戦国 | ナノ


戦国 
【Snow】
 




「ああ…名無し殿。気が付かなくて申し訳ありません。すっかり体が冷えてしまって、お可哀相に…」
「んっ…、幸村…んんっ……」

いてもたってもいられなくて、私は名無し殿の唇を覆い、きつく吸い上げ、激しく舌先を絡めていった。

息も出来ない程の濃厚な口付けを与えながら、私は片手で器用に腰帯をシュルシュルと解いていく。

チュッと音を立てて彼女から唇を離すと、濡れた唾液が糸を引いて、互いの唇を繋いでいる。

「あ……。幸村……」

私自身は、先程と全く変わらない程に回復し、すでに大きく形を変えている。

顕になった私の物を正面から直視した途端、カッ…と名無し殿の頬が赤く染まり、慌てて睫毛を伏せようとした。

それを許さないとでも言うように、私は名無し殿の顎に指を添えて、自分の方へと彼女の顔を上向かせた。

「すぐに…暖めてあげますからね。名無し殿…」
「……ゃ…ぁっ……」

男の情欲に濡れた強い視線で名無し殿の瞳を真っすぐに貫くと、名無し殿の顔から首筋までほんのりと朱が差していく。

私はその場で立ち上がると、彼女の腰に手を回し、その体を抱き起こした。

「ゆ、幸村……?」

一体何をされるのか分からない、といった声のトーンで名無し殿が小さな声で呟いた。

書庫の中は所狭しと置かれた書物だらけでとても窮屈な空間で、名無し殿と優雅に愛し合えるというような場所ではなかった。

床の上は埃だらけになっているし、こんな所で愛する彼女を押し倒すのは忍びない。

広い彼女の寝室とは少々勝手が異なるが、仕方がないか。

「名無し殿。そのまま…壁に両手を付いて貰えませんか?」
「……!?」
「服を脱ぐと寒いですから、着たままで大丈夫ですよ。足を開いて……」
「い…いやっ!幸村…っ」

私からの要望を受けた名無し殿が、顔を真っ赤にしてその行為を断ろうとする。

だが、名無し殿のそんな可愛らしい抵抗は、私の心を益々駆り立てるだけだった。

「大丈夫、名無し殿。私に任せて。両手を付いて……」
「はぁ…んっ…やっ…」

嫌がる名無し殿の体をクルリと反転させて壁に両手を付かせると、私は彼女のうなじにそっと唇を寄せ軽く息を吹き掛けた。

途端に名無し殿がゾクゾクッと背筋を震わせて、しっとりと濡れたような喘ぎ声が零れ落ちていく。

「あ…あんっ…幸…村…」

ちゅっ、ちゅっと何度も音を立てて名無し殿の首筋に口付けを与えていると、彼女の全身から少しずつ余分な力が消えていき、抵抗力が失われていく。

キスの雨を降らせながら名無し殿の裾を割り、衣服の下に隠されていた下半身を露出させる。


片手で腰を抱き寄せると、力を失った名無し殿の体は難なく私の思い通りの形となった。

壁に両手を付いて、背中を反らせてお尻だけを突き出したような恥ずかしい姿勢。

その事に気が付いた名無し殿がビクッと肩を震わせて、微かに体を硬直させる。

「このままでいいです。名無し殿……」

そう告げて彼女の腰を固定すると、私は堅く屹立した自分の物を彼女の入り口に押し付けた。

「いや…いや…幸村…」

まるで小さな子供が駄々をこねる時のように、名無し殿が潤んだ瞳で首を左右に振っている。

顕になった下半身を男の前に曝け出して、イヤイヤをする名無し殿の姿はとても淫らで破廉恥で、その姿態を目の当たりにした私は下半身にズンッと突き上げるような衝動を感じてしまった。

「……っ。もう我慢が出来ません。力を抜いて、名無し殿……」
「や…ゆきむ…んんっ…」

片手を名無し殿の顔の方へと移動させると、彼女の喘ぎ声が外に聞こえないようにしっかりと口を塞ぐ。

小さく息を吐いて呼吸を整えると、私はそのまま彼女の中へと一思いに自分自身を沈めていった。

「ひいっ───あああっ───」

一気に男の物を最奥まで飲み込まされた名無し殿が、声にならない悲鳴を上げる。

だが、私の手で口元を塞がれていた名無し殿の絶叫は、本来の声量の半分以下しか聞こえてはこなかった。

「あぁっ…はぁっ…。幸村ぁ……」

ずっと待っていた刺激をようやく与えられて喜んでいるかのように、名無し殿の内壁が私の物に痛い程絡み付いてくる。

「く…っ。名無し殿、もう少し力を抜いて……」

私は今にも達してしまいそうなその締め付けになんとか耐えると、半ば強引に入れたり出したりの行為を幾度となく繰り返す。

彼女の内部を傷つけないように十分に気を使いながら、根元まできっちり挿入しては、ズルズルと引き抜いていく。

「…あっ…いっ…んっ…」

両手を壁に付いて大きく背中を仰け反らせ、名無し殿が私の指を口の中にくわえながら喘ぐ。

懸命に声を押し殺しているような、何かに耐えているような名無し殿の半開の唇からは透明な唾液がとろとろと滴り落ちていく。

「ああ―んっ…。幸村…抜いちゃいや……」

普段の態度とはまるで別人と思える程に、名無し殿の唇から淫らで妖しい声が上がる。


[TOP]
×