襲ってくる長曾我部軍を斬ったり投げたり踏んだり(踏んでいたのは元就様だけ)して行き着いたのは開けた場所です。

「急ぎ本陣を敷け。我を待たせるな」

「御意!!!」

長曾我部軍もいないようなのでここに陣を敷くようです。遅くなったらどんな目に遭うか想像できるので皆さん急ぎます。終わったら元就様の指示を仰ぐため整列して待ちます。

「一度しか言わぬ。いいか、我が何隊か引き連れて進む。他の者は活路を開くために長曾我部軍を引付けよ」

いつもは総大将兼軍師として本陣から指揮をしている元就様が御自ら進軍するのは珍しいことなので驚きます。あれですか、長曾我殿が大嫌いなので自身の手で叩き潰してやろうとお考えなのでしょうか。

それから元就様は細かく役割を分担しました。お供として私と数隊ついていくことに。あ、宍戸様も隊長として行かれるみたいです………宍戸様、気持ちはわかります。わかりますけど、そんな明ら様に落胆しないでください。長曾我部軍の足止めを命じられた兵士達は生き生きとしています。皆さん素直すぎです。

「うおぉぉぉぉぉ!!!!」

鬨の声を上げながら勢いよく走り出したのは足止め部隊、護衛部隊はしばらく待ちます。

「行くぞ!!」

総大将の出陣です。気合い入れねば、と先の部隊に負けないぐらいの大きな鬨の声を上げたのですが、先頭にいた元就様に五月蠅い!!!と一喝されました。元就様、みんな頑張ろうと思ってやっているのにそんなこと言われたらやる気なくしますよ。しかも、貴様も一応女なのだかそんな声をだすな、と個人的に怒られました。そんなに一応を強調しなくても。

私ってそんなに女らしくないのかな、と悩んでいるとこっちまで悲しくなりそうな叫び声が聞こえてきました。元就様に斬られそうになっている味方兵士かと思いましたがどうやら違うようです。遠くから聞こえてきた叫び声はどんどん大きくなっています。というより、こっちに近づいてくる…?

「椿、あれを見よ」

言われた通りに見れば、己より大きい爆弾を担いで決死の覚悟で特攻してくる爆弾兵がいました。あの、その覚悟は認めますが爆弾もって突っ込んでくるのはどうかと思います。己の身体を安売りしないでください。

「どうにかしろ」

「無理です」

たぶん止めるには己も突っ込んで相殺するぐらいしかないかと。そんな一回ポッキリの技のために死にたくはありません。私は自分が可愛いのです。

「役に立たぬ捨て駒よ」

憮然と言わないでください!!さすがに傷つくから!!体育座りをしてのの字を書きたいとこですが、そんなことしたら「ウザイ」と蹴られるか輪刀で斬られるかなので止めときました。とにかく、あれをどうにかしないと進めません。現に今も仲間が吹っ飛んでいます。あ、また飛んだ。

「致し方ない。我が行こう」

最初からそうしてください(って言えたら嬉しいのに)

元就様は一歩前に出ると膝を屈め、構えます。何も知らない爆弾兵が走ってきました。そして距離がなくなった瞬間、元就様が輪刀を分割して回転を加えながら跳ねました。すると刃に巻き込まれた爆弾兵は回転しながら飛び、後ろに続いていた爆弾兵達のとこへ落ちました。連鎖反応が起きてどんどん爆発していきます。

「おぉ〜〜〜!!!」

兵士達から感嘆の声、元就様鼻高々(私には嬉しそうに見える)これなら安全に攻撃できるし道も確保されます。しかも一気に敵を倒せて一石二鳥ならぬ一石三鳥。さすが智将毛利元就………様!!(例え心の中でも呼び捨てに出来なかった!!)全てが計算のうちですね!!

勢いづいた元就様はどんどん撃破し、逆に爆弾兵達は怖じ気付いてます。

「消え失せろ!!」

一人の爆弾兵の懐に入ると「転」の技を繰り出して例の如く飛ばします。クルクルと弧を描きながらそれは、



味方本陣に直撃

一拍おいてチュドーンと爆発しました。




「嘘ぉぉぉ!?」

「「「「「元就様ぁぁぁ!!」」」」」

大 合 唱。ちなみに嘘ぉぉぉ!?と、叫んだのは私です。何でそうなる。いやいやいや、ありえない!!!

これにはさすがの元就様もヤバイと思ったのかやっちまった、という表情をしています。恐らく、手元が狂ったのかと。

「どうやら今ので最後だったようだな。行くぞ」

最後!!!よりによって最後の最後で本陣に飛ばしますか!?しかも何か本陣燃えてるんですけど見て見ぬふり!?た、確か本陣にも守りの兵や武将がいましたよね?

ちょ、本当に行くの!?え!?元就様!?



涙を呑んで進む毛利軍でした。





「転」で飛ばされた爆弾兵が自軍営に直撃しました





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