可愛いお友達が出来ました。





肩まである流れるような髪にクリクリとした大きな眼。ふっくらとした桃色の唇、雪のように白い肌。見覚えのない可憐な女の子が柱の影に隠れてこちらの様子を覗っていたから、

「こんにちは!!」

話かけちゃいました。別にナンパじゃないよ。あまりにも可愛いもんだから体が反応したのさ!

優しくしたけど女の子は何かを感じとったようで、柱に隠れてしまった。暫らく待つとまごまごと顔を出した。目が合う。

「こんにちは」

今度こそ、とさらに優しく挨拶したら

「こんにちは」

小さい声ながらも返してくれた。外見が可愛い子は声も可愛いのね。

「こっちにおいでよ」

「ぇ…」

「別に取って食べたりしないよ」

あ。今の発言は女としてヤバいと思います。いやね、佐助の近くにいると自然とこうなるのよ…佐助ってもしかして助平?

自分の恋人に疑問を抱いているといつのまにか女の子が隣にいた。案外あっさり来るのね。

「お名前は?」

「さよ」

「私は名前。よろしくね」

「うん」

可愛いハニカミに自分を押さえるのが必死だったのは内緒です。

さよちゃんは館に出入りしている薬師の娘さん。お父様と一緒に館へ来たところ迷子になり、うろうろしていたら私を見つけたそうだ。私に話しかけたのは無難だと思う。だってここにはいきなり殴りあいを始めるおかしな師弟とか、音もなく人の背後に立つ危ない忍とか、暑苦しい兵士とか色々いるからね。

それからちょくちょく会うようになって今では一緒に城下に買い物へ行く仲になった。そういえばこの前薬師さんを見かけたけど、かなり若かったなー…あの年で子持ちとは。

「名前ちゃん」

「はい?」

「さよといるの楽しくない?」

「そんなことないよ。むしろ楽しいよ」

「よかった」

急に黙り込んだ私に心配になったらしい。安心して控えめに笑うのがこれまた可愛い。女の私でこんなにキュンキュンしてるんだから男だったらどうなるんだろう。

「さよちゃんこそ暇じゃない?」

「うんん。お散歩楽しいよ」

ちなみに今いる場所は館に近い森。当たり前だが周りは木しかなく、面白い物は何もない。

「そう?」

「うん。それに…」

「それに?」

「名前ちゃんと一緒にいれるから嬉しい」


ズキュゥゥゥゥゥン!!!


心の臓に矢が刺さりました。何も考えずに抱き締めてしまったけど鼻血を出さなかっただけ偉いはず。

「さよちゃん!あんまり男の人にそういう事言っちゃダメよ!!」

「うん、わかった」

さよちゃんが素直かつ、良い子でよかった………はっ!逆に考えれば簡単に連れ去られてしまうかも!!それは阻止しねば!!

半分オカン(佐助)心情になっている間、さよちゃんが熱視線を私に注いでいました。ちょっと吃驚した。

「さよちゃん?」

「名前ちゃんはさよのこと好き?」

「うん!好きだよー」

「佐助よりも?」

「うー………んん?」

サスケってあれですか?私の彼氏で助平な佐助のことですか??

「なーんで佐助のこと知ってるの…?」

「女中頭さんが教えてくれた」

あいつか!!地獄耳を最大限に活用して情報を素早くキャッチ、知ってる人に片っ端から話すあのおしゃべりオバサン!何を教えてるんだ!!つか、私と佐助が付き合ってるってどこで知った!?

「(にゃろう…)」

「どっちが好き?」

「え、えぇ〜と」

さよちゃんと佐助では好きの次元が違うから正直困る。

「さよちゃんも佐助と同じぐらい好きだよ」

「………さよは名前ちゃんが一番好き」

無難な答えに納得できなかったさよちゃんは険しい表情になった。戸惑っていると詰め寄ってきたので後退する。が、木に背がついてしまい逃げられなくなる。あわあわしてるとさよちゃんの手が私の顔の脇に置かれ、完璧に退路を断たれた。

何この状態!!何でさよちゃんの整った顔が近づいてるの!?これはよもやあれですか!?ちょ、まっ、助けてくだされお館様ァァァァ!!!

「待ってぇぇぇ!落ち着いてさよちゃん!!あの、恋人としては佐助が好きだからこういうことはちょっと無理かもぉぉぉぉ!!」

「へぇ〜俺様のどこが好き?」

「何だかんだ言って優しいとことか普段と真面目なときのギャップが胸にぐっとく………はい?」

ニヤァ、という効果音つきそうな笑顔を浮かべたさよちゃん。雰囲気はガラリと変わった。なんか飄々としている。そして一人称が俺様。私の知り合いに自分のこと俺様なんて呼ぶ軽い感じのやつが一人いる。

「まさかアンタ…」

「ご名答〜」

唇に人差し指をつけるとさよちゃんは煙に包まれた。煙が晴れて表れたのは可憐な少女じゃなく、迷彩服を身に纏い細身だが肩幅も体つきもがっしりとした男。職業は主にオカンたまに忍な、

「佐助!!!」

「はーい」

「いや、はーいじゃなくて」

「えへへ」

鼻の下をさすりながらハニカミ気味に笑う姿はさよちゃんの面影がある。可愛いかも。って、違う!!そうじゃない!!!


「何してんの!?」

「ん、暇………だったわけじゃないんだけどね。お休み貰ったから名前ちゃんの俺への愛の深さを測ってみようかと思って」

ようは暇だったんだな。暇になれてないから悪戯して時間を潰そうと考えたんだな。いつもはお休み欲しいお休み欲しいって騒いでるくせに!せっかのお休みなんだから休みなさい!!

「変化の術をくだらないことに用いらないでよ!!」

「くだらなくないよー良いこと聞けたじゃんか。確か普段と真面目なときのギャッ「黙らっしゃぁぁぁい!!!」

お願いです。誰でもいいのでほんの少し前の私のところに行って窒息しない程度に口を塞いできてください。

「てか、何で女の子に変化した!?」

「女の子の変化を練習したかったから。男だと名前は警戒するし」

「このっ、私のトキメキ返せー!!!」

「女の子にトキメいちゃダメでしょう」

「こんなやつが大好きなんてどうにかしてるぜ自分ー!!!」

「いやーそんな大声で告白されたら俺様照れちゃう」

この馬鹿助には何を言っても無駄なようです。とりあえず叫ばせてください。



可愛い女の子なんて二度と信用するものかーー!!!!





彼氏ときどき女の子
(れっきとした男の子です!!)










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相互記念夢、雨と嘘。のあさぎ萠様に捧げます佐助ギャグ夢です。

お許し?が出たからってハッチャケすぎました。一度は書いてみたかった佐助女の子ネタ。絶対美人ですよ佐助。

あさぎ様、こんなんでよかったら煮るなり焼くなり捨てるなり好きにしちゃってください!!そして相互ありがとうございました!!

ここまで読んでくださった皆様もありがとうございました!!











「さよは名前ちゃんが一番好き〜」(さよの声で)

「やめんか!!」

「佐助は一等名前のことを愛してる〜」

「ギャャャーー!!!」




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