異次元 | ナノ


異次元 
【略奪遊戯】
 




「そうかな?突っ込んで欲しくてたまらなくて、恥ずかしがりながら腰くねらせて悶える名無しさんの姿も可愛いよ。見てるとホントに押し倒したくなる」
「あぁぁ…やだぁぁ…そんな……っ」

直接的で卑猥な半兵衛の言葉に、名無しは自分でも止められないほどに感じてしまう。

今まで名無しが見て来た可愛げがあって爽やかで頼り甲斐がある先輩武将のイメージとは異なり、どこまでも意地悪で強引でエッチな半兵衛を見ていると、そんな所が男らしくて素敵だとすら思えてくる。

普段名無しの前では男性的な部分を抑えていた事もあり、情事の際にこんな風にしてガンガンに攻めてくる半兵衛に彼の『男の一面』を見せつけられたような気がして、名無しは半兵衛に煽られる毎に己の下腹部がジュンッと濡れていくのを感じていた。


「あ…ぁ…。半兵衛殿……熱、い……」


とろんっ。


蕩けきった瞳の色で、名無しがうわごとのように呟く。

男のテクニックでギリギリまで快楽を与えられ続けた名無しは、完全にいつもの彼女ではなくなっていた。

「なあに?名無しさん」

今の名無しの状態を手に取るように分かっていながら、何も知らない素振りで半兵衛が答える。

「ゃ…、熱い…です……中が……」

名無しは恥ずかしそうにそう言って、ギュウッと目を閉じた。

その途端、彼女の目尻からポロポロッと大粒の涙が溢れ出し、頬を伝って流れ落ちていく。

「熱いから…どうしたいの?俺、頭悪いから分かんない。俺にも分かるようにちゃんと言って?」
「あぁぁ……。ひど、い…意地悪ぅ……」

天才軍師の名を欲しいままにしている男のくせに、『頭が悪いから』なんて意地悪以外の何物でもない。

(ここまでくれば、もう大丈夫かな)

そう判断した半兵衛は名無しの両手を拘束していた手を離し、彼女の全身を自由にしてやった。

半兵衛の読み通り、名無しはもう、すっかり彼に反抗する気力を失っていた。

先程まで身を捩って彼から逃げだそうとしていたのに、今の名無しは自分の下半身を覆い隠すようにしてギューッと部屋着の裾を引っ張り、モジモジしながら男に目線で訴えかけている。

「言ってごらん。何?」
「中、が…熱いの……。奥の方から…とろっ、て……」
「へええ…、そうなんだ。名無しさんってエッチな子だね…」
「ぁ……、違う…の……。ちが……」
「違わないー。だって下着通り越して太股までぐしょぐしょに濡れてるじゃん。これのどこが、エッチじゃないって?」

半兵衛は、名無しの太股の内側に手を滑らせながらそう言った。

男の言葉通り、彼の手には下着に吸収しきれずに滲み出た愛液が、ツウッ…と太股まで垂れて男の手を濡らしている。

「ひっく…。ごめ、なさ……」

半兵衛の容赦ない追及に、名無しはそんな自分の姿が恥ずかしくて仕方なくて、このまま消えてなくなりたいと思った。

涙を浮かべて謝罪の言葉を述べる名無しの唇は、唾液で濡れて卑猥に光っている。

「どうしようかな?」

その色っぽい唇の色味に誘われるようにして、半兵衛は彼女の口の中に人差し指を突っ込んだ。

「ん…くっ…。は…ぁ……っ」

始め、硬く節ばった男の指が口腔内に侵入してきた事に驚いたように名無しはビクッと肩を跳ねさせた。

だが、半兵衛が何度もゆっくりと名無しの口の中で人差し指を前後させる度、名無しの顔がどんどんいやらしいものになっていく。

「んんっ…あ…、やぁ…ん……はん……べ……」

男の指を離したくないとでも言うように、愛おしそうにくわえる名無しの姿。

チュプチュプと濡れた音を立てながら男の指が赤い唇の中を出たり入ったりする様は男が思った以上に淫らな光景で、そんな彼女の姿を見ているだけで半兵衛は下半身に痺れるような感覚を抱いた。


(やばい…。バックから思い切り犯してやりたい…!)


メラメラッと、半兵衛の体内で欲情の炎が燃えさかっていく。

どうしてこんなことするの、そんなこと言うの。

ひどい、イジワル…と優しく責めるような目線で訴えながら、名無しの潤んだ瞳は同時に男を誘う。

心底恥ずかしくてたまらないというように、今にも泣き出しそうなくらいに両目一杯涙を溜めているその瞳の奥底で、あなたになら、なにをされてもいいの…≠ニ訴えているような名無しの痴態。

可愛い。

これはなんとも、弄び甲斐のある女ではないか。

やっぱり、簡単に許してしまうのは勿体ない。

ごめんなさい、半兵衛殿に抱いて貰えないと死んじゃう、あなたがいなきゃダメ…と彼女の方から涙を流して懇願してくるまで、自分のテクニックでじわりじわりとなぶり殺し状態にしてやりたい。

「…しょうがないね。名無しさん…」

本当はさっきの時点で切り上げて帰るつもりだったが、まあいいか。

当初の予定は少々狂ったものの、最後の一線さえこえなければまあ最悪焦らしプレイとしては成り立つだろう。

そう判断した半兵衛は名無しをあやすようにして彼女の背中を上下に撫でると、表面上は優しく聞こえる猫撫で声で名無しに次の指示を与える。

「さっきからベタベタしてて気持ち悪いでしょ。自分で下着、脱げる?」
「あ……っ」

名無しの唇から、ズルリと男の指が抜かれる。

男の命令の意味を悟り、リンゴのように顔を真っ赤にして震えていた名無しだが、やがて観念したのかか細い声で『はい』と告げた。

ノロノロと、緩慢な動作で名無しがゆっくりと自分の手でショーツを下ろし、素肌から取り去っていく。

「あ、完全に脱がなくていいよー。片方の足首に下着を引っかけたままにしておいて。その方がエッチで可愛いから」
「あああ……」

頬を赤く染めながら、名無しは半兵衛の意地悪で淫靡な命令にうっとりと聞き入っていた。

普段の時と情事の時で、こんなにも差があるものなのだろうか。

名無しを責めている時の半兵衛は、大人の男という言葉に相応しい落ち着きと余裕を兼ね備えていた。

若い男性の体力と勢いに任せたパワープレイとはまた一味違う、女性の性感をジワジワと高めていく様を心から楽しんでいるような大人のプレイだ。

「出来た?」

半兵衛の言葉に、名無しは赤面したままコクリと頷く。

男の命令通り、名無しの秘部を隠していた下着は取り払われたが、彼女の右足首に絡ませる形で申し訳程度に残されていた。


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