異次元 【月下美人】 そこにいたのは、三成だけではなかった。 清正のいる方を向いて座っている三成の膝の上に乗せられるような形で、白い物体が揺れている。 こちらに向かって力なく投げ出されている白い二本のラインが、名無しの両足である事は清正にはすぐに分かった。 着衣を剥がれ、形の良い乳房も露わに、下半身も剥き出しにされて申し訳程度に所々覆っているだけのような名無しの衣装。 彼女の爪先は足袋を履いたままになっていて、全身素っ裸にされるよりもこんな感じで数カ所布地を残されている方がなんだか余計にいやらしい。 名無しは三成によってエビのように両膝が胸に付きそうな程に深く折り曲げられ、大切な部分が清正から見て丸見えになる体勢で三成に背後から抱きかかえられていた。 名無しの秘部には、太く形を変えた三成の肉棒が深々と埋められている。 「んんっ……!」 その時初めて、清正は呻くような名無しの声を聞いた。 彼女が声を出せなかったのは無理もない。三成は後ろから手を回して彼女の両足を抱えているのに加え、大きな手で器用に彼女の口を押さえていたのだ。 名無しは体の自由だけでなく、声を出す自由までも三成に奪われていた。 なんだこれは。 なんだこれは。 ミテハイケナイモノヲ ──────ミタ!! 戸を開けてはいけなかった。 頭のどこかでもう一人の自分が呟く声が聞こえたが、今更もうどうにもならない。 男と女が二人きりで夜更けに一緒にいたのだ。 最悪、考えられる展開だったではないか。 そう心のどこかで覚悟していた部分があったのに、清正は自分でも予想していた以上に大きな衝撃を受けていた。 「んぅっ…、んんん───っ!!」 目の前では、名無しが懸命に首を振って清正から顔を背けようとしていた。 だがそんな彼女の行為も三成によって封じられ、それどころか三成は名無しの顔を無理矢理掴んでグイッと正面を向けさせる。 「何故顔を背ける。曲がりなりにも職場の同僚だぞ。そんな風にして無下に扱うこともないだろう」 「……っ、んぐっ……」 「ほら名無し。ちゃんと顔を上げて向こうを見ろよ。こんな夜中にわざわざ会いに来てくれて嬉しいだろう?」 強制的に清正の顔を見せつけられる中、白い肢体をくねらせ、なんとかして顎を反らせようとする名無しが苦しげに喘ぐ。 そんな彼女の反応が楽しくてたまらないのか、三成が形の良い両目をすいっと細め、名無しの耳朶にキスするようにして唇を寄せる。 「─────お前の大好きな清正だぞ」 ゾクリ。 男がククッと笑うようにして名無しの耳元で低く囁き、熱い吐息を吹きかけた途端、名無しの体がビクンッと跳ねた。 その直後、ついに我慢の限界を超えたのか、名無しの両目からは大粒の涙がポロポロッと零れ出す。 こんな光景を突然見せられた清正は相当大きなショックを受けた。 だが、三成に抱かれている名無しを見舞った衝撃は清正とは比べものにならないくらいに大きかったに違いない。 柔肌も露わに、大事な部分がさらけだされた格好で、自分の部屋で、男の太い性器を根本まで丸呑みにさせられている光景を、仲のいい同僚武将に目撃されたのだ。 「……!!」 声にならない悲鳴が、名無しの全身から迸る。 清正を見上げる名無しの瞳からはとめどなく涙が溢れ出していて、激しい哀しみと羞恥が彼女の瞳に滲んでいた。 獰猛な肉食獣の爪で好き勝手に弄ばれ、抵抗する事も出来ずにされるがままになっている小動物の姿。 この時の名無しは、清正の目にたまらなく弱々しく、そして痛々しい物として映った。 「丁度良かったじゃないか、名無し。そろそろこっちの方も疼いていたんだろ」 三成は絶望のあまり悲鳴すら上げられずにいた名無しの口元からようやく手を離すと、そのまま己の手を彼女の下半身へと滑らせ、緊張と恐怖でブルブルッと震えている白い内腿をゆっくりと撫でる。 「あんっ…」 下から上へと撫で上げるような三成の動きに、名無しは思わず声を漏らしてしまった。 これまでの間に三成によって散々刺激を与えられて感度が高まっている名無しの体は、どこを触られてもつい可愛らしい声が出てしまう。 「あっ…いやっ…だめぇ……」 無防備な姿をこれ以上清正の前に晒されるのが耐えきれず、名無しは両手に力を込めて左手で胸元を、残った右手で三成との結合部を隠そうと抗う。 そんな名無しの姿を見て、清正の心臓がバクンッと跳ねる。 玉のような涙を零しながら、懸命に左手で己の乳房を覆い、右手で腰元付近にある衣服の裾を引っ張って互いの性器を隠そうとする名無しの仕草が、かえって悩ましくてエッチでいやらしい。 「ふ…。顔は隠さなくていいのか?涎を垂らしてよがりまくってる顔が丸見えなのに」 三成は震える名無しのうなじを赤い舌先でペロリと舐め上げ、からかうように囁く。 すると名無しはハッとしたように両手で自分の顔を押さえ、清正の視界から己の顔を隠したが、そうすると今度は胸や秘部が露出してしまう。 慌てて再度手を伸ばして覆ってみようとするものの、二本しかない手ではどう頑張ってみても全てを隠す事は出来ない。 その事実を悟り、名無しはリンゴみたいに真っ赤に頬を染め、一層恥ずかしそうにして体をくねらせる。 はだけた着物姿で快感に苦しみ身悶えながら涙に濡れる名無しの姿態は、今まで一度も清正が目にした事がないもので、とても新鮮で、強烈だった。 しかも初めて見た性交時の名無しは、なんて妖艶で淫らで愛らしい声で喘ぐのか。 三成の愛撫を受けている間中ポロポロと溢れる涙は真珠のように煌めいていて、それがまた男の嗜虐心をそそられてたまらない。 [TOP] ×
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