異次元 | ナノ


異次元 
【魂喰い】
 




「はぁん…だめぇぇ…子上…そんなに深く……」
「何これ?本気でやばいんだけど…。なあ名無し。ホントはお前、すっげえ淫乱なんじゃねえの?」

何かを堪えるようにして眉間に軽く皺を寄せながら、司馬昭が名無しの耳にチュッと口づけをする。

「どういう事だ?」

司馬昭の発言に、司馬師が短く問いかける。

すると司馬昭は熱に侵されたような表情で名無しを背後からギュウッと抱き締め、妖艶な流し目を司馬師に送った。

「マジでいいですよ…名無しの中。普通の男なら…数分と持たないんじゃないですかね」
「ほう…。それは…」

司馬師は司馬昭の言う意味をすぐに理解し、何やら納得しているような素振りを見せた。

だが、司馬昭の分身がグチャグチャと内部を擦り上げる快楽で半ば意識が飛びそうになってしまっている名無しは、そんな二人の遣り取りは耳に入らない。

「しかも、喘ぐ度に俺をキュッキュッて締め付けてきやがるのがまたたまんねえ…」

満足げに目を細め、うっとりと呟く司馬昭は、すっかり名無しの虜になっているようだった。

それと同時に、司馬昭の心の中にメラメラと嫉妬の炎が湧き上がってくる。

こんなにもエロ可愛くてアソコの具合も良い名無しを独占し、彼女の所有権を持っている『あの人』とは一体誰の事だろうか。

羨ましい。憎らしい。許せない。

どこの誰かも分からない男から、名無しを奪い取って自分だけの物にしたい。

『あの人』の立場に、自分がとって変わりたい。


「───なれよ。俺のモノに」
「……あっ……」


けぶる瞳で、司馬昭が言う。

「俺の女になれよ。名無し」
「あ…ん…。子上…そんな……」
「名無しが俺の女になってくれたら、毎晩抱いてやる。寂しい思いなんてさせない。名無しの心も体も、他の事なんて考える余裕が持てなくなるくらい、名無しの全部を俺が独占してやる。だから……なっ?」
「あ…あっ…。だめぇ…子上…っ…」


今までになく真剣な口調で女を口説く弟の姿を見て、司馬師の目が驚いたように見開かれる。

惚れっぽくて気が多くて、ちょっと気に入った女がいればすぐにちょっかいをかける手の早い弟だが、それはあくまで軽いノリの恋愛ゲームに等しいもの。

司馬昭にとってはほんの挨拶程度の事であって、そこまで真面目なものではなかったのだ。

しかし、今目の前にいる司馬昭はどうやら本気で名無しを口説いている。

『自由を束縛されるのがイヤだから特定の女は作りたくない』と笑いながら公言していたあの弟が、そんな事を言い出すとは。

(よほどこの女が気に入ったということか)

以前から実は密かに好きだったのか、今日初めてセックスしてみて心が動かされたのかどうかは知らないが、そんな事はどうでもいい。

司馬師や司馬昭にとって大切なのは『今』で、『自分がどうしたいと思ったか』だ。

そうなったきっかけや、相手の気持ちなどはっきり言ってどうでもいい。

『つまらないのだろう?世間の奴らがやっているような恋愛で抱き合うセックスなど』

(そうだ。つまらない)

『ただ単に愛し合い、本能に基づいて求め合うだけのヌルくて単純な行為など』

(そうだ。興味がない)

今朝見た夢で曹丕が語った台詞が、司馬師の中で思い出される。

そう。どうだっていい。惚れた腫れたのお子様チックな茶番劇は。

お気に入りのオモチャが出来た。興味が湧いた。そして、心底それが欲しい≠ニ思った。

気に入った相手の全てを征服したい。支配したい。

相手の心にとっても体にとっても、絶対的な君主として永遠に君臨したい。

それが全てだ。


─────違うか?


(─────そうだ)


司馬師の口元に、ニヤリと冷たい笑みが浮かぶ。

『そう思える対象に出会えたら何も気にする事は無い。お前の望むまま犯し、容赦なく奪い、陵辱し尽くすがいい』

そう。遠慮をする事はない。

欲しい物が出来たら力ずくで奪い取る。どんな手段を使っても手に入れる。


それが自分達が教えられた王者の道≠ネのだから。


「…何をヌルい事をやっている。さっさとカタにはめろ。昭」
「…兄上…!?」
「この女は我々が頂く。今夜堕とす」
「……。」
「その為には手段は問わない。…分かっているな」

名無しの内股に両手を添えてグイッと大きく左右に開かせ、司馬昭との結合部を一層よく見えるようにしながら司馬師が言う。

司馬昭は探るような目で司馬師をじっと見つめていたが、やがて自分の兄も名無しを現在の主人から奪い取ろうとしている事を感じ取り、楽しそうにふふっと笑う。

「────言われなくても」

自信たっぷりに笑いながらそう言った司馬昭の言葉を合図とするように、名無しを貫く司馬昭の動きが再開される。

「いやぁぁ…あん…あんっ…子上…死んじゃう……」

子宮の奥まで届きそうな司馬昭のピストン運動に、司馬昭を呼ぶ名無しの声が一層悩ましくなっていく。

「昭…もっと動け」
「はい」

兄の言葉に答えた司馬昭が、名無しの内部に進入していた分身をズルズルッ…とゆっくり引き抜き、再び勢いを付けてズブズブッと挿入する。

司馬昭はその動きを何度も繰り返し、速度を速め、名無しを一気に追い詰めようとする。

「あっ…ああっ!やぁん…だめぇぇっ…ああん…あっあっ…!」

突如名無しの背中が大きく反り、喘ぎ声が悲鳴に変わった。

司馬師が名無しの秘部に顔を近付けて、あろうことか敏感な肉芽の部分に唇を当てたのだ。

司馬師の舌が名無しの肉芽を舐めいたぶるように弾き、ヌルヌルと舐め回し、チューッと音を立てて吸う。

名無しの内部をえぐるように突き上げる司馬昭の動きに合わせ、名無しの敏感な部分を司馬師が責める。

「あぁぁぁ…あんっ…死んじゃうっ……」

首を振る名無しの上半身とは裏腹に、名無しの腰は自らも快楽を求めるように自然と上下に揺れている。

司馬昭が名無しの中をズンズンと突き上げる度、司馬師が名無しの肉芽を吸い上げる度、名無しの中から大量の愛液が溢れてグチャグチャッ、といやらしい音がする。


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