「だから私は、」

「ぎゃっ!!」

「奥以外の妻は、」

「げふっ!!」

「いらないと言っている!!」

「ぐぼっ!!」

「誰に言ってるんだ三成!?敵兵に八つ当たりをしてはいかんぞ!!」

「だったら貴様にしてやる!!」

「三成!!此度の戦はこの先の戦局を左右する大事な一戦、今は目の前の敵に集中すべきだ!!」

「くっ…貴様に諭されるとは…!!!」

「話しなら終わった後に聞いてやるから、な?」

「貴様なんぞに話すか!!くそっ、いぃぃえぇぇやぁぁすぅぅぅ!!」

「ワシの名を叫びながら敵を蹴散らすのはやめてくれ!!」









「今日はいつにも増して疲れたな」

「貴様が軟弱なだけだ」

「はっは、そうかもな。それで、何があったんだ」

「あの老害どもめぇ…!!」

「老害?」

「妻が一人だけでは将来が不安だ、体裁もよくない…などとそれらしいことを言いながら側室に己の娘を宛がい、私に擦り寄ろうとしているのだ」

「成る程な。三成を使って太閤に近づこうとしているんだな」

「己の利権のことしか頭にないのだ。ええい、忌ま忌ましい!!奥や豊臣のためにも今すぐ斬滅してくれる!!」

「まぁまぁ。豊臣に仕える家臣通しで争うのはよくない。話しをきいたら奥方殿が悲しむぞ」

「ならばやめよう」

「速決か」

「私は奥が悲しむことはしない…そもそもやつらは何もわかっていない」

「ん?」

「私の傍にあっていいのは奥だけと決まっている」

「言いきったな」

「当然だ。家康、今すぐ帰参の準備しろ」

「それはまた唐突な」

「奥に逢いたくなった」

「お前…」

「それに一刻も早く秀吉様に戦勝のご報告せねば!!私は先に行くぞ!!」

「どうぞ………ふっ。一時はどうなるやらと心配したものだが、余計だったか」

「何をしている家康!!早くしろ!!」

「はいはい」














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