戦国 【FAKE】 「ああん…もっと奥が…奥が熱いの……」 「そんな事言っていいの?名無し……。私と名無しは、同じ軍に身を置くただの同僚の関係じゃなかったっけ?」 「ああ…あっ…。長政…それは……」 切なそうに睫毛を震わせて、名無しの目から一筋の涙が零れ落ちる。 某に抱かれながら僅かでも理性が残っているのが驚きだが、その欠けらさえも粉々に打ち砕くような強さをもって、某は名無しの中を一思いに貫いた。 「夫でもない男にそんな事を言うなんて。君は結構いやらしい子なんだな。名無し……」 「ふ…ぇっ…。ひっく…。だって…だって……」 「『だって』じゃない」 嘲笑するように呟いて、グイッと名無しの腰を掴んで引き下げる。 与えられる快楽の強さに身を捩って悶える名無しの顎を掴み、某の方に彼女の顔を振り向かせると、深い口付けを与えながら囁く。 「名無し。君が言うべき事は一つだ。……そうだろう?」 「…んんっ…長…政…っ」 「何?名無し」 「あ……んん……。私…私は……」 言え。 言ってしまえ。 「言わなきゃ…分からない。このまま、ずっと何もしてやらないぞ?」 「あぁぁ…長政……っ」 ────墜ちるがいい。 名無しの中に挿入されている分身を引き抜こうとした途端、名無しが懸命に後ろを向いて某の唇を探り当て、たどたどしいキスをした。 「ひっ…く…。どうしてそんな…意地悪するの…?」 「…っ。名無し…」 「こんなに…熱いのに…。どうして長政は…何もしてくれないの……?」 「…ん…、名無し…。それは君が…あんまり可愛い反応をするから……」 ドクン。ドクン。 お決まりの甘い台詞を吐きつつも、予想外の名無しの行動に、不自然な程胸の鼓動が高鳴っていく。 「あんっ…もっと一杯がいいの……。奥の方まで一杯こすって欲しいの……」 「ん…っ…。悪い子だな、名無し。どうしても我慢出来ないのか……?」 ちゅっ。 ちゅっ。 名無しの柔らかくしっとりと濡れた唇の感触につい夢中になって浸っていると、頭がジンジンして痺れたように感じてしまう。 頬から流れ落ちた名無しの涙がシーツにポタポタと落ちていき、ゆっくりと染みを描いていく。 そのまま何度も深い口付けを重ねていると、名無しが涙で濡れた瞳を潤ませて、例えようもない程に色っぽい声で某を呼んだ。 「お願い…長政…。もっと…めちゃくちゃにして…」 「は…ぁっ…。名無し……。」 キュウッ。 名無しの濡れた眼差しを正面から受け止めた直後、何かが締め付けられるような音がした。 『な…ぜ…?長政様……。貴方様は…雪を愛していると…。愛して……』 世間的にはプレイボーイと言われる種族に属する某だが、今まで自分があんなにも簡単に囁いてきた『愛』は一体何だったのだろうか。 気に入った女だけを選んで手を付けてきた某だが、どうも彼女達に囁いてきた『愛』と名無しに対するこの気持ちは、雲泥の差があるような気がする。 完全に溶け切ったような顔をして某に身体を預けてくる名無しの姿。 どう考えてみても、勝敗は明らかだ。 墜ちているのは名無しの方で───…。 巧く説明が出来ない。 [TOP] ×
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