忍と主は影と形、形がなければ影はありません。そして影は何時いかなる時でも形に寄り添っています。私も貴方様がいるから存在するのです。この命が続く限りお仕えします。ですが、よく覚えておいてください。これら二つは密接した関係ではありますが相容れることはけしてないのです。いえ、相容れてはならぬのです。それが影と形というもの。だからこそ私は貴方様の影になりましょう。近からず、遠からず。その距離で貴方をお守りいたします。





初めて会った時に言われた言葉は今でもはっきりと覚えている。あの頃は影と形がどうこうなど意味がわからなかった。幼い俺は彼女の覚悟など知らず、一緒にいてくれるというのが単純に嬉しかった。それからずっとあの言葉を守るべく佐助と共に俺の傍にいた。何があっても離れることはなかった。

そうして向かえた最期。役目は果たしたと言わんばかりに満足そうな顔をして目を瞑って。皆、嘆き悲しんでいるのに俺にはそれがなかった。代わりに抱いたのは引き裂かれるような痛みと漠然とした喪失感。

本当は優しい人だった。俺が喜べは共に喜び、哀しい時は黙って傍にいてくれた。心に寄り添う、忍になりきれない優しくて、愛しい影。


そんな影を無くした。


影がない人など人ではない、人ではいられないというのに………身体の一部をもぎ取られた俺はこれから先、どう生きればいいのだ。





影が形に添う如く
(そう言ったのはお前なのに)











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