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【Hunter】
 




「じゃあ、やっぱりアンタで合ってるっての」

ちゅっ。

俺の口に当てられた指をアンタの唇に見立て、俺は自分から唇を押し付けてキスをする時のように音を立てて吸い上げる。

その瞬間、アンタはビクッと肩を跳ねさせて、慌てて手を引っ込めようとした。

そんなアンタの動きを見逃さず、俺はすかさず腕を伸ばしてその手をつかみ取り、アンタの指を俺の唇に当てたままで固定する。


「ねえ、名無し。俺アンタのこと好きだ。嘘じゃない、本気だよ。だから……俺のカノジョになって?」


俺は見る。


アンタの身も心も全部俺のモノにしたくて、その全てを俺だけで満たしたくて。

息をするのも忘れるくらいにじっとアンタを見続けている内に、段々アンタの表情が変わってくるのを見るのが好きだ。

視線と視線をぶつけるような勢いでアンタに勝負を挑み、口説き、手応えを感じられる瞬間が好きだ。

最初は俺の言葉をいつも通りにさらりと受け流し、ふふっと軽く笑いながら答えていたアンタの態度に少しずつ変化が訪れる。

俺の言葉に惑わされるもんか、とばかりに真っ向から俺を見返していたアンタの瞳が困ったように揺れ、頬がバラ色に染まり、艶めいた唇が震え、掴んだ手から伝わるアンタの体温が急激に上昇していく流れを経た後。


もはや耐えきれないとばかりにアンタが俺からスッと目を反らした瞬間、俺は勝利の余韻に酔い痴れる。


俺がアンタを赤面させた。アンタを動揺させた。アンタの心を動かした。


そんな事が出来るのはこの凌公績だけだって、凄く嬉しい気持ちになれるから。


「……なーんてね」
「!」
「アンタって本当に可愛いよなあ。俺の言うこと、すぐ真に受けるんだもの。そんな風にすぐに人の言うことを信じてると、今に悪い男に騙されちゃうぜ?」


プッと吹き出すようにして笑いながらアンタに言う俺を、信じられない物を見るような目付きでアンタが見上げる。

『騙された』と言わんばかりにわなわなと震え、より一層カーッと赤くなっていくアンタの顔。

今にも泣き出しそうな顔をして、口をぱくぱくさせながら俺を見つめるアンタの顔が可愛くて仕方なくて、このままどこかにさらいたくなる衝動を必死で抑えながら普段の軽いノリで俺は言う。

「あ。それともまさか、本気にしちゃった?ごめんごめん。冗談のつもりだったんだけど、アンタがその気になってくれたなら俺のカノジョになってみる?」
「なりませんっ。凌統みたいに不誠実な女タラシの男の人の彼女になんて、絶対になりません!」
「はははっ。名無し、すげー顔が真っ赤。そういう怒った顔も可愛いっての」
「……!ひどい……」
「アンタが悪い。そんなに可愛い顔と態度で男を誘惑するんだから。俺以外の男にも平気で愛想振りまくから、お仕置きでーす」
「またそんなこと言ってはぐらかして…。もうっ…、凌統ったら!」


なあ名無し。俺、アンタが俺から目を反らす瞬間が本当に好きだ。

好きな子にわざと意地悪をして泣かせるのが楽しい、っていうのはこんな気持ちのことを言うんだろうな。

アンタが俺のせいで困って、俺のせいで悩んで、俺のせいで泣きそうになっている姿を見る度に、俺は嬉しくて仕方ない。

もう我慢が出来ない、凌統なんてもう知らない!と言いたそうにしてアンタが俯き、恥ずかしそうな表情を浮かべて俺から視線を外したその瞬間。

俺はさらにアンタを恥ずかしがらせるためにアンタのことをぎゅっと抱き締めながら、アンタが俺だけのことを考えてくれるように、もっと意地悪な囁きを降らせたくなるんだ。




─END─
↓後書き




凌統愛だけで書いた代物です。凌統の夢を書くのは随分久し振りだったので緊張しました。

最初は1Pの単発SSとして掲載する予定だったのですが、文字数が非常に微妙な感じでして、1Pにしてみたら案外スクロールが長くなってしまったので表示出来ない機種の方もいらっしゃるかな…と思って分割してみました。

今の携帯、どの辺りまで表示出来るのでしょう。1P辺り8千〜1万文字とかでも大丈夫でしょうか。やっぱり分けた方が無難なのかな?

凌統と夢主は普段からこんな感じで攻防戦を繰り広げているといいなと思います。夢主の反応を見て楽しむ凌統と戸惑う夢主。両片思いはお約束です。

無双キャラの中でも、凌統は特別な存在だと思います。(色気的な意味で)エロなしでもエロい凌統を目指してみたつもりなのですが…。うーん。

相変わらずの拙い文章ですが、エロ格好いい凌統みたいなものが少しでも書けていたら嬉しいです。読んで下さった方、ありがとうございました!


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