異次元 | ナノ


異次元 
【茨の檻】
 




「さて…名無し殿。長い間一緒に過ごしてきた割に、俺はあなたのことをほとんど知らない。ですから、もっと知りたい」
「んっ…」
「まあ、必要以上に他人と親しくするのを避けていたのは俺なので、自業自得なのですが」

絶頂の余韻が残る肉体は敏感で、法正に優しく太腿を撫でられただけで上ずった声が出てしまう。

そんな自分が情けなくて名無しの羞恥と困惑は倍増し、何かを堪えるように唇を噛んで耐える名無しを法正はじっくり観察した。

「いい顔だ。名無し殿、あなたは本当に男の欲望をかき立てる淫らな表情をする…実にそそられる」

こんなことなら、もっと早くにあなたを押し倒していれば良かったと後悔するくらいに。

法正は独り言のようにそう呟いて、名無しの下着に手を滑らせる。

「あっ…」

胸元への口淫で嫌という程に情欲を高められ、ぷっくり膨らんで形を主張していた肉芽を弄られて、名無しは甘い悲鳴を上げた。

男の指で布越しにぐちゅっ…となぞられて、名無しの腰がぶるっと震える。

「こっちも触って欲しいですか」
「や…、だ…だめっ」

意地悪く尋ねる法正に、名無しはキュッと両足を硬く閉じて抗議の意を示す。

すると法正はふふっと笑って名無しの顔を覗き込む。

「可愛い抵抗ですね。いいですよ。このままでもやり方はいくらでもありますから」
「えっ…?やっ…あ、あ……っ!」

何の邪魔にもならないと言いたげに、法正は名無しの太腿に手を挟まれた状態で愛撫を開始した。

下着の上から嬲られているが、逆に言えばまだ下着の上だ。

絶対にこれ以上先の行為に進ませてはならない、下着を脱がされて直接触られる事だけは絶対に避けなくてはと考えて、名無しは男の手を拘束しようと太腿に力を入れる。

「さっきのじゃ物足りなかったですよね。もっと気持ちいいところも触ってあげます」
「んっ…ふ…ぁ…っ。やんっ…あっあっ…」
「ほら、すっかりメスの顔になってきた」
「あっ…そんな…。いやぁぁ…。うそ…こんなのはいやっ…」
「中もとろとろして、開いてきたでしょう」

───指なんかよりも、ずっと太くて長い物を飲み込むために。

下着越しに浮き上がる肉芽の先端を擦り上げられて、法正の低い声でしっとりと耳元で囁かれた途端、名無しの理性が崩壊した。

たかが布一枚、たかが両足で挟む程度の行為など、法正の熟練した愛撫の前では何の防御力も持たないことを名無しは今更思い知る。

感じやすいスポットのみを男の指が重点的に責め、甘く、優しく、それでいてちょっとイジワルな響きを持つ低音ボイスでいやらしい言葉を直接鼓膜に注がれて、反射的に腰が揺れる。

もっともっととねだるように、彼の指に自分の腰を押し付けてしまう。

「ベタベタだ」
「…っ、あぁーんっ…いやぁぁ…そんなこと…言わないで…」
「ウソつけ。こんなに濡れているクセに」

下着では吸い込みきれなくなった大量の愛液が布地から滲み出る。

初めはサラッとしていた体液が、男の手淫によってヌルヌルと糸を引く本気汁に変化した事を悟り、法正は名無しの陰核を押し潰しながら唸る。

「エロい穴しやがって…」

耳元で漏れる熱い吐息に、名無しは『あっ、あっ』と泣き出しそうな悲鳴を上げた。

(あっ…やだ…法正殿…いつもと違うっ)

基本名無しに対して丁寧な口調を崩さない男だが、雄としての興奮の表れなのか、もしくは名無しを辱める為に意図的にやっているのか、時々混ざる乱暴な口調に名無しは一層男として法正を意識した。

法正程の色男にこんな風に責められたら、どんなに貞淑な女であってもただの雌に堕ちてしまう。

「あん…ぃっ…ぁぁ……。そんなにしたら…イッちゃう…」

もうこれ以上、足を閉じ続ける事が出来ない。

気が付けば名無しの両足からすっかり力が抜け、男の手を挟む名無しの格好は単なるポーズになっていた。

邪魔がなくなった法正の手はより滑らかに動き、指を往復させるスピードが上がる。

割れ目から滴る愛液をたっぷり掬い上げて名無しの肉芽に塗りつけ、彼女の快楽を頂点へと導いていく。

(あぁーん…こんなの…だめ…もうだめぇぇ…!!)

名無しが絶頂を極めようとした瞬間、男の手が名無しから離れた。

ここぞという瞬間で突然梯子を外されたように感じ、『えっ』という顔で名無しが両目を見開くと、法正はベッドの上で立ち膝をした体勢で自分の腰に手を添えている。

彼が腰紐を解いて前を曝け出すと、すでに大きく形を変えた物が布の中から現れた。

法正は逞しく隆起してバキバキに血管の浮いた肉棒を片手で握り、見せつけるように二、三度扱く。

「欲しいですか」
「…ぅ…、ぁ…っ」

名無しの震える唇から零れ出る声は、言葉にならない。

欲しい、と言ってしまうことが出来れば、この地獄のような快楽から解放されるのだろうか。

ドクドクと、脈打つ音が聞こえそうなくらいだ。こんなに凄い物が奥まで入ってきてしまったら…。

女性である自分とは明らかに違う、太い血管が浮き出る肉の塊を間近で視界に捉え、渇望から自然と涙が溜まった。

「先程も申し上げましたが、俺はあなたを辱めたいのではない。あなたを可愛がって、悦ばせて差し上げたい」
「あ…。ほうせい、どの…?」
「できれば名無し殿が嫌がることはしたくない…。あなたの口から俺を心底求めて下さるまで、無理強いはしないでおこうと思うのです」

男の言葉が、どこか遠くから聞こえてくるような、まるで現実感を伴わない響きで名無しに届く。

限界まで情欲を高められた名無しの目には、もう法正の勃起した物しか映らない。

ここから逃げなきゃ。

早く部屋に戻らなきゃと思うのに、知らず知らずの内に名無しは足を少しずつ開き、挿入をねだるようにして溶けた眼差しで男をうっとりと見上げてしまう。

「ですから…名無し殿。俺が本当に欲しくなったら、いつでも言って下さいね」

法正はそんな名無しの痴態を満足そうに見下ろし、彼女の下着の上から怒張を押し付ける。

「あっ…、あぁぁ───…!」

硬い肉の先端で布越しにぶちゅっ、と陰核を押し潰されて、名無しは上体を反らせた。

ヌルヌルの愛液の助けを借りて法正が肉棒を滑らせる毎に、大きく傘の開いたカリの部分と裏筋が名無しの一番敏感なところを痛いくらいに刺激する。

「ひぃぃ…だめぇぇ…こんなの…。法正殿…こすっちゃいや…あんっ…あああっ…!」

名無しがガクガクと腰を震わせても、法正の動きは一向に止まらない。

それどころか、溢れ出る淫液を余計に絡ませて、肉芽の部分を重点的に押し潰す。


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