異次元 | ナノ


異次元 
【魂喰いvol.2】
 




「だめっ…吸っちゃ…んっ」

チュルチュルと淫らな音を立てて名無しの乳首を舌先で弄ばれたり、絶妙な力加減で舐められたり吸われたりが繰り返されていくうちに、名無しの口から漏れる喘ぎ声が次第に大きくなっていく。

「何故だ…?乳首を吸われて、こんなに物欲しそうに自分から腰を揺らしておいて…」
「ですよねえ…。こんなに赤くなって、プクッて膨れて。いかにも『もっと苛めてください』って感じなのに、今さら拒否るとか有り得ないし。すげえ固くなってるし、尖ってる…。噛んでやると、多分もっと…」

そう言うが早いか、再び『誰か』の唇が名無しの乳首に降りてきて、痛くもなくギリギリ気持ちいい位の絶妙な力加減でその先端に歯を立てた。

「ああーん…だめっ…」

ビリビリッと胸元から全身を電流が流れるような快楽に、名無しは抵抗する術を失う。

未だ上半身を責められているだけだというのに、名無しの下半身からはそれに呼応するように透明な液体がとろとろと溢れていた。

名無しの変化に気付いた男は名無しの中心に指を当て、ドロリと溢れてくる彼女の体液を指先で拭い取るようにして入り口付近を愛撫する。

透明な愛液を擦り付けるようにして上下に指を動かすと、その刺激でどんどん漏れてくる体液の効果で男の指先がさらにヌルヌルと潤い、もっと官能的な快楽を名無しに与える事になる。

下半身への愛撫と同時進行で餅をこねるようにして両方の乳房を揉まれ、時折乳首を甘噛みされ、指の腹で乳首を何度も弾かれる度に、名無しの頭から他の事を考える余裕が消えていく。

何もかもが、気持ち良すぎるのである。

誰かの指が名無しの乳首を弄り、誰かの唇が名無しの背中から項に上るようにして這い上がり、誰かの指が名無しの白いお尻を揉みしだき、誰かの濡れた指がわざと敏感な肉芽の部分を避けるようにクチュクチュと秘部の表面を動き回る。

1本だった指が2本に、彼女の秘部の入り口を焦らすような動作で数本の指がなぞっては離れ、指の腹で軽く入り口を押してはすぐに離れていくうちに、名無しはもう彼らに何をされているのか、今の自分がどんな状況に置かれているのかという事も分からなくなってしまう。

「あーんっ…いやあぁ…そんな…っ」

欲しい刺激がいつまで経っても与えられず、救いを求める名無しの切なげな喘ぎ声が、深夜の室内でねっとりと響く。

丹念に、執拗に、そして的確な動きで名無しの快感を引き出す司馬師と司馬昭のテクニックに、いつの間にか名無しは彼らに与えられる深い快楽の波に酔い痴れていた。

「あぁん…だめ…いや、いや…。そんなにしたら…もうイッちゃう…」

男達の体を押し返す事も、起き上がってこの場から抜け出す事も出来ず、強制的に押し寄せる快楽から逃れる術を持たない名無しの体は、早くも『もうこれ以上の快楽は無理』だと訴えていた。

「ふ…、勘違いするなよ性奴隷が。誰が勝手にイッてもいいと許可をした?」
「冗談だろ?まだ指も入れていないのに。これだけでイクとか快楽に弱すぎだよなぁ、正真正銘のド淫乱。大好きなご主人様に、我慢する事を教えて貰ってねえの?」

だめ、やめてと必死で懇願しているのに許されず、両耳から異なる声でさらなる淫靡な言葉で責められて、込み上げる羞恥で名無しの脳が沸騰する。

抵抗を封じられた状態でもたらされる強烈すぎる快楽が、名無しに残された反抗心を粉々に打ち砕いていく。

「お願い…子元…子上…。お願いだから…もう…っ」

名無しは、二人の愛撫から逃れようとするかのように腰を揺らして泣き叫ぶ。


(……あれっ?)


私、何だか前よりも普通に声が出せるようになってきている…!?


生理的な涙で両目を潤ませつつも、名無しは自らの変化に気が付いた。

司馬師に注射を打たれた後は、唇を開いたり舌を動かして音を発するのにも苦労していたのに。

そう言えば、何も見えなかったはずの名無しの視力も、目を凝らせばぼんやりと周囲の存在を感じられるようになってきた気がする。

未だ司馬師と司馬昭の判別が可能なまでには至っていないが、そこに誰かがいる≠ニいうように、不確定な人型のシルエットのような物が視界に浮かぶ。

(そうだ。確か子元はこの薬の効果が続くのは20分〜30分程度だと述べていた)

このままずっと感覚が戻っていないフリをして、完全に体が元に戻ったと分かった瞬間に反撃すれば、子元と子上の隙を突くことが出来るかも─────。

そんな淡い期待を抱いた矢先、名無しの責めを続けたまま司馬師が司馬昭に告げる。

「もうそろそろ、この女の感覚が少しずつ戻ってきたのではないか?その証拠に、以前よりも多少まともに声が出るようになった」
「ん、そう言えばそうですねえ。名無しってばずっとアンアン喘いでいるばっかりだから全部同じように聞こえますけど、言われてみればもういい時間かもしれません」

隠す間もなく、バレている。

セックスの最中、快楽に身を委ねて他の事が考えられなくなる男女も多い中、どこまでも隙を見せず冷静に獲物の状態について語り合う司馬兄弟の赤い唇は、まるで毒を吐く赤い蛇のようだった。

「ああ…、もう俺…これ以上待てない。薬が切れた名無しがいつもの締まりの良さを取り戻して、二カ月ぶりにその中にぶち込んで、俺の好きなようにグチャグチャに出来るかと思うと」

薬が切れたタイミングでの脱出を考えている名無しとは正反対に、全く別の理由から彼女の回復を待ち望んでいると告げる司馬昭の発言に、一瞬にして激しい恐怖心が名無しを襲った。

一刻も早くこの状態から解放されたいのは山々だが、その事に気付いた途端、名無しがどれだけ泣いてやめて≠ニ懇願しようが、宣言通り司馬師と司馬昭は容赦なく彼女の中を貫くだろう。

「名無し……」

急速に込み上げてくる恐怖と絶望に必死に耐えながら、それでも何とか諦めまいと自分に言い聞かせようとしている名無しの名を、普段の彼には似合わぬほどの優しい声で司馬師が呼ぶ。


「お前の『危険日』は、いつだ?」
「……え……?」


全く想定外だった質問を突然浴びせられ、名無しの思考が停止する。

名無しに対する兄の問いを聞いた司馬昭は何故か、ヒュウ、と楽しげな口笛を吹いている。


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