※暴力表現・カズマジキチ注意!!




















全部お前がいけなかったんだ

お前は『どうしてこんなことに…』って思ってるんだろ?

でも原因は全部お前なんだ

じゃあ聞く、お前の恋人は誰だ?

俺だよな

それなのに、何でお前はアイツに視線を向けるんだ?アイツに笑いかけるんだ?

なあ、もう一度聞くぞ

お前の恋人は誰なんだ?



『執着の檻の中で』





バンは、とても暗く狭い場所にいた

ごそごそと身じろぎをしても、腕と脚を縛られている為、全く身動きをとることが出来ない

「う゛ぅ…ん…」

声をあげようにも口に布を含まされて呻き声しか出すことが出来ない

(カズ…どうして…?ねえ、お願い…助けてよ…ッ)

現在バンはカズの部屋のクローゼットに閉じ込められていた

何分?何時間?何日?

一体どれ位の時間が経っているのだろうか?バンにはわからない

ただ定期的にバンの元を訪れるカズの存在だけがバンの全てだった

カズはある日を境に突然人が変わってしまったのだ





カズとバンは所詮恋人同士だった

同性同士であったが、好きだと思う気持ちは互いに嘘ではなかった

周りに内緒にしながらも、順調にそういった類のお付き合いを続けていた

だが、何処で歯車が狂ったのだろうか

何時ものようにカズの部屋にやってきたバン

そこで出された飲み物を飲んだ瞬間バンの意識は、ふと無くなった

目が覚めるとバンはベッドに転がされていた

その手足は拘束され、四肢の自由を奪われていた

バンは目の前に無表情で立つカズを、信じられないものを見るような目で見た

「カズ!なんで!?…これはどういうことだよ!」

必死で身体を起こそうと身じろぐが、芋虫のように胴体をくねらせることしかままならない「…………」

そんなバンの様子を、カズは無感動な表情で眺めていた

「…カズ…?」

冷たい視線

言葉も無くただバンを見ているだけのカズにバンは違和感を覚えた

(…いつものカズと違う)

バンは自分でもわからない焦燥感を覚えた

バンはカズが怖いと感じたのだ

カズにこんなことを思ったことなんてないのに

えもいわれぬ不安がバンを恐う

「ねえ…カズ、何かあっ…」

「……んだ」

「えっ…な、何?」

言葉を言い切らないうちに、カズは小声で何かを呟いた

余りに小さな声に聞き取れなかったバンは恐る恐る聞き返した

「………全部お前が悪いんだ」

バンがその言葉を聞いた時には、すでにカズはバンの身体の上に覆い被さっていた

無理やり服を引き剥がし、行為に持ち込もうとする

驚いたバンは必死に暴れようとするも、四肢を拘束されている為満足に抵抗出来ない

「ぜんぶ、ぜんぶ…お前がっ…!」

「ッ!?…カズ、待ってよ!…っ嫌だよ、カズッ!!」

バンの抵抗も虚しく、その後、バンの身体はカズのされるがままとなってしまった

その日からバンはカズに監禁を強いられた

カズが帰ってくるとバンの意思とは関係なく身体を求められ、それ以外の時はカズの部屋のクローゼット内に放り込まれた

カズはただバンを抱くだけではなかった

バンが彼を拒絶するような言動をとると、彼はバンに拳を向けたのだ

バンが抵抗して騒げば騒ぐ程手酷く犯され、バンの身体のいたる所に痛々しい痣が増えていった

それでも、バンはカズを嫌いになることはなかった

バンは信じていた

いつかは元のカズに戻って以前のように自分に笑いかけてくれると







バンは1日の大半をクローゼットで過ごす拘束されて自由の利かない手足

申し訳程度に着せられた衣服

顔や身体のあちこち点在する隠しきれない傷、打撲の痕

暗く狭い空間に気が狂いそうな中、バンは震えながら静かに横たわっていた

声をあげて叫べばカズの家族が気づいて助けてくれるかもしれない

だが、バンは叫ばなかった

叫ばないのではない、叫べないのだ

度重なる性交によってバンの声はすでに枯れていた

声を出そうにも掠れた声しか出すことが出来ない

そして声が出せるとして、もしカズに聞こえてしまうことがあれば、また暴力を受け、更なる傷を負いかねない

(このままじゃダメなのはわかってるけど…カズから逃げるなんて出来ないよ…!)

バンはギュッと目を瞑った

ふいに寝返りをうとうと身じろいだ所である異変がおきた

「あ゛っ…」

(ほ、ほどけた…)

時間が立つうちに紐が緩んできたのだろうか

脚に縛り付けてあった拘束の紐がとれたのだ

(少しだけなら…大丈夫だよね)

カズから背を向けて逃げる気はないが、せっかくの外に出られるチャンスだ

バンは重い腰を叱咤して、ふらふらと立ち上がる

偶然にもクローゼットが少し開いていた為足を使って戸を開けることに成功した

その時に覚束ない歩行で、扉に足を引っ掛けて倒れたりもした

だが、そんなことよりもクローゼットの外に出られたことがバンにとっては大事だったのだ

カーテンが明るく照らされているので昼なのだろうか

だがカズの部屋は完全にカーテンを閉めきっている為、昼でも尚薄暗い

(どうしよう…)

カズの部屋を見渡しバンは途方に暮れる

本当はこんな生活はもう嫌だ、強いられたくない

それに母親は一人で物凄く自分のことを心配しているだろう


早く母親に自分の安否を伝えたい

だが、カズをここで裏切ることは出来ない

カズは恋人である前に、バンの親友であり仲間だ

バンはこんな状況であってもカズを信じ、カズを嫌いになれなかったのだ

バンの葛藤は暫く続いた

彼を監禁した当人が部屋に帰ってくるまでは

ガチャン!

突如響き渡るけたたましいドアの音

バンが反射的にその方向を見た

「………!?」

バンは驚愕した

そこには、この部屋の主で、自分を監禁したたった一人の恋人、カズの姿がそこにあった

「バン…お前…」

「…カズ…!これは…!」カズは自分が逃げようとしたと勘違いしているそう思ったバンは弁解を試みたが、カズの顔を見てそれはもう遅いと悟った

心身ともに傷ついてるのはバンの方なのに

カズはバン以上に悲しそうな顔をしてバンを見つけていたのだった








学校の終わったカズは一人帰路についていた

今学校はある事件の為に大騒ぎだった

山野バンが急に行方不明になった

最近はその話で学校中話題が持ちきりだ

学校には毎日警察も来て1日中騒然としている感じだった

バンと最後一緒にいたカズも事情聴取を受けたが、素知らぬ顔で何も知らないと言ってのけた

誰も自分がバンを監禁していることを知らない

慌てふためく外野

隣のクラスで酷く落ち込んでいる海道ジンを見れば見る程、愉快でたまらない

溢れ出る優越感ににやけを抑えるのに苦労してしまうくらいだ

それはこの事件の動機と直接繋がっているものだった

カズがバンを監禁した理由

それはバンが海道ジンと仲睦まじく会話をする機会が自分と一緒の時より多くなりつつあったからだった

バンがジンと仲良くなりだしたのは最近だったイノベーターから抜けてシーカーの仲間入りを果たした彼はバンにのみ心を開き、バンにだけ良く話した

バンも仲間になったジンに対して好意的であり快く接していた

だが、カズは気が気じゃなかった

ジンにバンを盗られてしまう…そんな不安が彼を襲ったのだ


(クソ…ッバンの恋人は俺なのに…)

バンに不用意に近づくジンが憎らしかった

ジンと楽しそうに話し彼に視線を向けるバンが許せなかった


(…でも今は違う、バンの世界の俺すべては俺なんだ。バンの視界に映るのは俺だけだ)

今のバンはカズだけのもの

自由を奪われ、カズの存在だけが全て

好意に限らず怒りや悲しみの負の感情も視線も全てがカズに向けられる

だがそれも構わない

バンに脇目をふらず自分だけを見て欲しい、それがカズの異常な欲求だった







バタンッ!!

カズが家の玄関にたどり着いた時、物音が家の中から聞こえた

(まさか…母さんか?いや、今日も出掛けるって言ってたしな)
カズの親は共働きで、家に帰っている時間のほうが少なかった

バンの監禁が出来るのもそういった理由からである

それを踏まえての物音の正体など決まったも同然だった(だとしたら…アイツしかいないか)

バンである

物音はカズの部屋から起きていた

(でも…どうしてあんな音が…アイツ、動けないようにしといたよな?)

いつも目一杯犯した後、拘束してクローゼットに閉じ込めてあるバンにあんな大きな音を出す体力があるのか

カズは嫌な予感がした

急いで自分の部屋に向かう

扉を思いきり開けるとクローゼットに押し入れていたはずのバンが部屋の中央に立っていた

脚を縛っていた拘束が何故かとれて自由に歩けるようになったようだ

「バン…お前…」

「…カズ…!これは…!」

殴られるのが怖いのか必死で取り繕うとしているバンに、カズは怒りが込み上げてくる衝動を抑えられなかった

ダンッ!!

「ひっ…!」

カズはバンをその場に押し倒し、バンの顔の横の床を思いっきり殴りつけた

その衝撃と音にバンは小さな悲鳴をあげた

「なんで…」

「…?」

「何で逃げようとするんだよ…!そんなに俺のことが嫌いだってのかよ!」

「違っ…!別に逃げ出そうなんて…!」

パァンッ!

カズの剣幕に恐れをなしたバンが弁解しようとすると、バンの頬に痛みが走った

カズに思いっきり頬を張られたのだ

「思ってなかったってか!?誰がクローゼットから出て良いって言ったんだよ!!」

パァンッパァン!

怒りの表情を滲ませバンに向かって怒鳴りつけたカズは何度もバンの頬を叩き続けた

鋭い痛み

耐え難い痛みは頬だけでなく、バンの心をも傷つける

傷ついているのはバンだけではない

カズもバンの頬を張る度、悲しそうな顔をしているのがバンには辛かった

「嫌っ…!カズ…った!…やめ…!な、なぐらないでっ…なんでもするからぁ…!」

バンはカズに懇願した

自分の為にも、カズの為にもこんなことは止めて欲しいその思い一心だった

だがカズは、冷たい表情でバンを見下すだけだ

「そうやってジンにも媚び売ってるのかよ、お前は…!

「何言ってるのカズ!?俺全然わかんないよ…!ッ!!」

忌々しげな口調でジンの名前をだすカズ

バンは何故この状況どジンの名前が出てくるのかわからなかった

「しらばっくれんならもういいよ…まあどちらにせよお前は此処から逃げられねえんだからな」

カズのバンに対する態度は理不尽だ

だが、カズはジンに対する嫉妬心によって既に普通の思考を持ち合わせてなかった

それがバンに伝わっていないのがこの話の不幸というものだ

「バン、俺から逃げ出そうとした罰を受けて貰うぜ…?」

カズは部屋にあった木製の野球バットを手にとってバンににじり寄る

バンを視界に映したカズの瞳は、危険な光を孕んでいた

バンは背筋が冷たくなるのを感じた

「か…カズ、やめて…!やだ…こわいよ…」

恐怖に歪んだ表情で首を横に振るバン

それでもカズが止まることはない

自然と地面を蹴って後ずさろうとするも背中がクローゼットにあたってしまう

もう逃げ場がない

バンを追い詰めたカズは彼に向かって一度蔑んだような笑みを見せた

そしてバンの下肢に真っ直ぐバットを振り下ろしたのだ

「あ゛あ゛ぁっ!!」

襲いかかる激痛にバンは叫び声をあげた

「歩けなくっ、なればっ!逃げたいとも思わねーだろ!」

カズは執拗に下肢の腱部をバットで殴打した

まるで何かを狙っているかのように

すると厚手のゴムでできた水枕を膨らませて割ったような音がバンの悲鳴と共に木霊する

それはバンのアキレス腱の切れた音だった

「ひぎゃああああ!!なに!?いたいっ!いたいいいいィ!!」

腱部をずっと蹴られているような錯覚がずっと続いている

「痛いに決まってるだろ?アキレス腱を切ったんだ。これでお前も歩こうなんて考えないだろ?」

カズは口だけを引き上げて笑った

カズの目は暗い光を放って痛がるバンを満足そうに眺めていた

「ひいいィ…!痛いよ…痛いよぉ…カズゥ…」

「そうか…でもな?俺だってお前がジンや他の奴と話してたらな…これ位辛いんだよ」

そう言ってカズはアキレス腱の切れたバンの両足首を思いっきり掴んだ

腱が断裂し、何もないそこはふにゃりと凹んだ

「!?…あ゛あ゛あああ!〜!!」

気の遠くなるような耐え難い鈍痛がバンを襲った

余りもの痛みに気絶したバンを支え、カズは、口元をひきつらせてほくそ笑んだ

「これで逃げられないな…ずっと一緒だ。愛してるぜ、バン」

気絶して尚、脂汗をかいて呻くバンの唇にカズは噛み付くようなキスをした






一体何処で運命は捻曲がったのだろう

二人はこの檻から何時抜け出せるのか

執着の檻はまだ壊れない









10000hitフリリク5番目伊10様リクエストの『カズバン 監禁して、バンのアキレス腱を切る』です

カズはエジプトの時みたいなのを想像して頂ければと思います

こういう酷い話は嫌いじゃないですが、やっぱり可哀想になってどうしても控え目になります

そして描写が難しい;

もっと暴力描写を鮮明に書ければ良かったなあ…(止めろ

こんな中途半端な出来で申し訳ないのですが、お納め下さいm(_ _)m

それではリクエスト有難うございました!
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