異次元 | ナノ


異次元 
【茨の檻】
 




「ヌルヌルの肉襞が絡み付いてたまらない……。生本番は、本当にいいものだ」
「あんっ…、だ、め、エッチなこと、言わないで…」
「男はエッチだろうが」
「んんっ…あんっ…やだぁ…そんな…っ」

顔を枕に埋めたまま頭を振り、名無しが涙を流して訴える。

今の時点で制御不可能なレベルで感じまくっているのに、その上体の一番深いところで男の熱い奔流を受け止めてしまったら、もうどうなってしまうのか分からない。

「今まで散々焦らした詫びに、たっぷり出してやるよ」
「あっあっ…いや…、だめええ…出しちゃいやぁぁ…!」

頭がおかしくなりそうで、怖い。

せめて外に出して下さい───と、名無しは法正に哀願した。

だが、そんな願いを申し出たところで、己の欲望が爆発寸前の法正が聞き届けるはずがない。

名無しの必死の訴えは、法正の情欲を余計に燃え上がらせるだけ。

こんな風に快楽に蕩けきった顔で許して≠ニ言われたら、むしろ中出し確定コースに直行する。

「そういう顔と声は逆効果だと言ったはずだがな」
「もう…いやあぁぁ…法正殿…」
「そろそろ出すぞ…」
「あぁーんっ…許して…、もう…もうっ…」

ふしだらで可愛い名無しの泣き顔と喘ぎ声をもっと長い時間堪能したい本音もあるが、お前が悪い≠ニ体で教え込んでやるのも雄としての大事な仕事だろう。

名無しがどれだけ行為の中断を懇願しても、法正はそれを許さない。

男の加虐心を学習しない物覚えの悪い生徒には、子宮から再教育が必要だ。


「ダメだ。ぶちまける」
「そ…、そんなっ…。あっ……あぁぁぁ……!」


無慈悲で残酷な最後通告が降り注ぎ、この瞬間、名無しに残された僅かな希望は木っ端微塵に打ち砕かれた。

拒否したいはずなのに、法正の低く掠れた声で告げられると、名無しの子宮がジンッと疼く。

男の腰の動きが、宣言通り射精目的のものへと変化する。

法正は名無しの臀部をしっかり掴んで固定し、勢い良く腰を打ち付けた。

メスを孕ませる時に行う本気の腰使いで、名無しの内部で肉棒を出し入れするスピードをどんどん上げていく。

(いやああ…イッちゃう…こんなのもう…イッちゃう…!!)

グチャグチャと、男を受け入れる名無しの秘部からいやらしい音が聞こえてくる。

もう何も考えられない。

「あぁぁ───っ、だめぇぇ…イク…イク…イッちゃう───…!」

肉棒がドクドクッ、と大きく脈打つのを感じながら、名無しは背中を大きく反らせて絶頂に達した。

名無しがイクのと同時に法正の先端がズンッと彼女の内部を貫き、一番奥深い部分で射精する。

「…っ、あ…、名無し、殿…っ」

法正はきつく目を閉じて、絶頂の余韻に浸る。

女とセックスするのが久しぶりという訳ではないのに、イッた時に絶妙に締め付けてくる名無しの膣内が気持ち良すぎるのか、思った以上に長い間射精が止まらない。

何度もイカされた名無しの膣内は注がれる熱い精液に反応し、本気イキよりももっと小さい、緩やかな絶頂感を続けて享受する。

いわゆる連続絶頂≠フ状態に陥り、イッた後もピクピクッと小刻みに震え続ける内壁が、法正に一層深い射精感を与えた。

当の名無しは名状しがたい快楽の深さに体の自由が利かず、半開きの唇からとろりと唾液を零したままで、思うように口を閉じられない。

「ふーっ…」

法正は大きく息を吐きながら、名無しから体を離す。

さすがにもう出なさそうだ。

最後の一滴まで名無しの中に精液を注いだ後、法正は彼女の中からゆっくり己の物を引き抜いた。

十分な量の精を放っても未だに腹部に反り返る程に立ち上がる男根は、法正の興奮と若さの証と言える。

ドロリ。

栓をする物がなくなった名無しの秘部から大量の白濁液が溢れ出て、彼女の愛液と混ざってシーツに卑猥な染みを作っていく。

『法正殿!もしお忙しいのであれば、私がそちらの仕事を代わりますよ』
『それくらいのことでしたら、お任せください。法正殿もお疲れでしょう。どうか少しでもお体を休めて下さいね』

法正が大量の仕事に忙殺されていた時。猫の手でもいいから借りたいと思っていた時。日頃の睡眠不足のせいか、疲れがなかなか取れない時。

そんな時、いつも名無しは法正の事を気にかけて、細々とした雑用や面倒な仕事を笑顔で引き受けてくれていたことを思い出す。

名無しは、いつも無償で法正の手伝いを買って出た。きっと法正だけでなく、他の人間に対してもそうなのだろう。

そんな彼女を眩しく感じ、法正は劉備に対するものと同様、礼儀を持って接していた。

俺とは違った世界に住む人間なのだ、俺みたいな悪人に彼女が酷い目に遭わされないように影ながら見守っていなくては。

今朝までは、本気でそう思っていたはずなのに。

≪おそらくお好きでしょう、ああいう女性≫

法正の目には真っ白に映っていた名無しは今、男の精液にまみれて汚された状態で、ぐったりした様子でベッドに体を預けている。

これが、答えだと言うのか。

悪党と呼ばれる自分を忌避せず、ひたむきに支え続けてくれていた女性に対する、返礼。

名無しを泣かせてしまった。

恩義ある相手を、醜い欲望の対象にしてしまった。

痛々しい名無しの様子に法正の心は揺れたが、続いて素朴な疑問が胸中に広がる。


今後、名無しを一人にして大丈夫なのだろうか。


この城内で、何のトラブルにも巻き込まれずに過ごしていけるのだろうか?


はっきり言えば、到底そんな風には思えない。

すでに現段階でエロジジイやエロガキにお尻を撫でられたり下着に手を入れられそうになっているという事実は、彼女自身が証言済みだ。

それだけではない。

決して女に不自由していないと自負している自分のような男でも、彼女の何とも形容し難い色気に間近で当てられてしまうと、ほんのわずかなきっかけで雄の肉欲に支配されるという新事実も今夜追加で証明された。

(と、いうことは……)

そうだ。

いくら比較的善人が多い蜀軍であっても、魑魅魍魎が跋扈するこの世界において、ここだけが特別に安全地帯だとは限らない。

だったら名無しがこれ以上飢えた男たちの犠牲にならずに済むように、彼女には防波堤が必要だ。

今回彼女を初めて抱いた事で分かったように、男女間のドロドロした泥沼からは無縁の位置にいると思われた名無しの柔らかい肉体は、その実大勢の男を簡単に欲情させ、快楽の海に引きずり込む魔性の娼婦であった。

そんな彼女が、男無しの生活に我慢できるはずがない。

男に抱かれる為に存在して、精を飲み干す才能に能力を全振りしたとしか思えないこんなエロい肉体が、軍の規律を守る為に禁欲を強いられるなど、不憫にも程がある。


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