異次元 | ナノ


異次元 
【すんどめ:VS夏侯覇】
 




(なるほどそういうことね)

我ながら親父臭いスケベさに呆れるばかりだが、今は都合がいいので敢えてスルーしておくことにする。それなら遠慮なくいかせてもらうとしようかな。

「綺麗だ……」

思わず漏れた言葉はお世辞ではなく、本音だった。滑らかな白い肌と、カーブを描く二つの膨らみ。自分みたいな男には決してない柔らかさと曲線に、目が釘付けになってしまう。

夏侯覇の視線の先では、男の愛撫によって固く形を変えた突起物がぷっくりと膨れている。

まるで早く触って欲しい、もっと可愛がってくださいと言わんばかりに訴えているようで、とても卑猥な眺めであった。

男の視線を感じてか、名無しははにかむように顔を背ける仕草をするのだが、それがまたいじらしいというかなんというか……余計に嗜虐心をそそられるというか……とにかく腰にくる。

ああもうダメだわこれ。我慢できねぇや。

夏侯覇はたまらず乳頭にしゃぶりつく。名無しが体を強張らせたが、愛し合う二人に遠慮は不要。

舌先で転がすように舐めたり吸ったりしているうちに、そこはますます硬くなっていき、やがて完全に勃ち上がった。もう片方も同じようにしてやると、彼女は敏感な反応を示す。

「んっ……、ふ、ぁ……んん……っ」

名無しは必死に声を出さないように耐えているようだが、それでも漏れてしまう吐息交じりの声が逆に艶めかしく感じられる。

「声、抑えなくていいよ」
「やぁ……」
「大丈夫だからさ」

こんな風に我慢されてしまうと、むしろ余計に声を出させたくなる。

男としての矜持というか、プライドに火が点いてもっともっと乱れさせてやりたいと思ってしまう。

「ほら」
「あっ…あぁぁ…!」

軽く歯を立てるように甘噛みすると、それだけで一際大きな声が上がる。どうやらここが弱いようだ。ならば重点的に攻めてやろうではないか。

片方を口に含みつつ、反対側を指で摘まんで捏ねくり回す様に刺激を与える。途端に名無しの体がぴくんっと男の下で跳ね、快感から逃れようとするみたいに首を振る。

「いゃ…ぁ…、だめぇぇ…」
「口では嫌だと言っているくせに体は正直だな?」

わざと音を立てるようにして吸い上げれば、名無しは潤んだ目で男を睨む。

「い、いじわる……」
「そんな顔しても逆効果なんだけどな。腰が揺れてんのに気付いてねえの?無意識だとしたら相当タチが悪いぞ」
「やぁ……ちが……これは……」

時折乳首を引っ張り、指の腹で何度も擦るようにして弄ってやる度に名無しが身を捩り、可愛い声で喘ぐものだから、知らず知らずのうちに夏侯覇の愛撫にも熱が入る。

「あ、あぁーん……。夏侯覇…、だめ…それぇ……」
「駄目じゃないくせに。本当は気持ち良いんだろ?素直になれって」

意地悪っぽく言ってやると、名無しは両目一杯に涙を溜めてブルブルと首を振る。その拍子に涙が零れ落ちるのを見て、ゾクゾクとした快感を覚えた夏侯覇は思わず舌なめずりをした。

(ああ、やばいなぁ)

優しくするから、と名無しに告げた。あの時は確かに本心だった。

それなのに、夏侯覇は自分でもちょっぴり引くくらいに今のこの状況を楽しんでしまっている。名無しの泣き顔なんて見たくないはずなのにどうしてだろう。

いつもの名無しなら絶対に口にしないことを言わせたい。そんな願望が頭をもたげる。

「名無し、好きだよ。お前のこと、めちゃくちゃにしてやりたいくらいに……」
「……っ」
「嫌?俺にこういうことされるのは」
「……い、いやじゃない……」

───そうだよな。彼氏なんだから。

でもそれはあくまで夢の中での設定であって現実の俺達の関係とは違うわけで。だからこんなことしても良いはずがないんだけど。

本当にどうかしてるぜ。俺はこんな奴じゃなかったはずなのに。

「じゃあ…抱いても、いいよな。俺のこと受け入れてくれるよな?」

夏侯覇は名無しの両膝の裏に手を入れてぐいっと持ち上げた。そしてそのまま左右に割り開くようにして開かせると、名無しの顔が羞恥に染まる。

「や…、わた、し……」

夏侯覇は慌てて閉じようとする名無しの足を押さえつけ、より一層彼女の体に体重をかけながら首筋に顔を埋める。

「名無し。お前が欲しい」

男の台詞に、名無しが息を飲む気配を感じた。

俺は卑怯者だ。答えが分かっていて聞いている。こう尋ねれば、優しい彼女が断れないことを知っているのだから。

でも、もう止められないんだ。ごめんな、名無し。

心の中で謝りながら、夏侯覇は更に言葉を重ねる。

「好きだ。愛してるんだよ。お前が欲しいんだ」

そう言って口付けようとした瞬間、それまで黙っていた名無しが小さく呟く。

「……ごめんなさい……」

その言葉に、思わず動きが止まる。恋人同士だというのに、まさか断られるなんて思っていなかったので動揺してしまう。

拒絶されたという事実に打ちひしがれそうになる気持ちを何とか奮い立たせ、夏侯覇は苦しげに歪んだ眼差しで名無しを射抜く。

「なんでだよ。俺じゃダメなのか……?」
「そうじゃ、なくて……」

言いづらそうに口籠もりながらも、彼女はぽつりぽつりと語り始めた。

「……本当は、私の方から言わなければだめだったのに。夏侯覇はとても優しくて、いつも私のことを本当に大切にしてくれて、愛してくれているんだって分かっているのに……恥ずかしいからって……私がずっと拒み続けて……」
「…え…?」

突然の拒絶の時点ですでに十分すぎるくらいにショックを受けていたところだったのに、予想とはまるで違う名無しの返答に、頭が全然ついていかない。

「私、臆病者で、勇気が出なくて……。嫌われたらと思うと怖くて言えなかったの。本当は私だって、早く夏侯覇と結ばれたかった。夏侯覇の物に、して欲しかった……」

緊張気味の声を振り絞り、今にも泣き出しそうな表情を浮かべている名無し。

名無しの言葉に、今度は夏侯覇の方が驚いてしまう番だった。


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