異次元 | ナノ


異次元 
【籠の鳥】
 




名無し、貴女は私の可愛い可愛い籠の鳥。


息を切らせながら、さあ頑張ってお逃げなさい。


どんなに必死になって私から逃げようとしても、必ず捕まえてあげるから。


あの時、貴女が声を殺していたら。私の前で、飛べないフリをしていたら。


私の目に留まる事が無かったら、今でも貴女は外で自由に飛び回っていて、普通の恋愛をしていたのかもしれませんね。


でも、私達は出会ってしまった。私は貴女という女性を見付け、運命を感じてしまったのです。


私にとっての貴女は私が遠い昔に失った半身で、貴女の魂を生け贄に私の世界は完成する。


最愛の女性を自分の籠の中だけに閉じ込めておけると言うのなら、私はその為に貴女の羽をへし折ったって構わない。


さあ、こっちへいらっしゃい。名無し。私と共に生きる愛の煉獄へ。


どこまでも続く暗い闇の世界に、私が貴女を誘ってあげる。


どんな事をしてでも叶えたい願望。


止まるところを知らない欲望。


諦めるという術を知らない絶望。





────絶望する事すら知らない絶望。





─蘭丸夢・【籠の鳥】


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