異次元 | ナノ


異次元 
【茨の檻】
 




「ああっ…だめえぇっ…」

擦り合わせた部分から受ける刺激があまりにも気持ち良くて、脳が沸騰するような感覚を抱く。

手を回したい。

法正の背中に手を伸ばして抱きついて、彼の腰に両足を絡ませてしっかりホールドして、もっと強く打ち付けられたい。

そんな衝動と必死に戦い、名無しはいやいやをするみたいに首を振って泣きながら身悶える。

「分かりますか?名無し殿のここ、口を開けて俺に吸い付いているのが」

快楽を得ているのは名無しだけではない。

ヌルヌルした名無しの体液、尖った肉豆と下着越しでも男の形を包み込むように張り付く名無しの秘部は法正の肉棒をしっかり刺激し、男の興奮を高める役割を果たす。

「俺の、硬くて気持ちいいでしょう」
「いやいやっ…見ないで…法正殿っ」
「もっと腰を押し付けて、好きなだけ擦っていいんですよ」
「うそ…、うそっ…こんな…」

法正も名無しも、吐く息が荒い。

布を一枚隔てた状態で、互いの性器を擦り合わせる相互オナニー。あるいは疑似セックス。

本番とはまた違った背徳感と寸止めに近い焦れったさがより一層名無しの羞恥心を煽り、ぐちょぐちょと愛液が絡みつくたびに強烈な悦楽が湧き上がる。

「このままずっと布越しでいいんですか」
「あっ、やだぁ…。法正、殿…これ、いやぁ…」
「ちゃんと…っ、セックス、しなくても、いいんですか?」
「っ、そ、んな…。いや、いや…しませ…」

しません、と訴えたかった。

だけど、耐えられない。

何かを堪えるように微かに眉根を寄せ、熱く掠れた声で問い詰める法正から逃れられず、名無しは我を忘れたように腰を振る。

法正は、残酷だ。

これほど酷く凌辱しておいて、それでもまだ自分から服従の言葉を引き出そうとするのか。

こんな風に涙で濡れたぐしゃぐしゃの顔で乱れまくっているのは、自分だけなのに。

こんなにも感じ過ぎてしまって、法正に抱いて欲しくて、我慢できなくなっているのは自分だけだというのに。

「ほう、せい、殿…、んうっ…」

赤い唇を開いて悦楽に浸る名無しに、法正が覆い被さる。

互いの唇を吸い合う激しい口付を交わした後、法正は長い舌を差し込んで名無しの口を犯しながら呟く。

「口では何と言おうが…俺の愛撫にあなたの体はこんなにもドロドロの愛液で応えてくれる」
「あんっ…法正…殿…」
「俺は他の誰よりも深く、あなたを知りたい。今夜は奥の奥まで、あなたを全て味わい尽くしたい」
「あっ…だめっ…あぁん…イッちゃうっ…」

会話の合間に、くちゅっ…、ずぷっ…と淫らな音がする。

「……早く挿れたい」
「っ、ぅ」

男のストレートな口説き文句に、名無しの頬がサァッ…と紅潮した。

熱を持つ名無しの耳元に、男の唇が寄せられる。

「もう待てない。あなたを犯したい」
「ぁ、や…、だめ、そん、な…」
「俺が、欲しいよな?」
「…ぁ…、法…、せ…」
「───欲しいって言えよ」

法正は有無を言わさぬ口調で命令し、駄目押しとばかりに自身の亀頭をみっちりと名無しの肉芽に押し当てるようにして、ズンッと深く腰を打ち付けた。

「んっ…んんん───っ!」

声にならない嬌声が迸る。

あと少しでイッてしまいそうなくらいに強烈な衝撃に、名無しの思考は砕け散った。

法正相手によくここまで保ったと思われる名無しの理性は、この瞬間、完全に敗北した。

もう完全に意識が溶けてしまって、頭の中がふわふわしてしまって、抵抗する力が出ない。

「あっ…あっ…ああああ…」

ブルブルッと、腰を震わせて名無しが喘ぐ。

「…法正殿…どう、して…?ひどい…こんなの…もうっ…」
「欲しいなら素直に……」
「欲し…い…。入れ、て…欲しいです…っ」


─────堕ちた。


ついに名無しを陥落させたという暗い喜びに、法正の口端が吊り上る。

「意地悪…しないでくださいっ…中が熱くて…おかしいの…」
「ん…、名無し殿…」
「あっ…んっ…もっと奥…。奥に欲しいの…法正殿ぉ…」
「…は、ぁ…っ」

もう自分から激しいキスをするだけの余力が残っていないと言いたげに、ちゅっ、ちゅっと弱々しいキスの雨を降らせつつ涙混じりに哀願する名無しのエッチな姿に、法正の吐息が熱くなる。

内部から透明でねっとりした体液を溢れさせ、唾液でぬらぬらと光る淫らな唇を寄せながら『奥に入れて』と囁く名無しの甘いおねだりは、法正の爛れた欲望を酷く刺激した。

乳首を弄られただけでイッてしまうほど敏感で、ちょっと触っただけですぐに秘部からトロトロの潤滑油を溢れさせる名無しの肉体は、生まれつき男を悦ばせる為に造られていると思えるくらいに淫靡で、健気で、エッチだった。

「いいだろう」

法正はグチョグチョになっていた名無しの下着を慣れた手つきで脱がせると、彼女の体を俯せにして自分の方に白いお尻を向けさせた。

そのまま男の手で背中を軽く押され、もっと上体を伏せて代わりにお尻を突き出せ、という男の意図を理解した名無しは赤面しながらも素直に従う。

恥ずかしい。

自分からお尻を上げて秘部を男の人に曝け出すなんて、まるで発情期の獣になった気分だ。

ポロポロッと大粒の涙を零し、恥ずかしそうに顔を枕に埋める名無しの腰を、法正の手が左右からしっかり掴む。

「その言葉を忘れるな」
「あんっ…」

背後から降らされる男の低い声、腰に触れる掌から伝わる体温、バックから交わるための準備体勢が必然的に今から行われる行為の卑猥さを連想させ、名無しの秘部からは期待感に満ちた粘度の高い液体がトロリと零れる。

「お望み通り、たっぷり生ハメしてやるよ」

ぐちゅぅぅぅっと粘膜同士が擦れ合う音をさせて、男の亀頭が名無しの入り口にめり込んできた。

完全に蕩けきってグチョグチョのドロドロになっていた名無しの内部は男の太い男根を少しずつ慣らす必要もなく、むしろ早くと言わんばかりに深々と飲み込んでいく。

「あぁぁぁ───っ」

硬く充実しきった男の肉に内部をギチギチに埋められて、名無しは今にも達してしまいそうな絶頂感に必死で抗っていた。

限界まで耐えに耐えてから解放される快楽は言葉に出来ないくらいのエクスタシーをもたらすと聞いた事があるが、この時名無しの頭から爪先まで一気に貫いた痺れはまさにそれだった。

「…う、っ…」

法正もそれは同じことで、彼の場合は過去の経験からすでに学んでいた為に名無しに比べて十分心構えが出来ていたが、それでも予想以上に激しい快感に計らずも呻く。

気持ちいい。というか、気持ち良すぎる。

ローションを使わなくてもこれだけ潤い、まるで『もっとして』と言わんばかりに男の物を幾重にも締め付け、奥へ奥へと誘う名無しの内壁に、法正は唇を噛み締める。

信じられん。これが本当に素人女の穴か?嘘だろう!?


[TOP]
×