異次元 | ナノ


異次元 
【魂喰い】
 




「つーか、男2・女1で色々ヤッてたってことは乱交中だったってことですか。兄上の見ている前で、殿と父上とその女で3Pしてたってこと?自分の身内を含めたそういう夢を見ちまうってのも何だか気まずい話ですね。濃い夢だなー」
「その辺りもよく分からん。女が一人でいたぶられていただけだった。フェラもさせられていなかったし、挿入もなかった。本番前の段階なのかどうかは知らんが、父上も道具責めされている女をただ眺めているだけだった。反応を見て楽しんでいたと言うか……」

司馬昭の質問を受けた司馬師は夢の中で見た彼らの行為を思い返し、記憶の糸を少しずつ辿っていく。

しょせんは夢の中での話なのでそれが現実と何か関係有るとは思わないし、あの曹丕と自分の父親が同じ女性を愛し、共有するなど馬鹿げた話だとしか思えないが、確かに状況だけ考えるとなかなかにして濃い夢だ。

それも己の父親がその場面に参加していたのだ。

本番をしていた訳ではないが、結果的には親の情事の現場に遭遇してしまったような形であり、なんとなく心情的に微妙である。

たかが夢の話。

司馬師もそこまで気にする事ではないとは思っているが、あまりに鮮明なビジョンだったので、司馬昭の言う通り次に司馬懿に顔を合わせるのが少々気まずい。

「……乱交と言えば、昭。お前この間10Pしたとか言っていなかったか?確か男は4で、女が6」

弟の言葉でふと思い出し、唐突に司馬師が尋ねる。

「ん?あれか。そういやそんな事もあったっけな。さすが兄上、細かい事までよく覚えてますね」
「先週の話だろ。もう忘れたのか」
「ふふん。終わった事はどんどん忘れるのがモットーですから。俺は!」

呆れた顔付きで弟を見返す司馬師とは対照的に、ケラケラと楽しそうに笑う司馬昭の態度は明るいものである。

司馬師が言った先週の話≠ニは、司馬昭が先日行った乱交プレイの話。

その日司馬昭は気の合う仲間の男性武将達3人と、最近入ったばかりの新人女官達6人を侍らせつつ楽しく酒を飲み交わしていた。

夜も更け、酒の量も増えていくに従って段々シモネタも飛び交い、妖しい雰囲気に包まれていったこともあり、自然の流れというべきかよくある展開というべきか、次第に男達の手が女官の肌に伸びて彼女達の乳や太股をまさぐり出すようになり、そういうムード≠ノなった。

入ったばかりの新米女官ということもあって、彼女達は全員まだ16〜18くらいの少女達で、故郷の村から出てきて初奉公に上がったばかり。

ぴちぴちの若いオンナと10P出来るぜ!!ヒャッホーイ!!と司馬昭含め男達がMAXまで興奮した直後、なんと全員処女だという事が発覚した。

城に奉公に上がれるくらいに見た目のいい若い美少女が6人。しかも全員処女!!

その事実に一層男達が鼻息荒くなったのも束の間、いざ実際にコトに及んでみるとなかなかどうして大変な事が分かった。

何も知らない初々しさとまだ処女膜も張っている内部の締まりの良さはまさに男にとって憧れの要素であるが、一対一での性交渉と複数プレイの場合は微妙に勝手が変わってくる。

これが一対一のプレイであれば時間をかけてじっくりと、余裕を持ったセックスも可能。

だが、複数の人間が入り乱れて同時進行であれこれやる乱交プレイの場合、その場の勢いとノリ、スピーディーさが重要になってくる。

フェラの仕方も分からない、どういう時にどんな体勢で、どこにどう力を入れて良いのか分からない。どのタイミングでどう動けばいいのかも分からない。

そんな分からない事だらけのウブな若き処女6名に

『フェラする時はこうやってくわえんだよ』
『いいか、絶対に歯は立てんなよ』
『もっと尻を高く上げろ。足を開けって』
『いいか。俺がイクまで勝手にイクなよ!』

……と適時指導しながら順番に挿入していくのは、さすがの司馬昭&体力自慢の男性武将達も骨が折れた。

「その点、先月風俗の姉ちゃん達とヤッた複数プレイは凄かったぜ」

過去の記憶を思い出しつつ、司馬昭が語る。

「あの時も仲間と連れだって風俗に行ったんですけど、その店にあるコースの中で一番高いメニューを頼んだんですよ。男一人につき女5人がつくやつ。客の男1に対して女5のサービスが受けられる6Pってことなんですけど、嬢5人のチームワークが凄いなんてもんじゃないっすよ。俺の例でいくなら俺の玉舐め専門、棒舐め専門、乳首舐め専門、アナル舐め専門、んでもってその最中ずっとディープキスしててくれる俺の口犯し専門。もっ、驚異の連携プレー。半端なかったぜ!」

当時の記憶を振り返った事でうっすらと感覚も思い出してきているのか、司馬昭がはぁっ…と熱い溜息混じりに漏らす。

単なるプレイを求めるのではなく、スムーズさと心地良さを重要視するのであれば、なおさら複数プレイにおいては男女双方共にある程度の知識と経験、やる気が必要なのだとこの時司馬昭はしみじみ悟った。

「娼館通いか…。たまの息抜きに遊ぶのはいいが、ほどほどにしておけよ、昭。今の情勢ではいつ戦が始まるか分からないし、我々にもいつお呼びがかかるか分からないからな」
「はいはい、分かってますよ兄上。司馬一族の男子として、俺達も戦が始まれば駆り出されるってことなんでしょう?あーあ。めんどくせ」

兄に窘められ、司馬昭は言葉通り面倒臭そうな顔をしながら大きな手でボリボリと頭を掻く。

司馬師や司馬昭ほどの身分になると、普通の若者達とは異なり様々な任務や責務が付きまとう。

どんな時でも戦が始まれば軍法会議に参加しなければならないし、出陣要請が出れば父の司馬懿と共に武器を手にして戦場に出向かなければならない。

そんな中、城下町にある風俗店にしょっちゅう繰り出していたのであれば物理的な距離間の問題でお呼び≠ェかかった時の反応が遅れる。

だからこそ、そう城から出て遊び回るなよと司馬師は言うのだ。

そんな兄の真意が弟としてよく分かっていつつも、己を取り巻く環境の窮屈さについ司馬昭は不満を漏らしてしまう。


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