異次元 【頂点捕食者】 どうせここは夢の中なんだ。本物の名無しじゃない。 だったら、俺がここで名無しを抱こうが何をしようが、誰にも迷惑をかける訳でもないし、誰に文句を言われる謂われもない。何をやったっていいじゃないか。 現実で名無しを抱ける訳じゃない事くらい、分かっている。 だったらせめて夢の中でくらい、俺の好きなようにさせてくれ。 「…名無し。こっちへ来い」 「ひっく…。い、いや…清正ぁぁ…」 涙ながらの名無しの懇願も、清正には何一つ届かない。 涙で滲む名無しの視界に映るのは、これから食事をするのだ、と言わんばかりにペロリと舌舐めずりをする、どこまでも残酷で激しい情欲に塗れた清正の顔。 「……うおっ!!」 弾かれたように目が覚めた直後、清正の目に飛び込んできたのは見慣れた自室の天井だった。 うっかり寝過ごしてしまったかと思ったが、障子から差し込む日の光の淡さからまだ早朝だと悟った清正は内心ホッとしたものの、己の下腹部の違和感に気付いて視線を落とす。 「……まじかよ……」 夢精していた事を知り、己の精液で汚れた下着を見た清正は朝一番からげんなりした気持ちになった。 興奮していたせいなのか、それとも単に寝苦しかっただけなのかは知らないが、ただでさえ寝汗で全身ビッショリと濡れているだけでもかなりの不快感だというのに、パンツまでグショグショのこのダブル不快感。 その上、せっかく溜まっていた精液まで無駄打ちしてしまったという残念感。精子返せ!! 夢精後の後処理のウザさは異常、と思いながら、清正は着替えるために仕方なくノロノロと起き上がる。 (凄い夢だった) 昨夜自分が見ていた夢のいやらしさを思い出し、清正は今更ながらに恥ずかしくなって自らの口元を手で押さえた。 もう、いやらしいなんてもんじゃない。 今までずっと押さえてきた名無しへの下心と欲望が全力で爆発した状態になり、思い出すだけで自分でも『すげえ』と思うような夢。 15禁を超えて完全に本番有りの18禁、それをさらに超えて成人指定のような内容で、嫌がる名無しにピ───をピ───して恥ずかしがる名無しのピ───を余計にピ───してやってからピ───をぶちかましてやったというような、とても具体的な内容は他人様には言えないくらいに卑猥な淫夢だった。 『あ…んんっ…清正ぁ…んくっ…』 『さぼるな名無し。もっと奥までくわえろって』 『や…んうっ…は…ぁ……』 『可愛い…名無し…。口の中に出してやるから零さずに全部飲めよ』 『や…ぁ…。だめ…溢れちゃ……っ』 『ダメだ。散々俺の事焦らしてくれたんだからな。えずいても許さないぜ。いいから……ちゃんと全部飲み干せ』 ドクドクッ……。 『ああああん…本当にもう…いやぁぁ…清正…許して……』 『もっと尻突き出せって。指で大きく広げて、中を見せろ。内臓まで見えるくらいに大きくな』 『ああーんっ…そんなぁ…恥ずかしいよぉぉ…やぁ…見ちゃだめぇぇ…』 グチュグチュッ……。 『あっあっ…やだぁぁ…そんな奥まで…中がごりごりして…こすれ…』 『もっと大きく足を開いて自分で押さえてろ。ほら…目を離さずによく見てろ』 『ああん…いやいやっ…清正のが一杯入って来て…中がぐちゃぐちゃして…死んじゃう……』 ジュボジュボジュボ……。 『いや、も…だ…め…っ。中が熱くて…やぁぁ…出ちゃう…何か出ちゃう…!』 『何が出るんだ?名無し。言えよ。聞いててやるから』 『やああん…清正のえっちぃ…出るの…や…イッちゃう…ああ、いや、あ……ああああっ!』 ビクビクッ……!! (絶対人には言えん) 己の願望と妄想120%発表会だった事を思い出し、誰にも見られていないのをこれ幸いとばかり、清正は一人で耳までカーッと赤くなる。 夢の中、名無しは清正の逞しい体の下で彼が思うがままに狂態を演じ、まるで娼婦のように淫らな姿を見せつけていた。 鼻にかかったような甘ったるい声で何度も『清正』と男の名前を呼び、ポロポロと涙を流しながら『イッちゃうっ』と訴えていた可愛い名無しの喘ぎ声。 普段執務に励んでいる名無しからは想像出来ないであろう破廉恥な痴態と、現実の世界では到底聞かせて貰う事が出来ないだろうと思えるエッチな台詞の数々が、清正の頭から離れない。 清正の愛撫でぬるぬると潤い、ギンギンに充実した男の肉棒で何度も激しく貫かれてトロトロに蕩けきった名無しの肉壺が、未だに清正の物をギュウギュウに締め付けているかのような不思議な感覚が清正の下半身には残っている。 夢だというにはあまりにもリアリティーがありすぎて変に生々しかった今朝の夢だが、こうして自室で目覚めた所をみるとやはりただの夢だったという訳か。 分かってはいたが、残念だ。 それにしてもな……。 (俺って結構、好きな女に意地悪して泣かせるのが好きなのかも) あの夜、三成が名無しを泣かせている姿を目撃した際、なんて酷い事をしやがるんだ、俺ならあんな風に名無しを泣かせたりなんかしない、もっと優しく抱いてやれると清正は素で思っていた。 だが、いざ蓋を開けてみれば、夢の中で自分は三成と全く同じ事をしてしまっていた。 名無しにわざと意地悪をして、いやらしい台詞を吐いて、名無しが恥ずかしさで泣きながらよがっている姿を見てどうしようもない満足感と充実感を味わっていた。 まさか夢のおかげで自分の隠された性癖に気付かされてしまったとは。なんという事だ! (というか、あれは全面的に名無しが悪い) そう。だって名無しが悪いのだ。 夢の中の名無しが、あんなにエロかったから。恥ずかしくてたまらないというような顔をするから。男心をくすぐりまくるような、可愛い台詞や仕草を連発しまくるから。 総合評価:俺は悪くない! (そもそも、所詮は夢だしな) 最終的には夢だから何をしても万事OKと勝手に結論付けて、清正はあっさりと開き直る。 清正は手早く着替えの準備をすると、身も心も一旦リセットする為に浴場へと向かって行った。 温かい湯で綺麗さっぱり体を洗い流し、リフレッシュした清正は普段の仕事着を身に纏って長い廊下を歩いていた。 (今日はまず秀吉様の所に行ってご報告して、次に左近に会って書類を貰って、昼からは軍議に参加して…色々予定があるな) 清正が一日の予定を思い起こしながら足を進めていると、丁度曲がり角に差し掛かった辺りで、向こう側から曲がってきた誰かにぶつかった。 [TOP] ×
|