異次元 | ナノ


異次元 
【略奪遊戯】
 




「じゃあ来て。さっきよりうんと気持ちいいことしてあげる」

名無しの下で横たわったまま、半兵衛が妖艶に微笑む。

下着も何もなくなった状態で、もう一度自分の上に跨れと男は言うのだ。

こんな姿で半兵衛の上に座ったら、敏感な部分に彼の肌が直接触れてしまう。

そればかりか、何もかもが彼に丸見えの状態になってしまう……。

そう思い、どうすればいいのかと戸惑う様子を見せる名無しの腰に、半兵衛の腕が伸びてくる。

自分の命令に逆らう事など決して許さないとでもいうように、半兵衛は先程と同じようにして名無しの身体を引き寄せた。

「あっ…あぁっ…だめ…!」

半兵衛は躊躇う事なく露わになった名無しの秘部に顔を寄せると、しどとに濡れた彼女の割れ目に沿って舌を上下に動かし始めた。

さっきまでしていた名無しの反応を確かめ、楽しむような愛撫の仕方とは違う。

名無しの欲望と快楽を一気に高め、彼女を性の虜にしようとするかのような遠慮のない行為。

「ああ…だめぇぇ…そこ…そんなにしちゃ……」

半兵衛の舌が、名無しの入り口を弄ぶようにそのラインに沿って丹念に舐め回す。

名無しの中からとめどなく溢れ出てくる体液が男の舌先に絡まり、ペチャペチャと淫らな音がする。

「は…あ…舐められるのは…や…ぁ…。なか…ひくひくして…熱、い…の…っ」

名無しは、彼女の中心から全てを溶かすような半兵衛の巧みな愛撫に身を委ねながら、その快楽になんとか抵抗しようとするかのように彼の髪に指を絡め、時折腰をピクピクッと震わせながら喘いでいた。

「まだだめ」

半兵衛は低い声で短く告げると、顔を動かして舌の角度を調節した。

今まで執拗に名無しの中心部を責めていた半兵衛の舌先が、今度は名無しの最も敏感な部分へと攻撃の矛先を変える。

「ああ───…っ!」

背中を反らすようにして、名無しがひときわ大きな声を上げて悶える。

柔らかくてヌルヌルッとしていて生暖かい男の舌の感触は、気持ちいいなんてレベルのものではなかった。

「あんっ…いいっ…奥熱くて…おかしいのぉ…」

名無しは、いつの間にか自ら両足を広げ、半兵衛の舌に肉芽を押し付けるようにして腰を揺らしていた。

ショーツ越しに舐められていた時の快感とは比べ物にならないくらい、直に触れる半兵衛の舌の愛撫は気持ちが良かった。

ただ舐められているだけなのに、ヌルリとした人の舌の感触がこんなにも気持ちいいものだなんて。

「じゃあ、もっとおかしくしてあげよっかなー?」

半兵衛はクスッと楽しげに笑うと、名無しの肉芽の部分に直接唇を当てて吸い付いた。

途中で放置され、欲求不満のように赤く充血していた突起を吸い上げるのと同時に、半兵衛は口腔内に含んだ突起に自分と彼女の体液を塗りたくるようにして舌でグリグリと舐め回す。

「あああ─────!」

快楽の強さに思わず仰け反り、涙を流す名無しの腰が震える。

サラサラと指通りのいい半兵衛の髪の毛を、名無しが指を絡めてきゅうっと掴む。

「いやぁぁ…とまらない…気持ちいいの…あっあっ……」

男の愛撫に合わせてビクビクッ、ビクビクッと勝手に前後する名無しの腰が、その行為によってさらに直接的な快感を高め、彼女を絶頂へと追い詰めていく。

「ああーん…だめ…やっ…イクのやだぁぁ……。あああ…気持ちいいの…だめぇぇっ……」

チュルチュルと音を立てて半兵衛が肉芽を吸ったり舐めたりを繰り返す動きが、名無しの快感の喘ぎに変換される。

「いく…いっちゃ…や、あ、あ……」

おかしくなりそうなのは下半身だけではない。

頭の中の脳までも、半兵衛によってドロドロに溶かされてしまいそうになる。

「いいよ、イッても」

半兵衛は、そう言ってからまた名無しの充血した肉突起にしゃぶりつく。

「そのかわりこのままでイッてね。思い切りエッチな声出して、俺の顔のすぐ前で一杯エッチな汁出しながらイクとこ見せて」
「やぁぁん…!はんべ、どの……、そんなぁぁ……」

名無しは、たまらずに半兵衛の名前を呼んだ。

感じやすい部分をこれでもかと責められ、卑猥な台詞で煽られ、名無しはもう腰砕けになりそうなくらいに感じてしまっていた。

頭の中が、半兵衛の事を考えるだけでフニャフニャに溶けていく。

半兵衛殿の顔の真上で、こんな密接距離で、何もかもが丸見えの状態で、一杯腰を揺らしながらエッチな喘ぎ声を上げてイクところを全部半兵衛殿に見られてしまうなんて。

(そんなの絶対にだめっ。あーん…恥ずかしいよぉ…!)

必死で唇を噛み締めて堪えようと試みても、そんなものは何の防御にもなりはしない。

「あ…あ…いく…イッちゃう……」

舌と唇を器用に連動させてコリコリと肉芽をこね回し、摘み上げる感触は、名無しの快楽が増加するにつれてどんどん強い刺激を生み出していく。

「あぁぁぁ───もう────っ」

名無しの全身が、ビクンビクンッと何度も激しく痙攣する。

男の口の愛撫だけで、名無しは絶頂に達してしまった。

「ふふ、もうイッちゃったの?可愛い〜」
「いやああ……。半兵衛、殿……っ」

イッてしまった。男の人の顔の上で。こんなにもいやらしい格好で、いやらしい声を上げて果てて。

あまりにもはしたない自らの姿に絶望し、その全てを半兵衛に余すところなく見られてしまっていた事が恥ずかしくて、名無しは震える手を半兵衛に伸ばして彼の視界を覆い隠そうとした。

しかし、上手く力が入らず目元ではなく男の口元に触れた名無しの指先がヌルリと濡れる。

「ああ…、名無しさんがすっごい濡れてたからねえ。おかげで俺の口もべとべとになっちゃった。いーよ、気にしてないから」
「そ、んな……。半兵衛殿…ご、ごめんなさい…っ」
「んー?だから、気にしなくていいって!それだけ感じまくってくれたって事でしょ?男冥利に尽きるじゃん。嬉しいよ」
「……あ……」
「それに、名無しさんもすごく可愛かったし。可愛すぎて当分夢に見るかもしれない。名無しさんに飢えて『名無しさん欠乏症』になっちゃうかも。もー、どうしてくれるの?」

口元を濡らしていた名無しの愛液を手の甲で拭い、それをペロッと舐め取りながら告げる半兵衛の言葉に、名無しの心臓がドキンと跳ねた。

情事の際は散々に名無しを弄び、からかい、追い詰め、煽り、意地悪ばかりしてくる半兵衛だが、それと同じくらいに名無しへの褒め言葉も織り交ぜてくれる。


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