柄に手がかかった瞬間、思いっきり後方へ飛び退いた。身体が宙に浮いた刹那、ブンッ、と空気が裂けて首に熱を感じた。着地の際に蹌踉めきながらもなんとか踏みとどまる。

恐る恐る首に触れればヌルッ、と手が滑った。見れば指先には血が付着している。避けていなければ首と胴体は切り放されていただろう。そう思うと冷や汗が吹き出て止まらなくなった。

「動くな。首が落とせん」

居合いの構えを解かない石田殿に冗談ですよね?とは言えなかった。石田殿は冗談が死ぬほど嫌いな方だ。他に石田殿が嫌いな物は裏切りと家康、家康に連なる者―――つまり私だ。家康の古くからの友人で行動を共にすることが多かった分、家康を取り巻く人間の中でも一際憎いのだろう。

「やれ三成。早に苗字の首を取らぬか。よもや手を抜いているわけではあるまい」

「私をバカにしているのか刑部」

静観していた大谷殿が石田殿を煽り始めた。石田殿は眦をつり上げて怒っている。

「おぉ、我は良いことを思いついた。三成、あの娘を生け捕りにせよ」

どうやって逃げるか考えていたら大谷殿が突拍子のないことを言い出した。生け捕り…生け捕りにしてどうするつもりなの?石田殿も一瞬驚いたようだが猛烈に怒り始めた。凄まじい怒りようである。恐すぎる、泣きたい。そもそも、東軍=家康の仲間=殲滅。が石田殿の中では成り立っているのだから了承するわけないのに。大谷殿の考えは読めないが嫌な予感がする。

「貴様は正気か!!この女は憎き家康の竹馬の友であり秀吉様に仇をなす東軍に属している!!それを殺さずに生かすとはどういう了見だ!!」

「だからよ。主も知っての通りあれと徳川は苦楽をともにした仲、故に誰よりも絆が強い。この場で殺して首を送るより目の前で殺したほうがより深い絶望と悲しみを徳川に与えられよう」

「絶望と悲しみ…」

あれほど荒ぶっていた石田殿は一旦落ち着くと、黙考を始めた。暫くすると石田殿は首を縦に振った。それは大谷殿の案を採用したということで、つまり私は地獄のような目に遭うということで…血の気が引いていくのを感じた。

「ヒッヒ、我も友のために一肌脱ごう」

「さっさと終わらせるぞ」

石田殿は鯉口をきり、大谷殿は珠を高速回転させて、そして私は目玉をひん剥く。これ死んだ。いや、今すぐには死なないけど。半殺しだっけ?つか、最終的には殺されるだよね。あ、やっぱ死んだ。遅かれ早かれ死ぬ。

「勢い余って殺すでないぞ三成」

「私がそんなへまをすると思うか刑部」

じりじりと距離を縮めてくるお二人方の笑みが凶悪すぎる。石田殿が笑ってるとこなんて始めて見た………あああ!!恨みはしないが石田殿に殺される原因を作ったのって家康だよね!!責任とってどうにかしてくれ!!って、凄い早さで近寄ってくるぅぅぅぅぅ!!





私がこの二人相手にかなうわけないんだから助けを呼ぶしかない。



てなわけで、






(お願いします)










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糖分がない、以前にこれは夢と呼んでもいい品物でしょうか。初めてのBASARA3夢なのに(…)

今後の展開としては、二つ。

1、忠勝に乗った家康が颯爽と助けに来る。

2、無条件降伏、愉快な軟禁生活が始まる。


さてどちらになるでしょう。2だったら夢主可哀想すぎる(笑)




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