目覚めた瞬間、左手に違和感を感じた。正確には小指で、見れば根本に糸が巻き付けてあった。しかも赤色。目線の高さまで持ち上げてしげしげと眺める。俗に言う赤い糸というやつだ。

何これ。寝てる間に名前に悪戯された?

それにしても長い。ベットをはみ出してドアの前で伸びている。煩わしいいので解こうしたが、結び目が固くて片手では無理だった。仕方ないので先に部屋に伸びている糸を回収することにした。

するすると手繰りよせるがなかなか終わらない。いつの間にか毛玉ほどの量になってしまった。

あれ。何でこんなに長いんだ。ドアは閉まってるから外に出るわけないのに。でも、今も真っ直ぐ入口に続いている。ということはこの糸はドアを擦り抜けてるってことで………ようはあれか。本物の赤い糸。


うっそーん!!


些か驚いた。非・科学的な物は信じない性だが、実際目の当たりにしたのだから否定出来ない。それにこういうロマンチックなものならいいかもしれない、とすぐに切り替えた。

一種の怪奇現象に遭遇しているのだが動じることもなくむしろ都合の良いように解釈する。興味があったのだ。この糸の先にいるのが誰か。同時に行き着たい場所にいるのが彼女じゃなかったら…という不安もあった。

ベットから起き上がると寝間着のまま一回へ降りる。右に折れ曲がった糸の先はキッチンだ。そこで見つけたのは料理に勤しむ後ろ姿。せっせとお弁当におかずを詰めている朝食はもう出来上がっていた。突っ立ってる佐助に気付いた名前がおはよう、と微笑んだ。

「ちょうど起こしに行こうって思ってたとこだよ」

名前はご飯盛っておいてね、と言ってからお弁当作りに戻る。糸が見えてないのかまったく気にする様子はない。不思議なことにどんなに名前が動き回っても糸は絡まらない。

佐助と同じよう左手の小指に結んである赤い糸。その隣の薬指にはまっているのは、永遠の証。

「えっへへー」

「なぁに?急に笑いだして」

「内緒ー」



やっぱり、君は俺の、





運命の人
(ヤバイ。俺様ってば超幸せ)










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頭が緩くなっている佐助が出来上がりました。寝ぼけてるのかな?一日中デレデレしてそうです。










「…佐助」

「はーいー?」

「さっきから人の左手見て何ニヤニヤしてるの?」

「いつ見ても名前ちゃんは可愛いね」

「(寝ぼけてる?)」




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