※座薬ネタです下品です
苦しまないで
本日のプレデターの練習、キャプテンである太田翔は来ていなかった。
聞けば、風邪をひいて熱を出してしまったらしく、学校の方も欠席だったようで。
同じクラスであるエリカが心配やなあと眉根をよせて呟いていた。
心配なのはエリカだけでない、桃山プレデター全員がキャプテンである翔の身を案じていた。
やはりあの大きな声がグラウンドに響いていないと普段の練習をこなしているはずなのに、どこか静かで物足りない感じがする。
皆の思いはひとつだった。
「翔くんちにお見舞い行こ!」
「でも、この人数で行ったら迷惑じゃないですか?ここは代表してぼくが…」
「させるか」
「竜持に行かせたら治るもんも治らねえよ」
「凰壮クンには言われたくありませんけど…仕方ないですねえ、ここは公平にジャンケンでもします?」
「イカサマはなしだぜ」
翔の見舞い権争奪戦という名の、仁義なきジャンケン大会の火蓋が切って落とされた。
☆
降矢凰壮は一人、住宅街の一角を歩いていた。
普段ともに行動しているきょうだいたちはおらず、彼らは強制的に家に帰還することとなった。
凰壮は争奪戦に勝ったのだ。
練習後、きょうだい達をはじめとした桃山プレデター全員の恨めしげな顔を背に、凰壮は堂々と誇らしげにグラウンドを後にした。
(あーあ、おれ今年中の運全部使い果たしちまったかも)
事実、我が家に帰れば、怖い顔をしたきょうだい達の詰問責めが待ち受けている。
やれ『家に帰った後は覚えておいてくださいね』だの『もし翔に変なことしたら腹シュートをお見舞いしてやる』だの物騒な言葉を投げつけられてきたのだ。
凰壮は少し背筋が冷たくなったのを感じた。
しかし、凰壮にとって我らがキャプテン、翔の身体の具合のほうが何よりも大事なのだ。
(あいつ…大丈夫かな)
凰壮は顔をしかめて翔の身を案じた。
翔がいなくて一番不調だったのは自分であると凰壮は自覚している。
器用な気質の凰壮は、特にプレイに精彩を欠いてしまうわけではないのだが、
翔の小さい身体から発せられる大声、的確なコーチングがないとやはり締まらないというか物足りない感じがした。
彼の声があるからこそ安心して伸び伸びとプレイに集中が出来るのだと凰壮は思っている。
翔の声が凰壮のやる気に直結しているのだ。
だからこそ翔には早く元気になってピッチに戻ってきてほしい。
翔無しでは桃山プレデターの、凰壮のサッカーは成り立たない。
それほどにまで翔の存在は凰壮の中で大きく育っていた。
その想いがサッカーに止まらなくなってきたのが最近の彼の悩みではあるが。
(兎に角、早く様子見にいってやるか…)
凰壮の歩みが自然と早足になっていく。
途中でコンビニにも寄りつつ凰壮は太田家を目指していそいそと小走りしていった。
☆
ピンポーン
凰壮は太田家に到着して直ぐ、店の入口の前のインターホンを鳴らす。
開店前の今の時間は扉に施錠されており客のように店には入れない。
しばらくすると奥からぱたぱたと此方に向かってくる音がした。
仕込み中の翔の母だろう。
ガララと扉が開き予想通り、翔の母が慌てたような調子で出てきた。
「すみません!まだ準備中で…まあ!凰壮君じゃない。どうしたの!?」
「えっと…翔の見舞いに来ました」
「練習帰り?他の子たちはどうしたの?」
「全員で行ったら迷惑だと思って…今日はおれだけ…。あの、翔は大丈夫なんですか」
神妙な顔で聞く凰壮に翔の母は店の奥の方に視線を配り、苦笑を浮かべた。
「…ええ、今は大人しく寝てるわ。元気が取り柄の子だから…翔が寝込むだなんて本当珍しいことだわね」
「…」
普段はうるさいほどに元気な翔だけに母親も困惑しているようだ。
心配そうな翔の母の顔に凰壮は何も言えなくなる。
「せっかく来たんだから上がって行って!今お茶請け用意するわ」
「いや、おれのことはお構い無く…。少し様子見たらすぐ帰りますんで」
自分にたいして世話を焼こうとする翔の母に、凰壮は丁重にお断りした。
本当は翔につきっきりで看病したいはずなのに、店の仕事をこなさなければならない彼女に自分のことまで気遣わせるのは酷だと思ったからだ。
凰壮の思いやりを汲み取ったのか翔の母は
「…気つかってもらっちゃってごめんなさいねー。おばちゃんお店の仕込みやらなくちゃいけなくて…」
「気にしないでください…お邪魔します」
「どうぞ。来てくれてありがとうね、凰壮君」
翔のことお願いね。
翔の母に言外にそう言われた気がした。
☆
凰壮は翔の母に小さく会釈をして店の奥に入っていった。
階段を登って二階の住居スペースにある翔の部屋を目指す。
翔の部屋の扉の前に差し掛かると、凰壮は小さくノックして扉ごしに声をかけた。
「翔、凰壮だ。入るぞ」
勿論返事はない。
翔の母から寝ていると聞いていたが、凰壮は急に不安がよぎり性急に扉を開けた。
ガチャ
ドアを開けて最初に確認したのはベッド上にある人の膨らみだ。
当然病床に臥している部屋の住人である翔がいるわけだがどうも様子がおかしい
「!翔…!!」
凰壮は急いで翔のベッドに駆け寄った。
翔は真っ赤な顔で苦しそうに呼吸をしていた。
魘されているのか眉を歪ませ、はあはあと喘ぐ翔にどきっとしながらも、
凰壮は黙ってみているわけにもいかず、頬を軽く叩いて翔に呼び掛けた。
「翔!?おい、大丈夫か!!翔!」
触れた頬の熱に驚きつつも凰壮何度も何度も彼の名前を呼び頬に触れ続けた。
そうしているうちに、苦しげにきつく閉じられた翔の瞼は薄くひらいていく
「………?え、おう、ぞ…く…ん?」
緑の潤んだ瞳が凰壮をぼんやりと映した。
熱に魘された翔が覚醒したのだ。
凰壮は翔の頭の高さと同じになるようにその場に座り翔の顔を覗きこみながら話しかけた。
「ああ、おれだ、わかるか…?」
「う…ん…でも、どうして…ここに」
「おまえが風邪引いて熱出してるって聞いたから心配になってよ…大丈夫…じゃなさそうだな」
「えへへ…ちょっと辛いかも」
はぁはぁと荒い息を吐きながら力なく笑う翔が痛々しくて凰壮は顔を歪ませる。
凰壮は翔の広めの額に手を延ばした。
熱によって吹き出した汗がしっとりと凰壮の掌を湿らせる。それよりも凰壮は翔の額の熱さに驚きを隠せなかった。
「あつっ…すげえ熱だな…何度だった?」
「寝るまえはかったら38度くらい…」
「それなら今はもっと上がってるかもな…体温計どこ?飯とかちゃんと食ってんの?薬は?」
「はぁ…気持ち悪くてそんなに食べられてない…薬も吐いちゃうから…」
翔の指したさきにあったベッドサイドテーブルの上にあった体温計を掴んで翔に渡しながら、凰壮は気が気じゃなかった。
つまり翔は必要な療養ができていないということだ。症状に吐き気を伴ってしまえば満足に食事も内服もできない。
必要な栄養分がなければ治るものも治らないし、解熱しなければずっと発熱が続いてつらくなってしまう。
「水分はちゃんととってるか。おれポカリ買ってきたんだけど、飲める?」
発熱と発汗によって身体中の水分が失われ脱水症状をおこしてしまうかもしれない。
せめて水分補給はさせないと、と思い凰壮は途中で寄ったコンビニの袋をガサガサと漁り中から500mlのペットボトルを取り出した。
必要な水分と電解質がとれるこの飲み物は病人にはうってつけだと思って買った甲斐があったというものだ。
しかし、翔はいやいやと首を少し振って凰壮に拒絶の意を表した。
「気持ち悪くて…吐きそうだから飲みたくない」
「おまえなぁ…」
頑なに水分の経口摂取を拒む翔に凰壮は途方にくれてしまう。
ピピピッ!
そうこうしてるうちに翔の腋に挟んであった電子体温計が鳴り響く。
凰壮は体温計を取りだし翔の体温を確認する。
「8度3分か…さっきよりたけえな…」
「ううっ…気持ち悪い」
「吐きそうか?」
「ううん…はぁ…もう胃からっぽだし…でも吐き気がすごいんだ…うぅ」
「くそっ、どうすりゃいいんだよ!」
発熱に、嘔吐感に苦しむ翔に何もしてやれない。
凰壮は己の無力感に男泣きしたくなった。
「あっ…!」
突如吐き気に唸っていた翔が短い
「どうした!」
「きょう病院いって…吐き気ひどいときに…はあ…つかう薬、貰ったんだった」
「本当か!?…どこだ!」
「それ…」
翔はベッドサイドテーブルに置いてあるビニール袋を示す。
「これか…!」
それに気づいた凰壮は袋を鷲掴み中を調べる。中にはいくつかの薬袋が入っており、おそらく翔が本日病院で処方された薬の数々だった。
「吐き気止めは…」
「一番入ってないやつだとおもう…酷いときだけっていわれたし」
息も絶え絶えな翔にそう言われ、凰壮は薬袋の中で一番内容量の少ないものを取り出した。
中には内服だとおぼしき白い錠剤が2、3粒入っていた。
先端がロケット状になっているのは少し引っ掛かったが、風邪薬といったら内服以外頭になかった凰壮は、薬の形状に関しては触れなかった。
それよりも吐き気の強い翔が薬を服用できるかが凰壮には気がかりだった。
「でもよ、翔…おまえ薬飲めるの?さっき薬吐いたっていってたろ。
飲んだらまた吐いちまったら意味ねえ「ううん…おうぞうくん、ち、ちがうの」ぞ…」
「は?違うって何が…」
「それ飲むやつじゃないの…えっと…」
「?なんだよ、言わねえとわかんねえよ」
訝しげな顔で翔に問いただす凰壮に翔は発熱した頬をより紅潮させながらぼそりと呟いた。
「そのぉー……おしりにいれるやつ」
翔の突飛な言葉に凰壮の頭はまっしろになった。
内服だと思い込んでいたこの薬は実はとんでもない使用方法だったのだ。
「尻って…座薬かよ」
凰壮は気が遠くなりつつも薬袋を確認してみた。そこにはでかでかと『外用薬』、そのとなりに『座薬』とご丁寧に書いてあった。
座薬とは尻、すなわち肛門から直接挿入するタイプの薬剤で、直腸から吸収することで
肝臓の解毒作用を受けず効果的に作用するという類いのものである。
吐き気止めの座薬は特に、吐き気で経口摂取が難しい場合に適している投薬だということだ。
そんな講釈はどうでもいい、本当に大事なのはこの座薬をどうするかということだ。
凰壮がロケット状のそれとにらめっこをしていると、翔がうつむきながらもじもじとたどたどしく話しかけてきた。
「お、おうぞうくん…へんなことおねがいしてい、い?」
翔は凰壮の服の端をつかみながら上目遣いで懇願した。
「な、なんだよ」
翔は無自覚でやっているだろうが、どんなお願いでも絶対に断る気が削がれてしまう魅惑のおねだり攻撃に凰壮はうっとたじろいだ。
翔のお願いを大体予想できてしまっただけに凰壮は困惑し、焦っていた。
「座薬…いれてもらえないかな?ハァ……ぼくひとりでこれいれられないんだ…」
やっぱり
凰壮はため息をついた。
凰壮のため息に勘違いした翔がしゅんと首を項垂れる。
「はあ…やっぱきもちわるいしいやだよ、ね…ごめんね、へんなことたの「わかった」…え?」
翔の謝罪を押切り、凰壮は諾の意を表した。
翔の肩に手を置き、彼のエメラルドグリーンの瞳を真剣な顔で見つめながら、はっきりと思いを伝えた。
「わかった、やってみる。おまえが辛そうにしてるのこれ以上見たくねえし…恥ずかしいかもしんねえけど我慢しろよ」
「う、うん…ありがと…おうぞうくん」
熱に冒されながらも柔かい表情を浮かべる翔を見つめながら凰壮は複雑な心境だった。
翔に座薬をいれる行為。
凰壮はそれが嫌じゃないし、気持ち悪いとも思わない。
そこが問題なのだ。
普通は何が楽しくて同級生の男の尻に座薬をいれにゃならんのだ、汚いし嫌だと思うところのはずなのに、翔に対してはそういった嫌悪感が全く沸かないのだ。
(やべーよな…これって)
むしろ翔なら全然OK !…と考えてしまうあたり自分の将来が心配になってしまう凰壮であった。
☆
「辛いかもしんねえけど、ズボン下ろしてこっちに尻向けてくれる?」
「う、うん」
座薬をもって翔のベッドの上に膝立ちになった凰壮は翔にを気遣いながらもとんでもない指示を出した。
凰壮の指示に翔はこくりと頷き、パジャマ用のスウェットパンツを下着ごと下ろして、凰壮に尻を向け四つん這いになった。
真っ白な翔の桃尻が凰壮の目の前に思いっきり晒される。
小振りな翔の尻はつるんと肌理細やかであり、凰壮はこれが自分と同年代の男の尻と思えなかった。
「はぁ…こ、こう…?」
(マジかよ…なんだよこれ…エロすぎんだけど…)
下半身を露出させ、四つん這いになって尻を向けた翔が潤んだ瞳で此方を
おずおずと窺ってくる光景を、凰壮は意識がぶっとびそうな心地で眺めていた。
羞恥に頬を染め、身体をふるふると震えさせる翔は
ずっと見ていてもいいくらい魅力的なのだが、肝心の座薬の入口が確認できない。
緊張で尻を引き締めてしまっているというのもあるが、尻の位置が凰壮の目線と比べて低すぎる。
凰壮は歯切れの悪そうな口調で言った。
「わりぃ、翔。その…よく見えねえ…えっと、もう少し尻あげられねえ…?」
「ううぅっ…こう?」
「あ、ああ…そんな感じ」
翔が上体を低くし、尻を高くあげる。
凰壮がより尻を観察しやすい格好。
翔の霰もない姿に、滑稽にも指示を出した凰壮のほうが狼狽えてしまっていた。
翔のアナルはきれいなピンク色をしており、細やかなひだがいくつもついているそこは敏感なのか、外気に少し触れただけでもひくひくと細かく反応していた。
(翔の『ココ』に、『コレ』をいれるんだな…)
翔のアナルと手に摘まんだ座薬を交互に見つめながら、凰壮はゴクリと生唾を飲み込んだ。
二、三回深呼吸をした凰壮。深呼吸をした方がいいのはこれから座薬を入れられる側の翔であろうが、翔以上に凰壮のほうが緊張し昂っていたのだ。
深呼吸が終わり凰壮は神妙な顔をしながら翔の耳元で囁いた。
「いれるぞ…力抜いてろよ」
「う、うん…はやくしてね?」
翔の誤解を生みそうな台詞に凰壮カッと頭に血が上っていくような気がした
(落ち着け…!おれ!翔はそういう意味で言ったわけじゃねえんだ!落ち着け〜…落ち着け〜…)
おそらく今の体勢が体力的に辛いので早く終らせてくれという意味で言ったものだと思われるが、
二次性徴が早く進みつつある凰壮にとって色々考える余地のありすぎる言葉だった。
ただでさえ翔の下半身と向き合っているこの状況で何も考えるなという方が酷であると凰壮は主張したかった。
気分を落ち着かせる為に凰壮は、また何度か深呼吸をした後、翔のアナル目掛けて座薬の先端をめりこませた
「んぅっ…」
片手で尻をひろげながら、アナルを観察してみるとロケット状の先端部がめりめりとすぼみを押し拡げて入っていくのがわかる。
「うっ…ううっ」
異物が侵入してきた違和感に、翔はくぐもった呻き声をあげて不快感をやりすごそうとした。
凰壮は座薬を最後まで押し込み、すべてがアナルに入り込んだのを確認し、手を除けた。
「よし入った!………あれ?」
つるんっ
なんと、入れたはずの座薬が肛門から排出されてしまったのだ。
まだ直腸で溶けきっておらず、少し力んだ拍子に出てきてしまったのだろう。
まだ綺麗な形のままの座薬がシーツ上に転がってしまったのを凰壮は躊躇なく拾い上げ、すまなそうにこう言った。
「わりい、翔…薬出てきちまった…もっかいやってもいいか?」
「はっ入るまでおねがいします……!」
翔は可哀想なくらい真っ赤な顔になって頭を下げた。
翔とて風邪で体力が著しく消耗している最中、同級生に家族でも滅多に見せない恥ずかしい部分を
まじまじと観察されてしまって恥ずかしいだろうに、ぷるぷると尻を高く掲げたポーズをとりつづけているのだ。
そんな翔が不憫で仕方なくなって、凰壮は早く終らせてやりたいと本気で思った。
凰壮は効果的に座薬をいれる為に肛門にある程度の湿潤が必要だと考えた
(滑りが悪いから入りにくいんだよな。なんかドロっとしたやつねえかな…?……あ)
凰壮の目に留まったのは、先程コンビニで買ってきたものの入ったビニール袋だった。
凰壮が買ってきたものはポカリだけではなかったのだ。
凰壮は翔に少し待つように声をかけてからビニール袋をひっつかみガサゴソと中を物色する。
取り出したのは某ゼリー状の簡易栄養食品だった。
チューブ状の容器にはいったそれは、冷たいし吸うことで楽に食すことができるので、
発熱した病人には食べやすいだろうと思って買ってきたものだったが
、まさかこんな用途に使うとは買った張本人は当然露ほどにも思っていなかった。
「ちょっとひんやりするけど我慢しろよ」
チューブを押して人差し指にゼリーを少量取りだした凰壮は、それを翔の菊座の表面に薄く塗り込む。
「ひゃぁっ!!つめたっ…!」
冷えたゼリーの感触に翔は短く叫んだ。
表面だけでなくゼリーの付着した指を凰壮はひだの奥まで塗り込もうとした。
指をアナルの入口に突き立てたのだ。
翔のそこに指を入れてしまうのは多少抵抗があったが、嫌ではなかったし、謎の興奮が凰壮の中で育っていた。
ぬぷんと指をくわえこんだアナルの締め付けに混乱してしまい、抜くどころか反対により深く挿入してしまった。
「ん、あ…ちょ、ちょっといたいよ…凰壮くん…」
「あ、わり…」
突如直腸壁を掠める指の圧迫感に翔が顔をしかめると、凰壮は慌てて指をひきぬいた。
「んあぁっ…!もっと優しくしてよぉ!」
「す……すまねえ」
(だから!!!そういうきわどい言い方やめろって!!!)
凰壮は段々いたたまれない気持ちになっていた。
自分に無防備に尻を晒す翔に興奮しているだなんて。翔に座薬をいれることに高揚感を覚えるだなんて。
自分が何だかものすごい変態になったような気分だ。
とにかく早く終わらせなければ。
このままでは新しい自分に目覚めそうな気がして…。
凰壮は翔に気取られぬように身震いをした。
「今度は失敗しねえから…力むんじゃねーぞ」
ゼリーを座薬のほうにもつけた後、凰壮は再度翔の菊座に座薬を滑り込ませた。
ゼリーの潤滑も手伝ってか今度はすんなりと直腸内に入っていった。
「う、うぅ・・・」
辛そうにくぐもった声をあげる翔。だが、ここで手を抜いてしまえば先ほどの二の舞になってしまう。
凰壮は心を鬼にして、己の指を直腸内に侵入させた。
「ひぁ・・っうあ・・・!」
座薬の異物感とは違う人肌の熱量に翔は短い悲鳴をで不快感を訴えた。
それでも凰壮は指を抜かない。また座薬が外に押し出されるのを防ぐためだ。
薬が直腸内に溶けて沈着するまで少し時間がかかる。押し戻されない状態になるまでは、抜かない。
このとき、凰壮は指を他人の肛門内につっこんで、汚いとかそういうことは何も考えなかった。
いや考えられなかった。苦しむ翔を何とか助けたいと必死だった。
しかし、この騒がしすぎる心臓音はなんなのだろうか、いくら必死だからといってこの異常な高揚感は説明できない。
更にどうしようもないと思うのは、反応して下穿きを押し上げてくる自分自身だ。
翔が病気で大変なのに、彼の尻に指を突っ込んで股間を膨らませている自分のなんと不謹慎なことか。
(おれって・・・ホモだったのかな)
凰壮は己を心中あざ笑いつつ、今後の翔に対しての身の振り方について途方にくれていた。
☆
結局凰壮は翔が落ち着くまで太田家にとどまった。
翔が健やかな寝息をたてるのを確認してようやっと帰路についたのだ。
半勃ちになった自分自身にどう言い訳をしていいかわからず、前屈みに股間を庇いながら凰壮はほうほうのていで太田家を後にしてきたのだった。
「遅かったですねえ、凰壮クン。尋問される準備はできてますか?」
「腹シュートの覚悟もな」
玄関を開けてすぐお出迎えしてくれたのは強制帰宅させられたきょうだい達だった。
ご丁寧に凰壮を入待ちしていてくれたらしい。それはもう機嫌の悪そうな顔で。
同じ顔が凰壮を睨み付ける最中、凰壮は無言で立ち尽くすばかりだ。
「…何か変なものでも道端で拾い食いしたんですかね?」
「いつも以上に変だ…」
呆けたように突っ立っているだけの凰壮。
その様子を訝しげに見ていた竜持が虎太に耳打ちをした。
凰壮の様子に虎太も異変を感じたのか相槌を打って同意を表した。
首を傾げつつ、竜持は様子のおかしい凰壮に警戒しながら近づいていく
「…どうしたんですか凰壮ク…「うわあああ!!!竜持!!おれを殴ってくれええ!!!」
凰壮に状態を訪ねようとした矢先竜持は凰壮に思いっきり両肩をガシッと掴まれ叫ばれた。
翔顔負けの声のでかさと内容に竜持は整った顔を思いっきり歪ませる。
「ちょ、凰壮クン!?」
「お、おれは…!おれはホモじゃねえ!ホモじゃ…ホモじゃねえんだよ!!なあ!おれはホモじゃないよな!?なあ!!」
錯乱状態の凰壮は竜持の肩を勢いよく揺さぶりながらホモじゃないホモじゃないと連呼し始めた。
その表情は迫真で、憑き物がついたような目付きで揺すってくるのがきょうだいながら恐ろしかった。
激しく揺らされるせいで頭がぐわんぐわんするのに耐えながら、竜持は何とか言葉を返した。
「ちょ、揺さぶらないでくださいよっ…!翔クンの家で一体何があったんですか!!」
「翔…!?翔……………!」
翔の名前を出したとたん、凰壮の揺さぶる手が止まった。
そして、凰壮のひとり百面相が始まった。
一体何を思い出しているのやら青くなったり赤くなったりする凰壮を見ながら竜持はただただ気味悪がり、
虎太はその様子が壊れた信号機のようだとぼんやり思った。
しばらく壊れた信号機状態が続いた凰壮だが、すぐに変化は起きた。
バターン!
凰壮は真っ赤になったまま倒れた。
様々なことを一度に考えすぎて脳味噌がパンクしたのかはたまた翔から風邪を貰ってきてしまったのか。
玄関で突如ぶっ倒れる三男にきょうだい達は驚きを隠せなかった。
「ちょ、凰壮クン!?一体なんなんですか!翔クンの家できみになにがあったんですか!ねえ!」
「凰壮…やべえな…」
玄関で延びてる凰壮を逆に揺さぶり起こそうとする竜持を遠目で見ながら虎太は思考を巡らせていた。
凰壮の腹に決めるシュートは大体何発くらいがいいかと。
いっそ心配な頭部のほうにもシュートを当てた方がいいのではないかと。