異次元 【略奪遊戯】 「いい子だから…このまま俺の上に来て。跨って…」 「あんっ…」 やんわりとあやすようにしてお尻を撫でた後、半兵衛は名無しのお尻を掴んで自分の方へと引き寄せた。 「あ…、だめ…こんな…」 焦りに染まった声で抵抗を続ける名無しの腰に手を滑らせ、半兵衛がグイッと引き下ろす。 「だめ…逃げないの。ほら、乗って…」 下着越しに、名無しの秘部に半兵衛の吐息がかかる。 名無しは、恥ずかしくて恥ずかしくてもう気を失ってしまいそうだった。 半兵衛の右手は、決して逃がさないとでもいうように名無しの腰をしっかりと捕まえている。 「あっ…ああっ…！」 ビクンッ！と大きく背中を反らし、名無しが上擦った声を上げる。 名無しの返事を待たず、男の舌が下着越しに名無しの秘部を舐めていた。 「ああ…だめえ…あああ……」 下着越しにぬめった物が上下に動いている感覚に、名無しはたまらなさそうに首を左右に振った。 半兵衛の愛撫に応えるように、ビクビクッと名無しの下半身が震える。 「いや…半兵衛殿…そんな…」 下着の上から割れ目をなぞるようにして半兵衛がペチャペチャ音を立てながら舐め続けると、名無しは泣き声にも似た声を出して男の上から逃げだそうとした。 そんな彼女の行動を許さず、逃げようとする腰を強引に引き寄せて、半兵衛は名無しの入り口に合わせてもっと深くググッと舌を押し込んだ。 「ああ────！」 名無しが、白いお尻をブルルッと震わせながら喘ぐ。 直接触れられている訳ではないというにも関わらず、半兵衛の舌の動きは信じられないくらいに気持ちが良かった。 むしろ、直に触って貰えない分、焦らされるようなもどかしい快楽が名無しの体内を駆け巡る。 いきなり最高潮の刺激を与えられるのではなく、トロ火でジリジリと炙られていくような感覚。 布を一枚隔てて舐め回されているだけの名無しの秘部からはトロトロに愛液が溢れ出していて、彼女の下着は男の唾液によるものか彼女の体液なのか判断の付かない液体でぐしょぐしょに湿っていた。 「あん…あああ…あっあっ…」 半兵衛が尖らせた舌先をぐっぐっ、と名無しの入り口にねじ込んでいくと、名無しはもう何も考えられなくなってしまった。 全身が痺れそうな程の快感だけが、名無しの身も心も支配していく。 「あ…ああ…半兵衛殿…だめ…ああーん…」 男の名を呼ぶ名無しの赤い唇は唾液で濡れ、ずっと開いたままだった。 男の情欲を掻き立てるような名無しの淫らで甘い喘ぎ声だけが、夜の寝室に響いている。 「もうすっかりベタベタだよ。下着から一杯溢れてきてる…。どんだけ期待してるの？君は」 下着に滲む彼女の体液を舐め取って、クッ、と笑いながら半兵衛が言う。 しゃべりながら擦りつけられた半兵衛の鼻が丁度名無しの肉芽に当たり、舌の愛撫に加えて敏感な部分への刺激を受けた名無しは今にも達してしまいそうなくらいに身悶えていた。 「ああーん…いやいやっ…」 膨らんだ突起の部分を布の上から唇に含み、時折カリ、と軽く歯を立てる。 すると名無しの下半身は、男のその行為を喜ぶようにしてビクビクッと大きく震えた。 「やぁ…あ…だめ…いっちゃう…！」 こんな事をずっと続けられていたら、本当にどうにかなっちゃうっ。 名無しの頭が真っ白になりかける寸前、それを狙い澄ましたかのように絶妙のタイミングで半兵衛が名無しの体を引き離し、彼女を責める行為を中断した。 「…や、ぁ…っ」 あと少しで達するという直前で突き放され、不完全燃焼のような状態に戸惑う名無しを、冷たく冴えた半兵衛の瞳が見上げる。 「そう言えば先に言ってなかったけど、俺、今日は最後までする気はないからそのつもりで」 「……っ！？」 「こんな風に乱暴しちゃったせめてものお詫びとして、この辺でやめておいてあげる。その方が名無しさんも嬉しいでしょ。ねっ？」 なんて残酷な台詞を、なんて冷たい笑顔で。 最後までしないという半兵衛の台詞は、理屈だけなら素直に嬉しい。このまま自分の体を解放してくれるというのなら、良かった、助かったと思える。 だがそれはあくまでも理性面だけの話で、身体の面において言うのであれば決してそうではない。 後少しでイキそうなくらいの所まで追い詰められて、こんな風に下半身がトロトロになるくらいに身体の中から溶かされて、それで『はい、ここまで』と突然切り上げられてしまうのは、彼女の肉体にとっては地獄だった。 （────ていうか、焦らして焦らして焦らし抜くのが好きだから。俺は） 名無しさんはこんな俺を酷い男扱いするかもしれないけど、先に俺の事を焦らしてきたのは君なんだからね。 二ヶ月の間散々ほったらかしにされたせめてもの腹いせに、どうかお願いします、抱いて下さいと、相手の方から媚びてくるまで延々放置プレイを決め込むよ。 「……あ……」 心と体は裏腹だ。 頭では『喜ばなくては』と思うのに、男の口技によって限界近くまで高められた身体はもっと強い刺激を欲しがり、我慢出来ない状態になっている。 名無し自身でも意識していない内に思わず悲しげな声が漏れ、切ない瞳で男を見つめてしまう程に彼の指や舌を求めている。 さらなる行為を、さらなる愛撫を求めている。 離れなきゃ。 今がチャンスだと思うのに、何故か下半身に力が入らない。半兵衛から、離れる事が出来ない。 「どうしたの。寸止めじゃ、もどかしい？」 そんな名無しの心の動きを全て見透かすようにして、半兵衛が楽しそうに笑う。 恥辱的な揶揄を込める半兵衛の声の奥底には、到底名無しに我慢など出来るはずがないという確信で満ちていた。 「……っ、そんな……」 恥ずかしそうに瞳を伏せ、ぶるぶると背中を震わせる名無しを冷酷な瞳で仰ぎ、半兵衛が満足げに唇を歪める。 [TOP] ×
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