異次元 | ナノ


異次元 
【略奪遊戯】
 




「ん…あ…、だめ……助けて……おかしくなっちゃう……」
「いいよ、名無しさん。助けてあげるからもっと強く腰擦りつけてごらん。俺が欲しいって言って。早く……」
「ああーん…気持ちいい……。半兵衛殿…、もっと…もっと奥まで一杯欲しいの…早くぅ……」

ズルズルッと引き抜いて、亀頭の部分だけを残して名無しの入り口に含ませて、また一気にねじ込む。

ゆっくりと強く腰を押し付け、子宮に届くくらいの一番膣の奥深くを、半兵衛が先端でグリグリと擦る。

「いやぁぁぁ…もう…死んじゃうっ……」

名無しは、迫り来る絶頂の予感に涙を流して身悶えながら足の指をピクピクッとさせた。

男の体液を搾り取ろうとするように、名無しの内壁がキューッと締まる。

「あぁぁぁ─────っ」

名無しがイク瞬間、半兵衛は名無しの肩に歯を立てて強く噛んだ。

名無しの膣は、半兵衛の肉棒に絡んで締め付けながら頂点を極めていた。

「……っ。ぁ、俺もイク……っ」

半兵衛はずっと堪えて我慢してきたが、もう限界だった。

暖かくて柔らかくて潤っていて、キュウキュウと幾重にも男根を締め付けてくる名無しの体内の心地良さに負けて、再奥の部分をズンッと突き上げるようにして熱い飛沫を放っていく。

「あぁぁぁ……」

膣内への責めの快感が限界を迎えたところに、内部でドクンドクンッと脈打つ男の肉と流れ込んでくる精液の感覚が羞恥と恥辱に満ちた快楽を名無しに与え、名無しは白いお尻をブルルッと震わせる。

散々焦らされた事で倍増した強烈すぎる快感と共にイキ果てた名無しは全身をピクンピクンッと2,3度跳ねさせると、倒れ込むようにして半兵衛の腕の中に体を預けた。

名無しの肩には、半兵衛が先程噛んだ歯形がくっきりと残っている。

(やば…!すっごい跡が残っちゃった!!)

興奮しすぎて、つい強めにやってしまった。

半兵衛は名無しをしっかり抱き留めながらしまった≠ニいうような顔をする。

名無しに謝ろうとして彼女の顔を覗き込むが、濃厚なセックスで完全に精も根も尽き果てているのか、ぐったりしていて反応がない。

「……。」

半兵衛はこの後どうしようか迷ったが、とりあえず彼女の中から自身を抜き出す事にした。

未だ硬度を保ったままの肉の塊をズルリと引き抜くと、名無しの膣内に収まりきらなかった精液が逆流して彼女の中から溢れ出し、太股を伝ってドロッ…と流れ落ちていく。

(ちょっとやり過ぎたかな)

まさか名無しさんがあんなに感じやすい子だとは思わなかったから、面白くてつい調子に乗っちゃった。

ごめんね?

どことなく反省しているように思える微苦笑を浮かべ、半兵衛は悪戯で繊細な指の動きで名無しの肩に残った歯形をなぞる。

「これって、あぶり出しに使える……かも」

怜悧に目を細め、ポツリと半兵衛が呟く。

(これだけくっきり跡が残れば一日や二日じゃ絶対に消えないし、肩ならひょっとしたら何かの拍子に誰かの目にも触れるかもしれないよねー)

半兵衛は、この歯形を名無しに言い寄る他の男が目にする事を強く望んでいた。

名無しを口説いている人物の正体は分からないが、都合良くこれ≠その人物が目撃したら、多少は冷静さをなくすかもしれないし、普段と違った行動に出るかもしれない。

それらの反応が判断材料の一つになり、試験紙代わりに利用できるのではないか、と。

(可哀相な名無しさん)

あんな風に俺の前で泣いちゃうなんて、よっぽど色々な面で追い詰められていたんだね。超カワイソー。

そんな野蛮な狼さん達の群れから、俺が君を救い出してあげる。

大丈夫。俺、人の心を操るのが上手いから。

戦の時だけでなく、日常生活でも他人の心にさざ波と諍いを起こす心理戦なら大得意。


名無しさんに関わる男達が怒りと嫉妬で精神的に疲労困憊し、疑心暗鬼になって互いに憎しみ合い、潰し合い、もしくは勝手に自滅する状態まで────持ち込んであげる。


「俺の神算鬼謀、とくとご覧あれって感じ?」


半兵衛はクッ、と喉奥を鳴らして楽しそうに笑うと、名無しの首筋に口付けをした。

男の熱い吐息がうなじに触れて、名無しは『ん…』と小さな声を漏らす。

しかし、彼女が起き上がる気配はない。

(でも心配しなくていいからね。名無しさん)

狼さんがいなくなったのを見計らって、俺が名無しさんを横から華麗にかっさらってあげるからよく見ててね。

それまでは、俺は今までと変わらず胡散臭いエセオトモダチ<|ジションをキープして、名無しさんのすぐ側にいて、名無しさんの事を陰ながら支えるイイ子でいてあげるからっ。


「そして誰もいなくなった>氛氛氛氈Aか」


熱っぽい眼差しで名無しを見下ろす男の瞳の奥底で暗い炎が揺らぎ、ニヤリと吊り上がる唇の隙間からは鋭い犬歯が覗いたような気がした。

だが、半兵衛の腕の中で夢の世界を彷徨っている名無しは、男が纏う冷酷な気配に気付かない。


────邪魔者を全員抹消した後、最後に残るのはこの俺って事で。


「明日からが楽しみで仕方ないよ。ふふっ!」


無抵抗な獲物に手を伸ばし、愛撫するようにして柔らかい髪を撫でる半兵衛の端正な顔には、残酷な笑みが貼りついていた。




他人の心を操る。人の心理の裏をかく。他人が大切にしている物を奪う。


そういう事に嫌悪感を抱き、一々罪悪感を抱えているような性格の人間じゃ、軍師なんて職業、とてもじゃないけどやってらんないよ。心が内側から破壊されて気が狂う。


ほら、名無しさん。聞こえてくるでしょ。大切な物を奪われた人間の絶望が。込み上げる怒りと嫉妬心が。


そういう魂の叫びみたいな怨嗟の念が、俺にとっては全て血肉となり日々の糧となる。


安心して。君の周りにいる野蛮なケダモノ達は、俺が全部まとめて喰い殺してあげるから。


見事目標達成した暁には、可愛い俺の頑張りにたっぷりご褒美をちょうだいね。


その労力に見合うように、願わくは君の尊厳と自我の完全崩壊を俺への成功報酬に。




────俺の大好きな名無しさん=B





─END─
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