異次元 【頂点捕食者】 真正面に大きな鏡を置かれ、その前で清正に後ろから抱きかかえられながら犯される。 左右に大きく足を割り、結合部が丸見えの状態で、名無しの秘部がクチュクチュといらやしい水音を立てながら美味しそうに清正の物を飲み込んでいる光景を無理矢理見せつけるのだ。 名無しが羞恥に染まった顔で涙を流しながら『いやっ』『見ちゃダメぇ』と清正の行動を責めても、清正はお構いなしに名無しの腰を掴んで上下させ、『もっと締めろ』『よく見えるぞ』と卑猥な言葉で弄ぶ事を楽しんでいる。 あまりにも恥ずかしすぎて、初めは嫌がる事しか出来なかった名無しだが、子宮の奥までガンガン突き上げてくるような清正の太く逞しい男根の猛々しさに魅了され、最後には自分から淫らに腰を振って喘いでいた。 そんな淫夢を何度も繰り返し見ている内に、いつしか名無しは別の妄想に取り憑かれるようになった。 それは、リアルの世界でも清正に犯されているという妄想だった。 否、正確に言えば彼と直に繋がっているという訳ではなく、彼の視線に犯されているという妄想。 それは、一種の視姦のようであった。 夢の中とは違い、現実世界の清正は名無しに手を伸ばしてこない。名無しの敏感な部分に直接触らない。 だが、その代わりに、時折ひどく意地悪な、酷薄な眼光で名無しを見てくる。 名無しの心の奥底まで覗き込もうとするかのような強い眼光で、清正の視線は名無しの全身をねっとりと嬲る。 彼女の身を包む衣服をもその熱い眼差しでドロドロに溶かして、その奥にある白い裸体を直に眺めるような淫靡な視線である。 でも、名無しの求めるような直接的な刺激は一切与えずに。 服の上から、その意味深な視線だけで、清正は何度も名無しを犯している。 (私って、最低……) そんな妄想まで思い描くようになってしまった浅ましい自分の姿に、名無しはただ呆れるばかり。 それでもまたあの夢の世界に入ったら、自分は清正を求め、あられもない嬌声を上げまくってしまうのだろうか。 (一体、この夢はいつ終わるの……?) ズキズキと、頭が痛む。 日課のように終わりを願うが、一向にそのような気配がない。 仕方なしに窓の方に視線を向けてみると、外はすっかり暗くなっていて、時刻はすでに夜に突入している事を物語っていた。 (もうこんな時間なんだ。仕事が全然終わらないよ) こんな状況がこれ以上長く続いたら、仕事にも影響が出てしまう。 ハァ…、と大きな溜息を漏らしながら名無しが手元の書類に再び視線を落とした途端、名無しの部屋と廊下を繋ぐ障子の戸が勢い良くガラッと開けられる。 「遅くにすまん。起きてるか?」 「…!清正っ…!?」 そこにいたのは、清正だった。 「届け物だ。入るぞ」 清正は静かに戸を閉めると、部屋の中に入ってきた。 見ると、清正は脇にいくつかの書簡を抱えていて、左近からこれを名無し殿に届けてきてくれ≠ニ頼まれて来たのだそうだ。 清正が自分の部屋を訪ねて来たのは、単なる仕事の用件に過ぎない。 それが分かっているはずなのに、夜中に夢の相手と二人っきりでいるという事実に、名無しの心臓の鼓動は自分でもコントロール出来ないくらい急激に跳ね上がる。 「そっか…。わざわざありがとう、清正」 「おう」 ドクン。ドクン。 「ああ、これってこの間言っていた農地開拓の図面だね。左近、ついに完成させたんだ…!」 「そうなのか。俺は中身については何も知らされていなかったからな」 ドクン。ドクン。 「最初、この話が出た時に相当時間がかかるんじゃないかって言われていたの。でも左近が名乗り出て、俺なら二ヶ月で完璧な計画と図面を仕上げてみせますって言ってたんだよね。丁度二ヶ月だよ。左近って本当に凄いなあ。憧れちゃう」 「まあな。左近の仕事ぶりの早さと正確さは俺も認めている。出来る男≠セよ、あいつは」 ドクン。ドクン。 何気ない会話を交わしているだけなのに。 清正がここにいると思うだけで。彼の顔を見るだけで、彼の声を聞くだけで、名無しは激しい動悸を覚える。 (やだ…、恥ずかしい) 清正に聞こえるはずがないと知っていても、こんなにドキドキしすぎていると、空気を通して清正の耳にも届いてしまうんじゃ…、なんて馬鹿な事を考えてしまう。 いくら仕事の話とはいえ、こんな夜更けに、密室で二人っきりで話をするなんて心臓に悪い。 清正、いつまでここにいるつもりなんだろう。変な顔しているのをこれ以上清正だけには見られたくないから、早く出て行って欲しいのに……。 「……名無し?どうした。具合でも悪いのか」 「ええっ!?」 つい俯いてしまった名無しを訝しむように、清正が名無しの顔を覗き込むようにして尋ねる。 切れ長の瞳で至近距離から見つめられ、ビックリしてしまった名無しは反射的に後退る。 「う、ううん…大丈夫!なんでもないよっ」 「そうか〜?お前、さっきから微妙に目線が下を向いたまんまだろ。顔もやたらと赤いし。熱でもあるんじゃないのか?」 3ヶ月前と同様、名無しの額に自らの額をコツンと当てて、清正が心配そうに言う。 互いの唇に吐息がかかるほどに、清正の顔が近くにある。 その事実を認めた名無しは一気に体温が急上昇し、清正の言う通り本気で熱があるんじゃないかと思うくらいに彼女の全身は発熱した。 清正のおでこが、自分のおでこに触れている。 キス出来そうなくらいの近い距離に、清正の端整な顔がある。 体が熱い。呼吸が苦しい。どうしよう!! 「ね……熱はないよ。大丈夫!」 咄嗟に反論してみたものの、声はすっかり上擦ってしまっているし、まともに話せない。 いやだ…恥ずかしい、私。どうしよう…。 こんなに真っ赤になってしどろもどろな口調になっていたら、変な事を考えているって、きっと清正に伝わっちゃう! 「でも、顔が真っ赤だぜ。お前の額、凄く熱いし…」 清正はそう言って一旦名無しから顔を離すと、代わりに彼女の額に手を添えて体温を測った後、もう一度確かめるようにして再度額をくっつける。 二度目の急接近に、名無しは思わず『ひゃっ』と喉の奥から変な声が出そうになった。 これはまずい。本当にやばい!! [TOP] ×
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