戦国 | ナノ


戦国 
【FAKE】
 




「名無し…。怖いのか?某が君に痛い思いをさせた事があった?」
「ううん……一度も……」
「大丈夫だ。全部某に任せてくれればいい。名無しはただ、可愛く感じて喘ぎ声を出してくれていればいいよ」
「あんっ…。そんなぁ…」

目元にジワリと涙を浮かべている名無しの唇を自らの唇で塞いでいくと、某は名無しの口を割ってヌルリと舌を差し込んだ。

「……んっ…んん……」

息を付く暇も与えない程の激しいディープキスに、名無しの思考能力がさらに失われていく。

名無しの意識が飛ぶ位の激しいキスを、確信犯的に与えていった。

「…はあ…んっ…んう……っ」

切なそうな、甘い鳴き声を上げる名無しに誘われるかの如く、某は彼女の服をゆっくりと脱がせていった。

手慣れた手付きでどんどん布を剥ぎ取っていく某の行為に、名無しの素肌があっという間に某の目前に晒されていく。

慌てて恥ずかしそうに手で体を覆う名無しの腕を掴んで引き寄せると、手の甲にチュッと軽いキスをした。

「だめ。隠そうなんてよくないな。君の体がちゃんと見たいんだ」
「な、長政……」

困惑気味に揺れる名無しの瞳が、涙でウルウルと濡れていく。

恥ずかしそうに体を震わせる彼女の姿態を見ていると、何だか変な熱に当てられたように感じてしまう。

名無しを抱くのはこれで2度目だが、一度目の時は相当激しく名無しを抱いてしまったのだ。

これでも女経験はかなり積んでいる某だが、情事の際の名無しの仕草があまりに妖艶で破廉恥で、不覚にもクラリとした目眩まで感じていた。

あの時の雪辱を果たしたいというのも一つだか、他にも確かめたい事がいくつかある。

まずは、三成殿や幸村殿、引いては他の武将達との関係の事。

そして某に対する名無しの気持ちと、手応えがあるのかどうか、無さそうか。

最後にこの某自身の気持ちと、名無しに感じた目眩の正体が一体何なのか。

初めて抱いた女に感じた新鮮味というだけなのかどうか、それとも本当に彼女自身に秘められた魅力による物なのかどうか───確認しておきたかった。

「あ…あのっ…、長政……」
「何?可愛い名無し」
「そ…の…さっきの話なんだけど……。本当に、周りの女の人との関係を…?」
「ああ。全部切った。これで少しは某の事を信じてくれる気持ちになった?」

某に与えられる深く激しい口付けに翻弄されながらも、名無しが懸命に涙を浮かべて某に問い掛けた。

「あ…んっ……。切ったって…どういう事……?」
「……どうって?」
「だって…。今夜の貴方は、何だか…いつもと違うから……。今夜は凄く…血の匂いがするから……」
「!!」

名無しの口から告げられた言葉を聞いた某は、ハッとしたように顔を上げた。

某の眼力でこれ程までに意識も理性も失いつつも、それでも彼女はやはりただの女官達とは違うのだ。

戦が始まれば実際に戦場に出る事もある名無しには、人を殺めた後の匂いも敏感に感じ取れるのだ。

ああ、嬉しいよ。名無し。

きっと君のように聡明な女性なら、某にとっても浅井にとっても、公私共に素敵な存在になってくれる事だろう。

そう思うと、某はますます名無しに対して興味が増していくのを感じた。


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