…」 「冗談だろう、名無し。まださっきの答えを聞いていないのに。今夜の某は何度でも君を抱けそうだ……」 「あああ…いやああ…。そんな事…っ……」 『本当は身も心も愛されたいと思っているクセに、何故殿方は皆冷たい振りをなさるのですか』 (………雪………) 生前、某の胸で泣きながら雪が訴えていた言葉を思い出す。 別に某は身も心も愛されたいなんてこれっぽっちも思ってないよ。 でも、名無し。 だけど某は…… 本当は。 「君が泣いても嫌がっても、絶対に止めてやらない。…そう言ったろ?」 「ああ…ん……。長政……。どうしてそんなに…意地悪ばっかり……」 「そう?それは名無しが某に冷たくするからさ。きっと」 「そ、そんな…。私……そんな事……っ」 キュッと意地悪く口元を吊り上げて、某は名無しに微笑んだ。 挑戦的な眼差しを浮かべたままで名無しの顔を覗き込むと、某はチュッと甘えたようにキスをする。 「こんなに冷たい男は嫌い?名無し」 「ひっく…。長政……?」 「すまない。某はきっと悪い男だな……」 涙と嗚咽でぐちゃぐちゃになった顔をして、名無しが小さく体を震わせる。 その姿に胸がまた熱くなったような気がしたが、某は敢えてその感情を無視する事にした。 名無し。最後まで分からなかったが、この気持ちは結局何だったんだろうな? 男は女に偽りばかり教えている。 そして女に対して、いつも嘘ばかりついている。 だから君に対して降らせているこの甘い囁きも、全てが某の野望の為だけの嘘であって。 君を抱いているこの行為ですら、偽りの愛の行為に過ぎない。 なぁ名無し。どうせこの世の全てが偽物だと言うのなら、せめて一つだけ聞かせてくれないか。 君を見ていると沸き上がってくる、この熱く切ない感情の意味を教えてくれ。 疲れ切った某の魂を、どうか君の優しい心と身体で癒して欲しい。 慰めて、名無し。君の心が痛む程に。 それすらフェイクだとしても構わないから。 ―END― →後書き(説教部屋) [TOP] ×
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