戦国 【innocent】 「んっ…んんっ…」 熱を帯びた吐息を漏らす名無し殿に深く舌を絡めると、チュッと音を立てて真っ赤に濡れている彼女の唇を吸い上げた。 「…この幸村に、貴女の熱を全て移して下さい。名無し殿」 「あぁっ…幸村ぁ…ぁっ…」 「大丈夫です。私は十分鍛えてあるつもりですので…。そう簡単に貴女の熱で倒れる事もありません…」 そう囁いてそっと片手で器用に彼女の衣服の紐を解いていくと、はらりと音を立てて肌を包んでいた布が左右に滑り落ちていった。 初めて見る名無し殿の素肌を見た瞬間、私は驚いて息を飲む。 「こ…これは……!?」 「み、見ないで……っ」 名無し殿の白い素肌のあちこちに、点々と赤い印が散りばめられていた。 明らかに他の男が付けた物だというその印。 これでもかという位、痛々しい程に隙間なく彼女の体に所有の証を刻み付けていた。 「名無し殿…一体…誰が貴女にこんな事を…」 「ひっく…やだぁぁ…お願い…見ちゃいゃぁ…」 私はその跡を見てザワザワと全身の血の流れが逆流していくような怒りを覚えた。 誰が一体私より先に彼女の体にこんな事を? 見れば名無し殿は哀れな位に目から涙を溢れさせ、怯えるようにガタガタと全身で震えている。 「お願い…幸村…。こんな事…誰にも言わないで…」 「そんな…名無し殿…」 「こ…こんな事…誰にも…相談出来な…」 「!!」 確かに『相談』、という言葉を名無し殿は口にした。 合意の上での行為なら、絶対にこんな言葉は出てこない。 無理矢理なのか。 「幸村…お願い…。貴方の…真っすぐな目で…、こんな私の姿を見ないで…」 「……。」 「う…ぇっ…もういや…」 彼女は、乱暴されたのだ。 きっとそうだ。そうに違いない。 そうでなければ、こんな身持ちの堅い名無し殿が簡単に他の男なんかに体を開く訳がないではないか。 そう思うと私の中に彼女に対する強烈な防衛本能が沸き上がってきた。 完全な男社会のこの城内で、女の彼女は私以外の男にとっても立派な情欲の対象に成り得ているのだ。 私が名無し殿を守って差し上げなくてはならないのだ。 どこのどいつが名無し殿に不埒な行いをしでかしたというのだろう。 白い陶器の大皿の上に乗せて、そいつの首を名無し殿の目の前に差し出してやる。 「…もう大丈夫ですよ、名無し殿…。貴女には私がついてます。それにこんな程度の事で、私の貴女に対する気持ちは少しも揺らぐことはありません」 「…ゆ…幸村…?」 にっこり微笑んだ私に向かって名無し殿が困惑気味な表情を浮かべ、涙で濡れた瞳で私の事を見上げている。 きょとんとしたその顔に情欲を揺さ振られたように体を突き動かす熱が再燃してしまい、うっとりとした眼差しで名無し殿の体を舐めるように見下ろしていく。 「名無し殿のここは…愛らしいですね…」 私が『ここ』と言ったのはツンと尖っている彼女の胸の突起の事だった。 傷つけないように指先で小さく震えている乳首を摘み、捩るように揉み上げていく。 「あんっ…幸村…」 時々爪の先でツンッと突起の先を突っ突いてやると、名無し殿の瞳がジワリと涙で滲んでいく。 「あ―んっ…幸村ぁ…いやぁぁ…そんなこと…」 「いやなんですか?指で…されるのが?」 名無し殿の唇から零れ出るたまらない程に甘い喘ぎ声に頭の中がクラクラとしてしまう。 こんな風に甘く媚びるような鳴き声で私の名前を呼んでくれる事がとても嬉しくて、赤く色付いた乳首に顔を近付けて唇を寄せる。 「あんっ…」 たっぷりと湿らせた舌で嘗めながら突起を吸い上げていくと、腰にくるような甘えた声が彼女の口から漏れてくる。 「幸村ぁ…あ―んっ…」 「可愛い…名無し殿…」 ぴったりと唇を押しつけて嘗めたり吸ったりを繰り返しているうちに、名無し殿が泣きながら上半身を捩って身悶える。 普段の名無し殿からはまったく想像が出来ない程に、与えられる快感に敏感に反応してくれる淫らで破廉恥なその姿が私の心を溶かしていった。 「だめなの…幸村ぁ…」 無意識の行動なのか、名無し殿は快感に身を捩らせながら私の下腹部に自身の腰を浮かせてこすり付けてきた。 「……んっ」 瞬間、私の体がピクンッと大きく震え出す。 熱く張り詰めた敏感な先端部分をこすられた感覚に、私の口から聞き取れないくらいの小さな声が漏れる。 名無し殿は気付いていないようだったが、情事の最中にこんな事をされてしまうと男はより一層欲望を刺激されてしまうのだ。 しかもそれをしてきたのが大好きな名無し殿だったので、なお一層欲望が増して感じてしまった私はもう止まらなくなってしまった。 [TOP] ×
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