大事な大事なお姫様。ずっと傍で守ってきたけどそれは間違いだったと気づいた。だから、ここでいい、この距離でいい。これ以上は近づいていけない。そう、思うのだけど。





「佐助ー?どこにいるのー??」

団子を持ってうろちょろしている姫さん。立ち止まっては視線を巡らせ、影も形もないのを確認するとため息吐いてまた歩き出す。それを何度か繰り返した後、疲れたのか木の根本に座り込んだ。そのまま見上げれば探している人物がいるのだけど、姫さんは気付かずに地面ばかりに目を向けている。

(落ち込んでるし)

いつもならすぐに出て行くけどそれが駄目だと今頃になってわかった。俺は忍で、あくまで影となって彼女を守らなければいけないのに、不用意に近づきすぎた。いい加減態度を改めないと。俺が白日に身を晒すのは名前姫に危険が迫った時だけだ。

「佐助ぇ〜………」

とはいえ、いきなり突き放してしまったのは申し訳ない。心を鬼にして、と思うのだけど必死になって自分を探す姫を見ると心が痛む。あんな寂しそうな声で呼ばれたら返事をしそうで危うい。

「何でいないの?」

いやいや、貴方の真上にいるからね。木の葉の隙間から見える姫の背中。膝を抱えて小さく縮こまっている。心優しい名前姫は団子をわけてあげようと思って俺を探しているのだろう。

(どうしたものか…)

ちゃんと説明したほうがよかったか?でも、姫が納得するとは思えない。何より姫様に止められたら俺自身が離れられなくなるだろうし………いつの間にこんな絆されたのか。そろそろ限界だな。姫もそうだし俺自身も。あー、意志が弱くて駄目だなぁ。叱ってくれませんかね、大将。

「私のこと、嫌いになった…?」

「そんなわけないでしょう」

音もなく現れた俺の存在を認めた瞬間、あろうことか姫さんは皿を投げ出して抱きついてきた。右手で名前姫を受け止め左手で皿を掴む。宙に投げ出された団子は地面に落ちることなく元の位置に収まった。あっぶねー。

「こら!!食べ物は粗末にしちゃ駄「馬鹿ー!!佐助の馬鹿ーー!!探したんだからね!!!」

馬鹿ー!と、連呼しながら腹を締め付けてくるので少々苦しいがそのままにしておく。じわじわと戦装束を濡らす物が何なのか、わからないほど野暮ではないからね。

「落ち着いてください。ねっ?」

「うぅ〜!!なんできてくれなかったの!?」

「いやーまぁそれは色々ありまして」

「寂しかったー!!!」

幼子のようにぐずりだした名前姫をあやす。出来れば両腕を使いたいところだけど、団子を地面に置くわけにもいかないので、片手で姫の頭を撫でた。俺がいないってだけでこんなになってしまう姫に、不謹慎だけど頬が緩んでしまう。

「佐助はここにいますからねー」

「今日はずっと一緒にいて!!絶対よ!!!」

「はいはい」

あぁ、忍としてはダメダメなのはわかってるよ。でも、姫に必要とされているのが嬉しくて、結局はどんなに頑張っても離れられないのだ。まいったな。名前姫の傍は居心地が良すぎるよ、本当。





ほら、また離れられなくなった
(身分不相応なこと言ってごめんね)(それでも傍にいたいよ)










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あま…い?好きな子はデロデロに甘やかすどうしようもないオカンも好きです。てか、佐助ならなんだってい(ry



お題、誰そ彼様より
「ほら、また離れられなくなった」使用




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