護るものなど何もないなんて嘘じゃった。本当は一つ、ただ一つだけ残っとった。護ってやらねばと思うた。だけど若を、オジキの大切なもんを護れんかった役立たずのわしが、のうのうと生きていくことをわし自身が赦せんかった。どちらか一つしか選べんかったから迷わず仁義をとった。わしの全てはオジキじゃ。オジキがいなかったらわしは生きておらなんだ。それこそ、あいつと出会ってはいなかった。報いるは恩義、後悔なんてしとらん。それでも、せめてその時がくるギリギリまで護ってやろう、と。そしてオジキが死んだあの瞬間から、あいつのことは捨てたも同然と割り切った………のに、なんでかのう 最期だってのにこんなにも鮮明にあいつの顔ばかりが浮かぶのは。







(最後だからこそ、お前が恋しい)










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お題、選択式御題様より
「なんでかなぁ 最期だってのにこんなにも鮮明にお前の顔ばかりが浮かぶのは」使用




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