戦国 【Snow】 「……ゆき……」 名無し殿が何か言おうとした瞬間、私の唇が間髪入れずに彼女の唇をぴったりと覆い隠す。 完全に口を塞いだ事を確認すると、私は彼女の秘部で蠢いていた指先を、二本揃えて突き刺した。 「───!!」 名無し殿の唇から声にならない悲鳴が漏れて、大粒の涙がポロポロと零れ出す。 「んっ…んぅっ……」 瞳を大きく開いて名無し殿が藻掻いた時には、すでに私の指が半分程彼女の中に差し込まれた後だった。 空いている方の手で私の胸を叩いて『やめて』と訴えている彼女だが、そんな物は何の抵抗にも成らない。 「い…いや…幸村…それは…いやっ…」 蚊の鳴くような小さな声で、名無し殿が私の行為を拒絶する。 私はそんな名無し殿が、堪らなく愛しかった。 半分程入った指から逃れようとするように、名無し殿が腰を左右に揺らして身悶えている。 だが私は、より激しく濃厚な口付けを彼女に与えると、残りの半分も一気に彼女の中に沈めていった。 「…あぁっ…あっ…」 「…名無し殿。少し…力を緩めて…私のも…触って…」 唇をこすりつけながら名無し殿に囁くと、彼女の内壁がキュウキュウと収縮を繰り返す。 私の声にすら感じているかの如く、二本の指をきつく締め付けているのだ。 男達がこちらに向かって歩いてくる足音が、少しずつ近くなる。 一歩一歩確実に近づいてくる自分達以外の存在が、私達の愛の営みを例えようもない程に淫靡なものへと変えていた。 「…あっ…あぁっ…もう…許して……」 涙でグシャグシャになった顔で、名無し殿が我慢出来ずに啜り泣く。 「どうしてですか。こんなにびしょ濡れなのに?」 わざと音を立てるようにグチュグチュと彼女の内部を弄りながら、柔らかで敏感な粘膜を何度もこする。 初めて名無し殿を抱いた時に、私自身の先端で責め立てていた敏感な場所。 この部分を下から擦り上げていただけで、名無し殿はすぐにでも果ててしまいそうな顔をして、唾液で濡れた赤い唇で幾度となく私の名前を呼んでいたのだ。 「あぁぁん…幸村…だめ…イッちゃうよぉ……」 「可愛い…私の名無し殿…。でも…いいのですか?」 他の兵士達にも聞かれてしまいますよ、という今更とも言えるような台詞をグッと飲み込んで、私は名無し殿の唇を激しく貪った。 いつのまにか彼女の手はしっかりと私の物を握り締めていて、クチャクチャと淫らな音をさせながら、上下にしごくように揺れている。 私がいつまで経っても名無し殿への愛撫をやめないせいで、彼女はもう自分がどこで何をしているというのか、正常な思考を全て失っているようだった。 「幸村…やだ…やだぁ…助けてぇ…」 「名無し殿…大丈夫です。私を見て……」 「ああ―ん…だって…だって…」 湧き上がる快楽を必死に押し殺すような顔をして、名無し殿が遠慮がちに喘いでいる。 その姿は酷く淫らで悩ましく、男なら誰でも一思いに貫いてしまいたいと思う程の妖艶な色香に満ちていた。 外にいる男達の足音が、扉の前でピタリと止まる。 快楽の海に溺れている名無し殿の耳には、すでに私の声以外何の物音も届いていない。 だが私はその音に内心気が付いていながらも、目の前で喘ぐ名無し殿のあまりに淫靡な痴態に魅せられてしまっていた。 「あぁん…幸村…。ねぇ…イッちゃう……」 「んっ…、私もですよ…名無し殿…。イキそうです……」 抑えた声で甘くひっそりと囁いた唇が、互いに重なっていく。 ガチャリ。 閉ざされた重い扉に、誰かが手を掛けた音がした。 ガチャガチャッと扉を開けようとしている音が聞こえてきた瞬間、私は名無しの内部に入れていた指を一際深々とねじ込む。 「んん───っ…!!」 ビクビクッと激しく全身を痙攣させて、名無し殿がイッてしまった。 絶頂を極める彼女の声が、私の口の中へと吸い込まれていく。 「……っ、は…ぁ……っ」 それと同時に私も絶頂に達して、彼女の手の中へドクドクと欲望の証を解放していった。 名無し殿の手淫で達した私の分身は、未だに勢いが衰える事もなく雄々しく脈打っている。 愛する女性との久し振りの情交に、普段一人で抜いている時よりも大量の精液が放たれていた。 「……あ…ぁっ……」 絶頂の余韻を味わっている名無し殿が、焦点の合わない虚ろな瞳で私を見ている。 「……名無し殿……」 愛しい思いを込めて彼女の額にそっとキスを落とした私は、扉の方向に横目を向けてチラリと一瞥した。 ガタガタと書庫の扉が揺れる度に、古くなった扉が壊れそうな程軋む音を立てている。 [TOP] ×
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